ライブが終わり、空が夕焼けに染められ始めた頃、スクールアイドル達は記念写真を撮っていた。
その満たされた笑顔に、周りもこみ上げてくるものがあり、中には涙を流している者もいた。
そして、撮影が終わり、高坂穂乃果がスピーカーを使い、周りに告げた。
「それでは皆さん、お時間ある人は東京ドームまでよろしくお願いします!」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯は?」
突然の発表に周りはしんとした空気になる。
確かに東京ドームではスクールアイドルのイベントが準備中ではあるが、μ'sはそれには参加しないことになっていたはずだが、どういうことだろうか?
スクールアイドル達の反応を見ると、彼女達は知ってるらしい。
「ねえ八幡、聞いてる?」
「いや、全然⋯⋯」
「お兄ちゃんにも言ってないなんて、すごいサプライズだね」
いや、俺はマネージャーとかじゃないからね。何でもは知らないからね。知ってることだけだからね。
とりあえず俺達は東京ドームに向かうことにした。
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秋葉原にいた人間全員が東京ドームに移動したのではないかと思えるような人の多さに、俺や雪ノ下みたいな人混みが苦手なタイプはそこそこダメージを受けたが、スタンドで自分達の席を確保すると、体力も回復してきた。
会場内の空気が落ち着き、見る限り満員となったことに何故か充実感みたいなものを感じていると、照明が暗転し、ライブの始まりを告げた。
大きな蕾のようなものがステージ中央に移動してきて、それがゆっくり開くと、イントロが流れ始め、メンバーの姿が見えた。
幸いにも真姫がよく見える位置だったので、彼女の姿を俺は見守り続けた。
紡がれていくメロディーにμ'sの活動への想いが溢れてきて、頬を温かいものが伝っていた。
色とりどりのペンライトの明かりに包まれた会場で、俺は涙を拭うこともせず、ただただ真姫に見とれていた。
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すべて終わり、それぞれが帰路につく中、俺は会場の近くで真姫を待っていた。
帰る前に少し会いたいそうだ。もちろん断る理由などない。何ならこちらから行くまである。さっきまで帰ろうとはしていたけど。
「お待たせ」
「っ!⋯⋯びっくりしたぁ⋯⋯」
いきなり背後から声をかけられたので、危うく変な声が出そうになった。
振り返ると、真姫が帽子とマフラーで目、鼻、口元周辺以外の頭部を覆い隠した状態で立っていた。
「不審者かと思ったわ」
「彼女によく言えたわね。あとそっちも不審者感あるわよ」
「何もつけてないんだけど」
お互いに笑い合うと、そのまま頭を撫でた。
「⋯⋯おつかれ」
「ありがと。そっちもお疲れ様」
「まさか、こんなデカいサプライズあるとはな。ここのステージ立つなんて凄すぎるだろ」
「じゃあ次は二人で立ってみる?」
「⋯⋯は?」
「なんてね。今日はありがとう⋯⋯ん」
真姫が言い終わると同時にそっと唇を重ねた。
いきなり変な冗談を言うから、こっちもつい驚かせたかったのかもしれない。
ライブの火照り。冬の冷たい風。真姫の体温。
祭りの後の星空の下で、色んな熱が混ざり合い、この瞬間を鮮やかに彩っていた。