ハロウィン当日。
俺は小町と戸塚というまさに両手に花なメンツで秋葉原に来た……はずなのだが。
「どうしてお前がいんだよ……」
「はっはっは!愚問だな、比企谷八幡!秋葉原に向かう道中、貴様を偶然見かけた。最早これは運命というほかあるまい!!」
「いや、普通に気持ち悪いから。お前、もうちょいよく考えてしゃべれよ?」
材木座は既に気持ち悪そうな表情をしていた。おい、お前が始めた物語だろうが。おっと、せっかくの休日に無駄なカロリーを使っている場合ではない。
俺は気を取り直すと、駅のすぐそばにある会場へと三人を促した。
「真姫さんに本番前に会えるかな?」
「いや、今日は色々準備が忙しいから、あんま時間がないそうだ」
「そっかあ、じゃあしょうがないね」
仮に会えたとしても本番前に色々カミングアウトするのはアレだからな。落ち着かなくなるだろう。俺が。
とりあえず開演間近になるまで、会場近くをブラブラしていようという話になり、四人固まって動くことになった。
「しっかし、お兄ちゃんが休日に単独行動しないとはねえ~。小町嬉しいよ」
「いや、最近はそうでもねえだろ。え、何?もしかして三月辺りにタイムスリップしてんの?」
「ほら、これまでの歴史があるから、未だにしみじみしちゃうんだよ」
「それは……俺の責任だな」
「あはは、最近八幡教室でも話しかけてくれるもんね」
戸塚の言葉に小町が反応し、そこから二人がわいわい話し始める。材木座は怪訝そうな目をこちらに向けていた。まあ仕方ない。特に端から見て何か変化があるとは俺自身思わない。
そうこうしているうちにアナウンスが響き、俺たちは回れ右をして会場へと足を踏み入れた。
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「わあ、すごいね」
戸塚が感嘆の声を漏らすと、同じように小町もきゃあきゃあ騒いでいた。
まるで都市圏のハロウィンの夜みたいに、ハロウィン感のある衣装に身を包んだスクールアイドル達があちこちにいた。
材木座はチラチラと目をやりながらも、女子比率の多さからか、居心地悪そうに黙ってしまった。気持ちはわかる。この前の結婚式場でのイベントとかライブ始まる前、しんどかったもんなぁ。だって男の子なんだもん!
「これなら小町もコスプレしてくればよかったかなぁ。ね、戸塚さん」
「え、いや僕はそういうのはあんまり……」
「「…………」」
戸塚のコスプレか……定番の小悪魔でもナースでもいい。うん、いい。
材木座も同じ事を考えているのか、戸塚を凝視している。おい、やめろ。呪うぞ。
すると、その妄想を断ち切るように開演のアナウンスがライブの始まりを告げた。