「べ、別に話すほどのことなんてないし!」
「えっ、じゃあキスとかしたことないんだ!」
「あるに決まってるでしょ!あっ⋯⋯」
真姫が頭を抱える姿が簡単にイメージできてしまう。何なら俺も今頭を抱えている。だって小町だけじゃなく親父と母ちゃんまで笑いをこらえながらこっちを見てるんだもん!このままじゃ恥ずかしくて死んじゃう!
「ま、真姫、貴方はそんなハレンチな真似をしたのですか!?まだ高校生だというのに!」
「あはは、でも付き合ってる高校生同士なら普通じゃないかな?」
「⋯⋯エリチカ、おうち帰る」
「エリチ、もう空におるんよ。諦らめよ?」
「ふんっ、アイドルが恋愛言ってんじゃないわよ!まあ、にこにーもモテモテだから気持ちはわかるけどね?」
「にこちゃん、熱でもあるにゃ?⋯⋯いふぃいにゃ〜!」
「あはは、真姫ちゃん相変わらず比企谷先輩と仲良さそうだね」
「あぁ、もう⋯⋯イミワカンナイ」
小町が「ドンマイ」と言いたげに肩を叩いてきた。親父と母ちゃんは最早ニヤニヤを隠す気がないのが苛つく。
「ねえねえ、二人っきりの時はなんて呼びあうの?」
「も、もしかして「ダーリン」「ハニー」とか呼び合うんじゃないわよねえ!?」
「そ、そんなわけないでしょ!?ていうか名前呼んでくれるのも出会ってから結構経ってからよ!」
「あらあら、比企谷くんは照れ屋さんなんやね」
「シャイなのね⋯⋯可愛い」
「わぁ、そうなんだぁ。真姫ちゃん、私の名前呼び捨てで呼ぶのも時間かかったもんね」
「それとこれとは別でしょ?それに八幡は今でも名前呼ぶ時照れてる時あるんだから⋯⋯」
いや、それはない。さすがにない。断じてない。男子中学生だってそんな照れねえだろ。どうして急に変なノロケ(?)スイッチ入った?
くっ、親父と母ちゃんがじーっとこっち見てるが、絶対に反応しねえからな!
小町に至っては口元をがっちり抑えて、必死に声が漏れないようにしている。まあ、サプライズ言い出したのはお前だからな。頑張ってくれ。俺もこのタイミングで見つかりたくはない。
こうして、なかなかにハードな時間が過ぎていった。
親父と母ちゃんには、うっかり周りに聞こえる声で名前を呼ばないよう、こっそり念押ししておいた。
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夜中。
トイレに行こうと席を立つと、まさかの人物とすれ違った。
「あらあら、サプライズ成功するとええね」
「⋯⋯⋯⋯」
何だ、この最初からすべて知ってたみたいなテンション。まあ、黙ってくれるみたいだからいいか。
「んっ?んんっ!?まさか彼は⋯⋯!?」
「うんうん、エリチ。幻やよ」
「はい」