「おお……」
思わず感嘆の声が漏れる。
真姫が作った弁当は何というか、微笑みながら心の中で「こういうのでいいんだよ」と言いたくなるような内容であった。
卵焼きにウインナー、からあげといったような王道のおかずに、シンプルなおにぎりというド直球に食欲をそそる中身だ。
ついでに差し出されたお手拭きで手を拭くと、すぐに手を伸ばしたくなってしまったが、さすがにはしたないかと思い自重した。
「ふふっ、いいわよ。味見はしたから大丈夫なはずだけど早く感想聞きたいから」
「そっか。じゃあ……いただきます」
手を合わせてから、俺はまず……箸で卵焼きをつまんだ。
ぱっと見シンプルな黄色い卵焼きは、口に含むとほんのり甘くて、ちょうどいいやわらかさだった。
「……どう?」
「……うまい。本当に」
「そう、ならよかったわ。初めてだったから……」
「そっか。何つーか……ありがとう」
「ふふっ、感謝してよね。パパにだってまだ食べさせてあげたことないんだから」
「え、マジ?大丈夫?俺、狙撃されたりしない?」
「どうしたのよいきなり」
真姫父にはまだ会ったことないが、何ていうか……向こうには俺の個人情報やら何やら知られている気がする。考えすぎか。
「そういや、お前んちの父ちゃんと母ちゃんはその……知ってるのか?」
「え、何を?」
「あー、俺とお前が……付き合ってるというか……」
「もちろん昨日言ったわ。ママに」
「……そっか」
考えすぎではないかもしれない。真姫母の口から伝わってる可能性は高い。
とりあえず背後を確認してから、俺はおにぎりを目一杯ありがたみを込めて頬張った。
「変な心配しなくていいわよ。八幡は……私の選んだ人なんだから」
「っ!」
不意打ちでときめかせてくるのやめてくれませんかね。危うく吹き出しそうになったわ……。
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……よかった。
どうやら八幡のお口にあったようだ。
自然とこちらの口元も緩んでくる。
ちょっとからかってみようかしらね。
私は唐揚げを一つ箸でつまみ、八幡に差し出した。
「は、はい、あーん……」
「え?……えっ?」
八幡はすぐに耳まで真っ赤になって目をぱちくりさせた。うん、可愛いわね。
本当はここで「冗談よ」と言って自分で食べるつもりだった。
しかし……
「真姫ちゃん……」
「ラブラブにゃあ……」
「はっ?」
聞き慣れた声に振り向くと、そこには花陽と凛がいた。
何、ですって……!
二人揃ってやや引き気味の表情を見せている。
……ちなみに八幡は目を閉じて口を開けている。
「え、えっと違うの、これは……!」
「あ、だ、大丈夫だよ!二人は恋人同士だもんね!」
「そ、そうにゃ!別にいちゃついても不思議じゃないにゃあ!」
「だから、違うのよ〜!!!」
青空の下、思った以上に私の声は響いた。