日中は家族水入らずの時間を過ごし、ホテルに戻ると、ある事実に驚く。
「⋯⋯つーか、同じホテルか。危うく傍を通るとこだったぞ」
「ごめんごめん。言うの忘れてた、てへっ♪」
何だ、それ。可愛いな。まあ、いいか。サプライズをするなら近くにいるほうが動きやすいだろうし。
何ならここで見つかっても、それはそれでかなりのサプライズだろうけどな。
「それより、夜は作戦実行だから気を抜いちゃダメだからね。約束だよ?」
「もちろんだ。あとそろそろ聞かせてくれると助かる」
この後、部屋で小町からサプライズの内容について、じっくりと聞かされた。
********
「真姫ちゃん、ニューヨークの夜景ってすごいね」
「そうね。良いホテル取ってくれたラブライブの運営に感謝だわ」
東京とは違ったきらびやかな輝きに視線をつい固定させられてしまう。別に初めてじゃないけど、同じグループのメンバーと来ているという開放感がそうさせるのかもしれない。
「そういえば凛はどこに行ったのかしら?」
「隣のにこちゃん達の部屋だよ」
「そう、なんかニューヨーク観光してる間も落ち着かなかったわね。まあ、海外初めてだって言ってたから仕方がないのかも」
「あはは、そうだね⋯⋯あ、ちょっと私様子見てくるね」
「ええ、わかったわ」
花陽が部屋を出ると、中はしんと静まり返り、街の音がよく聴こえてくる。
⋯⋯暇になったから先にシャワーでも浴びてようかしらね。
********
「比企谷先輩、真姫ちゃんは今なら一人です!」
「さあ、真姫ちゃんを喜ばせてくるにゃあ!」
「お兄ちゃん、もしかして緊張してる?」
「⋯⋯ああ、まあな」
如何せんサプライズをされた経験もした経験も乏しい俺には、こういうのは緊張が止まらない。付き合っていたとしても。
「ああ、もう!バカ!ボケナス!ハチマン!とにかく深呼吸して落ち着いて!」
俺は小町に背中を叩かれながら、気持ちを落ち着けるまで少し時間をかけた。
********
シャワーを浴び、タオルを体に巻きつけ、浴室を出ると、まだ花陽も凛も帰ってきていない。
まったくもう、何をしているのかしら。
今頃向こうはすっかり朝ね。八幡はまだ寝てるかもしれないけど。
すると、ガチャリとドアが開いた。
「あら、おかえり」
「⋯⋯おう」
「⋯⋯⋯⋯」
おかしい。
いるはずのない人がそこにいた。
「⋯⋯これ、夢?」
「いや、違う。一応」
喋った。
声もいつもどおりだ。
「は、八幡⋯⋯?え?え?え?」
何故か私は悲鳴を上げてしまった。