「「…………」」
俺と真姫は互いに顔を見合わせた。
いや、当たってるんですけど。ていうか、ステージでのアレを見られてたから、そう思われても仕方ないんだけど!
だが、まさかこんなタイミングで言われるとは思わなかったので、二人して即答することができなかった。
だが、このまま黙っているわけにもいかないので、俺は真姫に頷いてから、真姫母の顔をバックミラー越しに見た。
「……はい。娘さんとお付き合いさせていただくことになりました」
「八幡……」
真姫はぽつりと呟くと、ぷいっと窓の外に目を向けてしまった。よく見ると耳まで赤い。とはいえ、こちらもそうなっているのは鏡を見なくてもわかりきっているので、とてもからかえそうもない。
真姫母は鏡越しにちらりと目を合わせ、再び前を向いた。
そして、信号が変わり、再び車が動き出す。
彼女の口元にはいつもの微笑みが張り付いたままだった。
「そっかぁ……ふふっ、おめでとう」
「えっ、あ、ありがとうございます……」
全身の緊張が解けていくのを感じていると、真姫母はまた「うふふ」と笑った。
「もしかして反対されると思ってたとか?」
「いや、何つーか……『この子には許嫁がいるのよ』とか言われちゃうんじゃないかと」
「あははっ、それはないわよ。確かに病院を継ぐことにはなってるけど、そこに口出したりはしないわ~。それにこの子がそんなこと納得すると思う?」
「思いません」
容易に想像がつく。真姫も確かにと言わんばかりに頷いていた。
その様子をバックミラー越しに見た真姫母はまた吹き出すように笑った。どうやら期待通りのリアクションだったらしい。
「しかし、あの真姫ちゃんが高校生の間に恋人ができるなんてね~。女子高通ってるし、まだ先の話かと思ってたわ~」
「『あの』ってなによ。『あの』って。イミワカンナイ」
「聞いてもいい?どっちから告白したの?」
聞いてもいい?と聞きながら、こちらの返答を待たずして繰り出された質問に、真姫が「はあっ!?」と声を上げた。
「い、言うわけないじゃない!!何言ってんのよママ!?」
「八幡君、どうなの?」
「え、あ、いや、俺からと言いますか……でもその前に色々あったりで、真姫の言葉がなければ言えてなかったので、真姫からといってもいいような……」
「八幡も言わないの!バカ!」
「あらあら、お熱いわね」
「誰のせいよ!」
結局寿司屋に着くまでこのやりとりは続き、何なら店に入ってからも質問攻めにあってしまった。