ようやく普段の空気を取り戻し、いつものように音楽の話をしていると、部屋の呼び鈴が鳴った。
覗き穴から確認すると、今回のサプライズの運営委員会メンバー達がいた。
ドアを開けてやると、ぞろぞろと入ってきて、意味ありげな視線を向けてくる。
普段なら『ええい、鬱陶しい』とか考えるところだが、今回は世話になりすぎたので、とりあえず感謝しておこう。
「お楽しみのところ申し訳ないですがお二人さん。もう日をまたぐ頃なので⋯⋯」
「二人っきりの時間はおしまいにゃ〜!」
「え、えっと⋯⋯ごめんなさい」
「ん〜、二人とも随分お楽しみやったみたいやね〜」
「の、希、あなたまでいたのね⋯⋯」
「ふっふっふ、こんな素敵なイベントにウチが絡んでないわけないやん?」
東條さんが言うと、わけわからんのに何故か説得力があるのが不思議。スピリチュアルやね。
「二人とも良い表情やね。素敵な時間を過ごしたようで何よりやん」
「「っ⋯⋯!」」
東條さんの言葉に、さっきの出来事を思い出し、顔が熱くなるのを感じる。
それは真姫も同じだったようで、顔を真っ赤にして、ちらりとこちらを見てから目を逸らした。
⋯⋯やばい。普段よりさらにこいつが可愛く見えて仕方ないんだが。
「え?⋯⋯もしかして大人の階段昇ったん?」
「「昇ってない」」
そこだけは否定させてもらう。
ていうか年少組のいる場で何言ってんだ、アンタは。
「まあ、二人の幸せに貢献できて何よりやね。じゃあ明日のライブは良いものにしようね」
「頑張るにゃあ!」
「そうだね。頑張ろ」
「小町達もしっかり見届けますよ!」
「無理やり良い方向に終わらせようとしてない?まあ、感謝はしてるけど」
「⋯⋯だな」
最後はドタバタしたが、いつもの感じが出ていたので良しとしておこう。明日はライブも観れるからな。
人生初のニューヨークでの夜は甘く賑やかに過ぎていった。
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そしてライブ当日。
タイムズ・スクエア付近に作られた特設ステージにて、μ'sの生配信ライブが行われた。
楽曲は真姫がμ'sのために作っていた曲から選んだらしい。今回陽の目を見る機会があって喜んでいるのがひしひしと伝わってきた。
スクールアイドルとして、これが最後のライブとなるのだろうか。
日本を遠く離れた異国の地で、いつもと違う街の灯りに包まれた彼女達は、これまでで一番の輝きを放っている。
一瞬たりとも見逃したくない。
俺は視界が滲むのを拭い、彼女のパフォーマンスを心にやきつけた。