とりあえずショッピングモールに到着すると、初売りのためかやたら混み合っていた。
「すげえ混んでんな。どうする、帰る?」
「はいはい、せっかく来たんだから行くわよ」
どうやら俺の提案は受け入れられないようだ。まあ仕方ない。また外に出ると寒いからな。
どっかのブランドの福袋にはやたらと長い行列ができていて、最後尾は店の外まで伸びているようだ。
「この中にどんだけ転売ヤーいるんだろうな」
「どんな視点で見てんのよ⋯⋯まあ、八幡らしいけど」
「そういや西木野家は初売り行かなくてよかったのか?」
「ウチはあんまり⋯⋯正月からあんまりバタバタ動くのが好きじゃないのよ」
ていうか西木野家はわざわざセールに食いつかなくてもよさそうだ。
「そういや、もうラブライブ用の曲作りとか始めたのか?」
「ええ。でもまだ何も形になってないんだけど」
「そっか。まあ、良い曲ができるといいな」
「大丈夫よ。八幡が初詣で祈ってくれたから」
「えっ?なんでお前知ってんの?エスパー?もしかして俺声に出してた?」
「ただの当てずっぽうよ。八幡ならきっと祈ってくれるって思ったの」
「⋯⋯そりゃどうも。てか、違ってたらどうなってたんだよ、怖いんだけど」
「えっ?えっと⋯⋯一ヶ月キスしない、とか?」
「⋯⋯⋯⋯」
それはめちゃくちゃしんどい。が、その前に急に顔を赤くしながら、しかもこんな場所で言わなくても、と思ってしまう。あと可愛い。
てか、やっぱり一ヶ月はしんどくない?最早拷問に近いんだけど。
「じょ、冗談よ。そんな暗い顔しなくてもいいじゃない」
「⋯⋯まあ、いつも暗い顔してるっちゃしてるけど」
「いつもより暗くなってたわよ」
いつも暗いのは否定しないのかよ。いや、それは自己責任か。
「あ、ヒッキー!真姫ちゃん!」
急に聞き慣れた声で呼ばれたので目を向けると、そこには由比ヶ浜と雪ノ下がいた。
「やっぱりそうだ、やっはろ〜!」
「おう」
「や、やっはろー⋯⋯」
真姫がやっはろーを使ったことを意外に思いながら、雪ノ下の方に目をやると、呆れたような笑みを見せた。
「貴方達、まずは新年の挨拶が先だと思うのだけれど」
「⋯⋯確かに」
「それもそうね」
「あはは⋯⋯」
全員気を取り直して新年の挨拶をすると、由比ヶ浜が目を光らせ、距離を詰めてきた。
「二人は新年初デート!?」
「あ、ああ、まあ⋯⋯」
「⋯⋯そんな感じです」
「ほら、由比ヶ浜さん。二人とも困ってるじゃない。それに福袋買いに来たんじゃないかしら」
「あっ、そうだった!じゃあ、またね!」
「それじゃあ、今年もよろしく」
「「⋯⋯⋯⋯」」
こちらが返事をする前にどんどん遠ざかっていく二人に呆気にとられながら、今年も賑やかになりそうだという確信に近いものを感じた。