「じゃあ、行ってくるわね。送ってくれてありがとう、パパ」
パパの頬にお礼のキスをして、車を見送ると、久々の空港の入り口へとゆっくり歩く。
メンバーを見かけるかと思ったけど、特に誰とも会わなかった。もう待ち合わせ場所にいるのかしら?間違いなく何人かは少し遅刻してくるだろう。
そして待ち合わせ場所には⋯⋯誰もいなかった。
まあ、仕方ないわね。まだ少し早いし。せっかくだからあちこち見て回ろうかしら。
「⋯⋯八幡の見送り、断らなければよかったわ」
最初八幡は見送りに来ると言っていたけれど、それだけのために時間を割いてもらうのは申し訳なかったのだ。まあ、後で冷やかされるのが面倒だったのもあるけど。
八幡って空港の待ち時間ではどんな事してるんだろう?小町にあちこち連れ回されてるか、その辺のベンチで読書してそうだけど。
「どうかしたん、真姫ちゃん?」
「っ!?ちょっと驚かさないでよ!」
「さっきから呼んでたんやけど⋯⋯」
希が呆れたように笑っている。どうやら嘘じゃないらしい。まだアメリカに行く前からこれじゃ⋯⋯自分でも心配になるわね。一旦八幡の事を考えるのはやめておかなきゃ。
「まあまあ、比企谷君の事考えてしまうのは仕方ないやん?」
「当たり前のように心の中を読まないで!」
「じゃあ考えてたんやね」
「⋯⋯⋯⋯」
これ以上何を言っても墓穴を掘りそうなので黙っておこう。
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空港で真姫から身を隠し、こっそり飛行機に乗ることは無事成功した。
だが一つ問題が起こった。
「ねえねえ、海未ちゃん!私、グランドキャニオン行きたい!」
「何を言ってるのですか。遠すぎますし、観光に来たわけじゃないんですよ」
「またいつでも行けるよ。穂乃果ちゃん」
「ふふっ、グランドキャニオンでライブもいいかもね」
「ああ、どうしよう?にこにーの魅力がアメリカ全土に広まっちゃったら」
「まだ日本全土にすら広まってないんやない?」
「な、なんか緊張してきたね⋯⋯」
「でも楽しみにゃ〜!」
「凛、飛行機の中ではしゃぎすぎないの。周りに迷惑になるでしょ」
まさか前列がμ's御一行とは。ビビらせてくれるじゃねえか。まあ、座ってしまえばこっちのもんだ。後は俺と小町が顔を見られないようにしとけば⋯⋯。
「ねえねえ、真姫ちゃん!比企谷くんとは最近どうなの?」
「は?いきなり何聞いてんのよ!」
おっといきなりアレな話題が来やがった。隣には親父と母ちゃんいるのに⋯⋯。
だが、こういうのは真面目そうな園田さんが止めてくれるはず⋯⋯
「わ、私も興味あります。後学のために⋯⋯」
何、だと⋯⋯。