イベントから一週間経ち、今度はうちの学校が修学旅行となる。小町からお土産のリクエストを聞き、真姫からも同じようにお土産のリクエストを聞き、後はのんびりと修学旅行を楽しむだけだったのだが、まさかの奉仕部への依頼が入った。相手は葉山グループの一人、戸部である。どうやら海老名さんに告白したいらしい。見たところ上手くいく可能性はかなり低そうだが……。
まあ今回は上手くいくかどうかより、奉仕部として戸部の告白をアシストするのが目的なので、そこは置いておく。
……少し気になることもあるが。
「で、どうして京都でお前らと遭遇するんだ?」
「別に。ママに用事があるからってつれてこられただけよ」
「えっと、私達は真姫ちゃんに誘われて……」
「真姫ちゃんは照れ屋にゃあうん!?」
真姫にデコピンを喰らった星空のうめき声に苦笑しながら真姫に目を向けると、ぷいっと目を背けてしまった。
「そういうことだから!へ、変な勘違いしないでよね。追いかけてきたわけじゃないんだから!」
「いや、誰もそこまでは言ってない」
そんな勘違いは中学生で卒業している。まあ、これまでは旅先で知り合いに会ったとしても「誰?」と怪訝そうな顔されてただろうからな。
「そっちは今からどこ行くの?」
「ん?ああ、清水寺の方だ。今日はバスであちこち見て回るらしい」
「そう、こっちとは逆の方向ね。じゃあ楽しんできて」
「おう、そっちも」
真姫達はどこからともなくやってきた高級車に乗り込み、そのまま駅を後にした。
ほんの数秒だけ、真姫と京都を散策する妄想が勝手に浮かんできたので、慌てて振り払った。いや何考えてんだ、俺。さすがに妄想がすぎるぞ。何ならさっきまでいた真姫が俺の妄想のリアルブートの可能性がある。
「あ、ヒッキーいた!もう、何やってんの?皆集合してるよ!」
「……悪い。今行く」
まあ、数秒でも顔が見れただけ良しとしよう。
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「♪〜〜」
「真姫ちゃん、ごきげんにゃ〜」
「比企谷先輩に会えたから、かな」
「べ、別にそんなんじゃないわよ。良い曲浮かびそうだったからつい口ずさんでただけ」
「ふふっ、真姫ちゃんったら♪ああ、明後日は3人自由行動でいいわよ。修学旅行みたいに」
「えっ?」
いたずらっぽい笑みを浮かべるママに、口元が緩みかけるのを抑えながらも目を向ける。
「あ〜、せっかくだし凛達も修学旅行生に人気の場所に行きたいにゃ〜」
「わ、私も、行ってみたいな……」
さらに二人が白々しい棒読みで希望を伝えるので、私は溜息を吐いた。
……まったくもう、また騒がしくなりそうね。悪い気はしないけど。