現在、俺は奉仕部の部室で何とも言えない時間を過ごしていた。
奉仕部に舞い込んだ依頼、それを部員の3人で聞いているのだが、如何せん空気が悪い。まあ、ただ空気が悪いのは慣れているつもりなのだが、今部室に漂っているそれは、これまでのものとは違っていた。
まあ、これまでとは違い、互いに少し踏み込んだ分だけ、色んなものが混ざり合った空気になっているのだろう。
ちなみに今は依頼についての解決案を出し合っている最中だ。
先日部室を訪れた一色いろはの依頼、『無理矢理立候補させられた生徒会長職を円満に避ける』という悪戯にしてはタチが悪いものだが、俺はこの依頼に対してある解決策を思いついた。
……これを解決策と呼ぶのはさすがにどうかと思うが。
「比企谷君、貴方の意見を聞かせてもらえるかしら」
「ヒッキー……」
この前の件があるからか、雪ノ下も由比ヶ浜も表情や声が硬い。
次の俺の言葉で、さらに硬くならなければいいが、と小さく祈りながら、俺は用意してきた言葉を脳内でもう一度確認してから口を開いた。
「あー…………奉仕部で一色と一緒に生徒会をやるってのはどうだ?」
「「…………は?」」
二人のリアクションの後に静寂が訪れる。
あーあ、やっぱりこうなったか。
とりあえず俺の言葉の意味は理解してそうなので、そのまま話を進めることにした。
「とりあえず……この前みたいなのはもうやめだ。で、一色の依頼を手っ取り早く解決するならこれが一番かと思ってな」
「でも、それじゃあ一色さんは生徒会長をすることになるじゃない」
「いや、会長は雪ノ下、お前にやってもらう。で、副会長は……由比ヶ浜だ」
「え?何をいきなり……」
「む、無理だよ、ヒッキー、あたしがいきなり副会長だなんて……」
「これで一色は最強の後ろ盾を得ることになる」
「それは……そうかもしれないわね」
雪ノ下が得心したように頷く。俺の狙いは既に理解してくれたらしい。
あの雪ノ下雪乃と三浦をはじめとした華やかな友達の多い由比ヶ浜結衣と共に生徒会役員として仕事をして結果を出せば、今後このような面倒事を一色h避けることができる。何なら内申点のおまけつきで嫌がらせした奴らを見返すことができるだろう。
「でも一色さんが納得するかしら」
「もう話は通してある。あとはお前らが力を貸してくれるかだ」
俺は立ち上がり、二人の前に移動し、交互に目を合わせてから……頭を下げた。
「頼む。力を貸してくれ」
「「…………」」
二人が息を吞む気配を感じた。
俺は頭を下げたまま、二人の返事を待った。