ハロウィンということもあってか、今回のライブはただ観るだけではなく、観客も演出に参加するような形のものであった。タイミングよく膨らませた風船を飛ばしたり、クラッカーを鳴らしたり、笛を吹いたり、などとグループがそれぞれアイデアを持ち寄ったもので、目まぐるしい時間が流れたからか、あっという間に時間が過ぎていった。
そんな中、μ'sはハロウィン感たっぷりの可愛らしい衣装を身にまとい、この日のために書き下ろされた楽曲を全力でパフォーマンスしていた。
ここ最近またランキングを上げたμ'sの注目度は高く、ミューズが登場する前から会場の観客の数は目に見えて増え始めていた。
そして、その期待を裏切らない……いや、良い意味で裏切る最高のパフォーマンスに、会場は割れんばかりの拍手を贈る。
俺もなるたけ力いっぱい拍手の音を響かせた。彼女の耳に届くように。
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ライブ終了後。
俺達は会場から少し離れた場所で真姫達が来るのを待っていた。
「お兄ちゃん、珍しいね。いつもなら真っ先にお家に帰るとこなのに」
「小町ちゃん。最近はそうでもないからね」
そんなくだらないやりとりをしていると、こちらに向かってくる三人の姿が見えた。
「あっ、真姫さん、花陽さん、凛さ~ん!!こっちこっち!」
小町が手招きすると、その中の一人・星空凛がライブの疲れなど微塵も感じさせない速さでこちらに向かってきた。
「小町ちゃ~~~ん!!!」
何故か二人は熱い抱擁を交わす。仲良いね、君達。
「お待たせしました」
小泉は到着するなりぺこりと頭を下げ、その後ろから……
「お待たせ」
真姫が意味ありげな視線をちらりとこちらに向け、さりげなく俺の隣に並んだ。
これが合図だと何となく思った俺は、全員に目をやり、ゆっくり口を開いた。
「なあ、皆……ちょっといいか」
「八幡?」
「どしたの、お兄ちゃん?」
「その、あれだ……お前らに言っておかなきゃならないことがあるんだが……」
「にゃ?」
「な、何でしょうか?」
「…………」
星空、小泉、材木座が首を傾げたところで俺は覚悟を決めた。
「実は……俺と真姫なんだが……付き合うことになった」
「えっと、そういうことだから……」
真姫が締めくくるように呟くと、何だか別の緊張が生まれ始めた。
言いそびれたのはこちらの責任なので仕方ないが……。
だが、目の前に見える反応は想像とだいぶ違っていた。
「「「「今さら?」」」」
きょとんとしている材木座以外の面子は示し合わせたかのように、そう一言呟いた。