「奉仕部でクリスマスイベント?」
「ああ、まあ地域交流みたいなもんだ」
「そういうの面倒くさいって真っ先に言いそうなのに」
「ぐっ……いや、当たってるんだけどね。まあ、社畜になったらやりたくないだけじゃ通らないこともあるから練習してんだよ」
「へえ、やっと専業主夫の夢は諦めたのね」
「いや、それは胸の中にしまってある」
「なんか良さげな言い方してんじゃないわよ」
「そっちはクリスマスに地区大会決勝なんだろ?」
「ええ、そうよ。お互い忙しいわね」
「……だな」
「べ、別にクリスマス一緒にいれないから寂しいとかで言ったわけじゃないわよ?」
「そっか……」
「いや、地味に落ち込まないでよ。悪い気はしないけど」
「ああ、まあこれも社畜体験と思っとくわ」
「そんな嫌な体験学習ある?」
「つーか、もう新曲はできたのか?この前煮詰まってるっつってたけど」
「……まだね。メロディーは思い浮かぶんだけど、あんまりピンと来ないのよ」
「そっか。大変そうだな」
「ええ、大変よ」
「……何かできることあるか?」
「そうね。じゃあもう少し話し相手になってくれない?」
「それならお安い御用だ。最近は会話も慣れてきたからな」
「今さらっと悲しい事言わなかった?ああ、それとママが年末にまたイベント出て欲しいって言ってるんだけど」
「え、何?あの人イベンターなの?俺らプロデュースされちゃってるの?」
「それはよくわからないけど……まあ、いいんじゃない?演奏できる場所があるなら。そっちは予定大丈夫そう?」
「ああ、まあ年末だからって特別な用事もないからな」
「だと思ったわ。それを彼女の前で言うのはどうかと思うけれど」
「い、いや、そういう意味じゃないから、ほら、言葉の綾というか……」
「じゃあ、当日の演奏ミス一回につき、言う事一回聞いてもらうわね」
「え、マジ?言うことなら大体の事は聞ける気がするんだけど、いきなりすぎやしませんかね」
「大体は聞けるって……じゃあ、ミスしなかったら何でも言うこと聞いてあげるわ」
「…………」
「何いやらしい事考えてるのよ!!」
「いや、世界平和について考えてたと言いますか……はい」
「まったく……まあ、でも、まずはちゃんと成功させないとね」
「だな。てか、今度はどこでやるの?千葉?千葉だろ?千葉だよな?」
「移動を面倒くさがらないの。今回は東京よ」
「曲順はどうする?」
「今回は八幡が決めて」
「……了解。やってみる」
結局そのまま話し続けていたら、いつの間にか日を跨いでしまっていた。