「⋯⋯悪い。サプライズの方が何かと良いかと思ってな」
「はぁ⋯⋯どうせ小町と凛あたりが提案したんでしょ?」
「ま、まあ、あいつらは悪くないんだ⋯⋯」
「別に怒ってないわよ。驚いただけ」
悲鳴を上げられた時はどうなるかと思ったが、割とすぐに落ち着いてくれて助かった。
今は二人並んでベッドに腰かけているのだが⋯⋯これ、色々とやばい状況じゃないですかね?
真姫はさっきまでシャワーを浴びてたのか、バスタオルを体に巻きつけただけの姿で隣にいる。多分これ気づいてませんよね。そうですよね。
俺は真姫と反対側を向いて会話を続けた。
「いつから決まってたの?」
「俺はギリギリになって聞かされたからよくわからん」
「そう、楽しんでる?」
「ああ、家族でこういうの久しぶりだったんだが⋯⋯まあ、たまには⋯⋯」
「ふふっ、素直じゃないんだから」
「まさか、お前に言われるとは⋯⋯」
「ていうか、さっきから何で向こう向いてるのよ。こっち見なさいよ」
「いや、何つーか⋯⋯」
「?」
「お前、自分の格好に気づいてるか?」
「え?⋯⋯⋯⋯きゃあああっ!な、何考えてんのよ!!」
「いや、待て。俺は悪くない。世間が悪い」
「ちょっと服着てくるわ⋯⋯きゃっ!」
その小さな悲鳴を聞いた瞬間、体は自分でも驚くくらいはやく動いた。
実際真姫はそんなにこけそうになっていたわけではないみたいだが、俺が受け止めると、急に力が抜け、そのままベッドに仰向けに倒れ込んだ。
俺も首にしがみつかれた勢いで、真姫を押し倒すような姿勢で一緒に倒れ込んだ。
スプリングが軋む感触が収まると、俺達はベッドで向かい合っていた。
「「⋯⋯⋯⋯」」
沈黙。その理由は一つ。
真姫のバスタオルが解けていた。
そして⋯⋯そこに包まれていた真姫の体が露わになっていた。
形のいい胸も、小さな臍も、ほっそりとしているが女性らしいラインを描いている腰も、何もかも⋯⋯そう、何もかもが見えてしまっていた。
その姿に緊張とか興奮とかよりも、ただただ見とれていた。
真姫は頬を赤く染め、唇を微かに震わせている。
どれくらいそうしていたかはわからないが、やがて彼女から口を開いた。
「⋯⋯いいわよ。八幡になら私を全部あげる」
その言葉に導かれるように俺は彼女の肩に手を置き、そっとタオルを戻した。
「八幡?」
「⋯⋯気持ちは嬉しい。でも俺は焦ってないから。その肩の震えがなくなるまで待つ、から」
そう言ってから、彼女に優しく口づけた。彼女の火照りがやけに心地よかった。
唇が離れると真姫は俺の肩に寄りかかり、「ありがと」と小さく呟いてからバスルームに戻った。
⋯⋯俺、今日眠れそうもないんだが。
脳裏に焼き付いた光景をどうすればいいのかわからず、俺は真姫が服を着て出てくるのを待った。