「お、おう……」
まあ、そりゃそうだ奉仕部の二人も千葉に住んでいるのだから路上ライブをしていたら、こうして偶然目撃される可能性もゼロではない。
とはいえ、こうして実際にこういう場面になると、やっぱり何を言えばいいかわからなくなってしまう。
それは向こうも同じなのか、目をぱちくりさせていた。由比ヶ浜はともかく、雪ノ下のこういう表情を見るのは極めて珍しい。
一番先に口を開いたのは由比ヶ浜だった。
「え?ヒ、ヒッキーだよね?」
「……ああ、そうだ」
「さっきからギター弾いてたよね?」
「一応」
「え、どゆこと?なんか夢見てるみたい……」
由比ヶ浜は何故か自分の頬をつねっていた。おい、そこまで意外か。意外だな。
「落ち着きなさい、由比ヶ浜さん。いくらなんでも驚きすぎよ。私も驚いているけれど……誰にでも意外な一面はあるものよ」
「そ、そうだよね、うん」
雪ノ下の言葉に由比ヶ浜はゆっくり頷いた。
そして、落ち着いてから、今度は二人の視線が真姫に向いた。
真姫もその視線を受け止め、どちらからともなく会釈する。
とりあえず、俺が紹介するのが礼儀だろう。
「あー、この二人が奉仕部の……あと今生徒会役員としても一緒に活動している雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣だ。で、こっちは西木野真姫。あー……」
もちろんどう紹介しなければいけないかなんてわかっている。だが、この前とは違った緊張感がある。部活仲間というだけでこうも違うものなのだろうか……なめてたぜ。
真姫はこっちを……あ、見てる!めっちゃ見てる!ここでビビッてご誤魔化したりしたら、天照で焼き尽くされちゃいそう!!!
俺は覚悟を決めて二人に向き直った。
「……まあ、その……付き合ってる」
「「…………」」
時間が停まったかのような沈黙。
数秒がやたらと長く感じるような感覚。
そして、やがて……
「えええぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
「…………」
由比ヶ浜の絶叫に雪ノ下のまばたき。
二人は何度か俺と真姫を交互に見てから、躊躇いがちに真姫の方に話しかけた。
「は、初めまして、さっき紹介された由比ヶ浜結衣です。ヒッキーとはクラスメイトです」
「えっと、初めまして、西木野真姫です。音ノ木坂学院に通ってるわ」
「音ノ木坂……?あれ、この辺じゃない、どっかで聞いたような……あー!!!今ラブライブで有名なユーズの西木野真姫ちゃんだよね!?」
「ミューズな」
由比ヶ浜らしいっちゃらしい間違いである。だが知っていたらしい由比ヶ浜はガンガン真姫に話しかけ始めた。そしてこのコミュ力も由比ヶ浜らしい。真姫は戸惑いながらもきちんと対応していた。
「あの、まだ私が自己紹介していないのだけれど」