クリスマスの翌日、俺は秋葉原に向かう電車に揺られていた。
窓の外から見える街の風景は、たった一日違うだけなのに既に祭りのような華やかさは薄くなっていた。
そんな普段通りの景色に目をやりながら、俺は昨日の感動を再び噛み締めた。
ラブライブ地区予選決勝、μ'sはA-RISEに勝った。
どっちのパフォーマンスが上かとかそういった専門的な事は分からないが、昨日のμ'sのパフォーマンスの熱量は画面越しからでもその凄さが伝わってきた。
イルミネーションを使った演出も相まって、観るものの心を惹きつけた結果が昨日の勝利だったのだろう。
ちなみに、こちらのイベントも無事成功した。
ただ一つ不満があるとすれば、昨日あのまま倉庫で寝落ちしてしまい、日を跨ぐ直前に小町に電話で起こされたことくらいだ。ねえ、誰か探しに来てくれてもよくない?勝手にステルスヒッキー発動しちゃってた?あ、いつものことか。てへっ。
あれこれ考えているうちに電車は秋葉原へと到着しかけていた。
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改札を抜け、駅を出ると、すぐに真姫を見つけた。彼女も同じのようで、こちらに真っ直ぐに視線を向けているのが分かる。
「おう、悪い。待たせた」
「さっき来たばかりだから大丈夫よ」
そう言って真姫はするりと腕を絡めてきた。
「っ!?」
「何驚いてるのよ。寒いんだから少しくらい温めて」
「……りょ、了解」
腕を組んで歩くのは初めてだったので、やたら緊張感が高まってきたが……あ、てか、めっちゃいい匂い、あと肘のあたりに柔らかな感触が……!
「どうしたの?もしかして緊張してる?」
「……いや、そんなんじゃねえし。ただ、まあ、あれだ……行くか」
「誤魔化したわね。まあ、いいけど」
「ああ、あと言い忘れてたわ。地区予選通過おめでとう。あとお疲れ」
「うん、ありがとう。そっちもお疲れ様。小町から聞いたわよ。イベント大成功だったそうじゃない」
「大成功っつーほど派手なもんじゃないが、まあうまくいってよかったわ。ありがとな」
二人して労ったりお礼を言い合ったりしていると、寒さが少し遠のいた気がした。
「ち、ちなみに今日は飛び入りでどこかでライブしたりはするんでしょうか?」
「流石にそんな野暮なマネはしないってママも言ってたわよ」
一応確認されちゃうくらいには信用がない真姫ママである。
「それに、ライブは年末に控えてるんだから。もちろん忘れてないわよね?」
「そりゃあな」
結局そのまま音楽の話をしながら、俺達は一日遅れのクリスマスを始めた。