捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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In A Sentimental Mood #8

 開演時間になり、まずはファッションショーが始まった。きらびやかなドレスに身を包んだモデル達がステージに登場する度に、会場内の観客……主に女子達の歓声が響き渡る。その憧れにも似た声には小町の声も混じっていた。そうか、いつかは小町も……あれ、何だろう視界が滲んできたんだが?目から汗が出てるのだろうか?

 

「お兄ちゃん、何で泣いてんの?そんなシーンなかったでしょ、ちょっとキモいよ」

「…………」

 

 正論すぎてぐうの音も出ない。まあ、よしとしておこう。

 そんなやりとりをしながらもステージから目を離さないでいると、真姫がステージに上がった。

 

「綺麗……」

 

 それは小町ではなく反対側の隣にいる知らない女子の呟き。

 ただ、それについ頷いてしまいそうになるくらいには……本当に綺麗だった。

 さっき間近で見たばかりだったのに改めてそう思ったのはスポットライトや演出のせいだろうか。もしくは、彼女がステージ慣れしてるスクールアイドルだからか。

 クールだけど決して冷たくはない控えめな笑みを客席に向けた彼女に、会場は他のモデルに負けないくらい明るい拍手を送る。

 すると、真姫はちらりとこっちを見て……ウインクした。

 

「っ……!」

 

 な、なんだ、今の……マジで体に衝撃が走ったような感覚がしたんだが……!

 そっと頬に手の甲を当ててみると、じんわりと熱くなっている気がする。もしかしたらそこそこ赤くなっているのかもしれない。

 しばらくステージでモデルとしてスポットライトと歓声を浴びた彼女は、去り際にちらりとこちらを見て、得意げな笑みを見せた。

 ……いや、それは反則じゃありませんかね。

 

 ********

 

 それから、μ'sのライブが行われたわけだが、これがまた想像以上に盛り上がっていた。

 メインはファッションショーだし、メンバーも3人欠けた状態なのだが、μ'sの上昇中の知名度と、向上したパフォーマンスは会場を沸かせるには十分だった。

 そして、星空のドレス姿も本人の何かが吹っ切れたような晴れやかな笑みも、ついつい目が引きつけられるものがあった。

 こういったイベントに行くのは初めてだったし、これからも自発的に足を運ぶことはないと思うが、素直に来てよかったと思えるくらいには良いものが見れた。

 ……くっ、まだ頬が熱い。

 

 ********

 

 イベントも終わり、一般の観客も退場し、真姫が出てくるのを待っていると、さっきのお姉さんがにこにこ笑顔でやってきた。

 

「八幡く〜ん、ちょっと来てもらっていい?」

 

 

 

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