やけに濃い時間が過ぎ去り、窓の外から聞こえてくる音にも気を配れるようになると、俺と真姫はさっきみたいに肩を寄せ合っていた。
……ていうか、顔見れないんですけど!照れくさいというか何というか……てか、っべーわ。語彙力消し飛んで戸部るわー。
唇に焼き付いた感触を確かめるように口元に手を当てると、さっきまであんなに激しく貪りあっていたのに、また欲しくなっている自分に気づいた。
やばい、自分でも止められん……。
「真姫……」
「待って。これ以上しちゃったら……帰りたくなくなるから……ごめん」
「……わかった」
そんな風に言われてしまっては我慢するしかない。
……落ち着け、八幡。過去の黒歴史を思い出して気持ちを落ち着けるんだ。
「何ていうか、その……すごく幸せな気分よ。ありがとう」
「ああ、こちらこそ」
まだ浮遊感みたいなものが体に残ったまま真姫を見つめると、彼女は小さく笑った。
「ふふっ、何だかん自分が自分じゃないみたい」
「同じ事思ってた」
「ねえ、ワガママ言って申し訳ないんだけど、やっぱり、その……させてあげてもいいわよ」
「…………」
「な、何よ、なんか文句あるの?」
もちろん文句などあるわけないし、何なら望むところまである。
俺は真姫の次の言葉ごと塞ぐように唇を重ねた。
今日はこれで最後なんだと考えたら名残惜しくて、焼き付けるように息が苦しくなるまでそうしていた。
唇を離すと、どちらも息が荒くなっていた。
「はぁ……はぁ……な、長すぎよ」
「はぁ……はぁ……悪い、嫌だったか?」
「……全然。私こんなに……」
「?」
「い、言わせようとしないでよ!こんなにアンタの事が好きってだけよ!」
「っ……!」
そこまで真正面からはっきり好きと伝えられると、もうむずかゆさとかを通り越して、何だか涙腺が緩みそうになる。危ねえ、メンタル鍛えられてなかったら、泣いてたかもしれない。
それを悟られないように俺は真姫を包み込むように抱きしめた。
「……ずるいわね」
「何が?」
「私は好きって真正面から言ったのに」
「すまん」
「謝らなくていい」
真姫はそう言いながらも拗ねた声音だった。確かにこのタイミングで照れているのは我ながら訳が分からない。
俺は真姫から体を離し、その瞳を真っすぐに見据えた。
「……俺も、お前が好きだ。こんな感じが初めてで、うまく言葉にできないのがもどかしいんだが……」
「それだけ聞ければ満足よ。だって八幡だもの」
「なんだ、それ。無駄に説得力あんな」
結局二人して引き寄せ合うように、もう一度唇を重ねた。