捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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You Are My Sunshine #2

 とりあえず、小町達の邪魔にならないようにひっそりとギターでも弾きますかね。アンプに繋がなければ大きな音は出ないし。

 すると、こんこんと控えめなノック音が聞こえてきた。小町の奴、まだ何かあるのだろうか?

 ドアを開けると、そこには西木野がいた。心なしか不機嫌そうに見える。

 

「なんでさっさと部屋に引っ込んじゃうのよ」

「いや、ほら……女子会に男混じっても仕方ねえだろ」

「別に女子会とかじゃないわよ。普通に話してるだけだし」

 

 それを女子会というのでは?と思ったが、違いがよくわからないので黙っておこう。

 西木野は呆れたように溜め息を吐いてから、俺の部屋に入ってきた。

 ……いや、まったく躊躇いがないのも、それはそれでどうなんですかね。

 

「戻らなくていいのか?」

「しばらくは大丈夫よ。ラーメンの話に夢中になってるから」

「そっか」

「…………」

「…………」

 

 会話が途切れ、沈黙が訪れる。

 ……うわ、何これ。めっちゃ気まずいんですけど。てか、本当にこの子何しに来たの?

 彼女は髪を指で弄びながら、俺の机をじっと見つめていた

 そして、ぽつりと呟く。

 

「ちょっと見ていい?」

「ど、どうぞ……」

 

 特に断る理由もないので首を縦に振ると、西木野は椅子に座り、机に置かれている本や、教科書類などをじっと見ている。何だ?何を探しているんだ?

 一通り確認を終えたのか、今度はベッドに目をやる。

 

「ねえ……」

「?」

「あのベッドの下に……その……いやらしい本が沢山置いてあるのかしら」

「……いや、いきなり何言ってんの?」

「だってママが言ってたわ。男の人のベッドの下は勝手に漁っちゃいけないって」

「…………」

 

 西木野母、娘に一体どんな知識を吹き込んだのだろうか?待て待て。それより今は……。

 

「お前、エロ本読みたいの?」

「ばっ……そ、そんなわけないでしょ!なんてこと聞くのよ、この変態!」

「ええぇ……」

 

 どう考えてもそうとしか思えない流れじゃん。ねえ?

 

「まあ、どっちにしろ持ってない。残念だったな」

「だから違うって言ってるでしょ!?」

 

 西木野が立ち上がり、こちらに詰め寄ってきた。のだが……

 

「きゃっ」

「っ!」

 

 足をもつれさせたのか、西木野がこちらに倒れてきた。

 こちらも一応受け止められたのだが、足元に落ちていた漫画のせいで、足を滑らせる。

 結局、そのままベッドへと倒れ込んでしまった。

 柔らかな重みが胸元を押し潰し、ほんの少し痛みが走る。

 

「ご、ごめんなさい!大丈夫!?」

「あ、ああ、一応……」

 

 西木野は下敷きになっている俺を見て、慌てた表情になっている。いかん。無駄にテンパっているようだ。あと……めっちゃ顔近い!さらにいい匂い!

 とにかく、一刻もはやく脱出を……。

 

「ひゃうっ!」

「っ!!」

 

 え、何?何なの!?てか、今膝に何か柔らかい感触が……。

 目の前の西木野は、ジロリとこちらを睨んでいる。やばい頭の中が混乱してきた。

 さらに、それを後押しするかのように、ガチャッとドアが開いた。

 

「お兄ちゃ~ん、真姫さんは……ああ!?」

「はわわ……こ、これで恋人じゃないってことは、二人は既にふ、ふ、ふーふっ!?」

「にゃあ……、真姫ちゃん、大人だったんだにゃあ……」

「ちょっ、な、何いきなり入ってきて、わけのわからないこと言ってんのよ!?ほら、比企谷さんからも言ってやって!」

「いや、違う……俺は何もやってないはず……あれはたまたまで……」

「何であなたまで混乱してんのよ!イミワカンナイ!」 

 

 結局、皆が落ち着いて、事情を話して納得してもらうまで、1時間くらいかかった。

 

 

 

 


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