捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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 書き直しました!
 Pile様の新曲フラゲ日です。

 それでは今回もよろしくお願いします。


SWEET LORRAINE ♯1

 青春とはツンデレである。

 持たざる者に対しては特に。

 普段、異性と大した接点もなく、自分から賑やかな輪の中に飛び込んでいく勇気のない者に対して、急な幸運を降らせる事がある。誰だってあるだろう?たまたま近くの席になった美少女が何故か親しげに話しかけてきて、胸が躍った事とか。自分のちょっとした言動がバカウケして、クラスの人気者になった気分になった事とか。

 しかし、そんな淡い幻想はすぐに雲散霧消してしまう。美少女に好意を寄せた日には、日本とブラジルどころか、地球と冥王星くらいの距離を置かれ、クラスでは人気者どころか、置物程度の扱いになる。

 ……ちょっとツンの割合多すぎじゃね?

 まあ、あれだ。要するに、そんな些細なデレ成分に期待するよりは、ツンの部分をいかに効率よく生きるかを考えた方がいいってだけの事だ。我ながら超クールな考え方。

「お兄ちゃん」

「……どした?」

「歩きながら一人でニヤニヤしないでよ。ぶっちゃけ他人のふりしたいんだけど」

「…………」

 反論の余地が無い。

 行き交う人並みで俺に注目する者は皆無に等しいが、それでもニヤニヤした気味の悪い奴と並んで歩きたくはないだろう。

 高校1年の春休み。俺は妹の小町と一緒に秋葉原の街を訪れていた。

 とは言っても、俺の提案ではなく、春休みに家でゴロゴロしすぎていたせいで、半ば強制的に連れ出されただけだが。

「お兄ちゃん、次はどこ行く?」

「そろそろご帰宅で……」

「……はいはい、スカイツリーね」

「ああ、そういや行った事なかったな……」

 人混みはしんどいが、せっかく来た事だし、日頃家事をやってくれている可愛い可愛い妹の為に頑張りますかね。いや、頑張らなくとも人混みくらい行ける、はず。

「お兄ちゃ~ん!はやく~!」

「おい、いきなり走るな。あと前見ないと……って」

 案の定、小町は人にぶつかった。

「いたた……ご、ごめんなさい」

「いえ、別に……」

 ぶつかったのは、小町よりは年上っぽいが年はそう変わらない雰囲気の女子だ。赤みがかった茶色い髪が春風にさらさらと揺れ、甘い香りを運んできた気がした。顔は伏せられていてよく見えないが……

「すいません、うちの妹が……」

 地面にばらまかれた彼女の荷物に気づき、小町と共に慌てて拾う。ハンカチやアクセサリー。そういった小物の中に数枚の紙があった。

「……譜面?」

 その紙には五線譜が敷かれ、そこに音符が書き込まれている。

 手を伸ばすと、その上に白いひんやりとした手が重ねられる。

「あ……」

「っ!」

 その感触に驚き、前を向くと、俺は言葉を失った。

 





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