「…………明日学校で何て言えばいいのかしら」
「まあ、その、何つーか……頑張れ」
「他人事みたいに言わないでよ」
「つっても俺にはどうにもできんからな。女子高入れねえし」
「まあ、それもそうだけど」
まさかあんなタイミングで知り合いが現れるなんて思いもしなかった。俺が異変に気づき目を開いた頃にはこの場を去っていったが。
ちなみに唐揚げは二人の姿が見えなくなってから、やや強めに口のなかに突っ込まれた。うまかった。あと少し痛かった。
何というか、味以外にも真姫が人生初の手作りお弁当を恋人として作ってくれたという事実に、うっかり『おはだけ』や『おはじけ』や『おさずけ』しそうになりながら、腹も心も満たされた。
いかん、満足感が高いというか、満足すぎてさっきのアレを知り合いに見られた気恥ずかしさとかも今は気にならない。後から恥ずかしさに悶えるかもしれないが。
「ニヤニヤしすぎ。ま、まあ、仕方ないかもね。私の手作りのお弁当食べたんだから」
「ああ、仕方ない。俺は悪くない。お前が悪い。てかなんで最初からあんなうまくできるんだよ。チートかよ」
「どんなテンションで褒めてるのよ。捻デレなんだから」
「捻デレ言うな」
ツンデレvs捻デレとかバカップルっぽい感じがして嫌だ。まあ、浮かれているのは最早自分でも認めるしかない事実なのだが。
「色々余韻に浸ってないで、次は八幡の番よ。どこに行くの?」
真姫にじっと見つめられ、俺は前もって決めていた場所をもう一度思い浮かべた。
この案は昨晩思いついた時はすごくいい案に思えたのだが、デートの合間に改めて考えてみると、安直というか……なんか手抜きに思われそうな気がして言いづらかった。
とはいえ言わないわけにもいかない。
「……今からケーキとチキン買ってお前んち行きたいんだが」
「いいわよ」
「えっ、いいの!?」
まさかの即OK。
驚きのあまり聞き返すと、真姫は何故か穏やかな笑みを見せている。
「だって八幡がその方が楽しいと思ったんでしょう?」
「まあ、あれだ。せっかく会ったんだから一緒に楽器弾きたいと思ってな」
「へえ、練習熱心ね。次のライブが楽しみだわ」
「……慣れてきたからな。次はもうちょいマシになるかもしれん」
「あら、頼もしいわね」
真姫はからかうように笑い、再び腕を絡めてきた。
「サンタさんが新しい電子ピアノをプレゼントしてくれたから八幡にも見せたかったし、丁度いいわ」
「そっか……………………ん?」
なんか今真姫らしからぬ単語を口にした気がするんだが……。