捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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In A Sentimental Mood #10

「……ふぅぅ」

 

 撮影も終わり、着替え終えると、ついでかい溜息が零れる。まあ疲れてるのは仕方ない。やっぱりイベントって参加するのもそこそこ体力使うし、ましてや予定外のアルバイト(?)の撮影まであったのだ。我ながら重労働だったと思う。久々に専業主夫への決意を新たにしちまったぜ。

 ……まあ、いいもん見れたけど。バイト代も出たし。

 先ほど間近で見た真紅のドレス姿の真姫を思い出していると、彼女がこちら控室から出てきた。

 

「お待たせ」

「……おう」

 

 いつも通りの彼女の髪型と服装に戻っていたものの、どこかさっきの雰囲気の名残が残っていて、また胸が高鳴るのを感じた。

 それを悟られぬよう、自分のいつもの動きをなぞるように真姫に向かって軽く手を挙げると、彼女はくすりと笑みを零した。

 

「撮影終わってしばらく経つけどまだ緊張してるの?」

「ぐっ……まあ、普段カメラ向けられることとかないからな」

「カメラのフラッシュで消えちゃったらどうしようかと思ったわ」

「どんな闇属性のモンスターだよ……小町達は向こうで待ってる」

「そう?じゃあ行きましょうか」

「あ、真姫ちゃん!八幡くん!今日はありがとうね!!二人が式を挙げる時はよろしく〜!!!」

「「はぁっ!?」」

 

 なんかとんでもない発言に思わず声がハモる。

 真姫母の友達らしいし、誤解されているわけない……と思う。からかわれているだけだろう。だが不意打ちすぎて……

 

「もう、イミワカンナイ!!」

 

 顔を真っ赤にした真姫が詰め寄っていくのを見届けることしかできなかった。

 一瞬変な妄想が勝手に出てきたせいとか絶対に悟られたくなかったから……。

 

 ********

 

 もう、変なこと言うからちょっとだけ考えたじゃない!

 ……今顔赤いと思うから絶対に見られたくないんだけど。

 

 ********

 

「あ、お兄ちゃん!真姫さん!おつかれ〜」

「悪い、待たせた」

「お待たせ」

「あれ?真姫ちゃん顔赤くないかにゃ?」

「別に」

「そんなことないにゃ、真っ赤っかにゃ……いふぁいにゃ〜」

「じゃあ、もう帰りましょう。絵里達は先に帰ったんでしょ?」

「うん、用事があるから学校に行かなくちゃって。絵里ちゃんは小町ちゃんにずっと話しかけてたけど、希ちゃんに連れていかれちゃった」

「そうだったのか、小町?」

「あはは……なんかすごいマシンガントークだった。ギャップがあるというか」

「私もあんな絵里ちゃん初めて見たな」

 

 よくわからんが絢瀬さんは小町が気に入ったようだ。お目が高い。まあ渡さんがな。

 そのままぞろぞろと皆で出口まで向かおうとすると、真姫が無言で袖をひいてきた。

 

「?」

 

 何事かと振り返ると、彼女は音も立てずに耳元に唇を近づけ……

 

「さっきの八幡……結構カッコよかったわよ」

「っ!?は?」

「なんてね」

 

 ふわりと甘い香りを残し、小町達と並ぶその背中を、俺は数秒呆けたように見つめ、遅れないように何とか歩き出した。

 

 

 

 

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