「まったくもう……」
「あはは、ごめんにゃ……」
「あうぅ……ごめんね?」
「まあまあ、悪いのはお兄ちゃんだし」
「おい。さりげなく罪を被せんな」
「まあ、あなたもテンパってただけだけど」
「…………」
それを言われるとぐうの音も出ない。
西木野は大きく息をつくと、疲れたと言いたげに床に寝転がった。そういう無防備なの控えていただけませんかね。え、何?ここまで来ると誘ってんのなんて思えてくる。ありえないけど。
そして、それを目ざとく見つける小町。多分ロクなことを言いそうにないのでこちらから口を開いた。
「じゃあ誤解も解けたようだし、俺もう寝るわ」
「「「「何でだよ!」」」」
「お、おう……」
まさか集中砲火を浴びるとは。どうやらこのまま逃げることは不可能らしい。キャラ崩壊するくらい怒らなくてもいいじゃないかよぅ……。
「てか、今からなんかすんのか?」
「当たり前じゃん。……えーと、ゲーム大会するよ!」
当たり前と言っていた割には、今思いついたかのようなリアクションだな。まあ、いいけど。ゲームならプレイ中は黙っていられるので、会話で噛んで恥ずかしい思いをすることはない。
「なんかネガティブな空気を感じるわ」
「…………」
どうやら表情に出ていたらしい。西木野が冷ややかな視線をこちらに向けていた。だが何とでも言え。こちとら女子3人が自宅にいるという状況に慣れていない。小町も普段は友達とか連れてこないからな。俺が兄という事実を、どこまでも隠しておきたいらしい。こちらも何とか隠し通す為に、忍者ばりに気配を消して暮らしている。
……だいぶ話が逸れたが、まあ要するに慣れていないということだ。
「ほら、はやく。せっかくだし」
「……おう」
「べ、別に一緒に遊びたいとかじゃないから、そこは誤解しないように」
「いや、わかってるから」
「これ漫画で読んだことあります!ツンデレだよね、真姫ちゃん!」
「だからそういうこと言わないの!」
「ぴゃああっ!」
ごめん。今俺もまったく同じ事考えてたわ。まあ、口調だけだろうけど。
*******
「じゃあ、第一回ゲームたいか~い!ドンドンパフパフ~♪」
「にゃ~!!」
「わ、わ~……」
「それいる?」
「…………」
小町と星空が無駄に盛り上げ、それに小泉がなんとかついていき、西木野が冷ややかにツッコむ。なんだこれ、和むじゃねえか。
「つーか、何のゲームやるんだ?ウチって、コントローラー2つしかなかった気がするんだが……」
「ふっふっふ……大丈夫だよ、お兄ちゃん。小町はこんな事もあろうかと、お父さんに新しいコントローラーを買ってもらっていたのです!」
「…………」
わあ、小町ちゃんたら準備いいー。そして、親父……どんまい。ま、親父の小遣いからだし、別にいいけどね♪
「というわけで、今からこのゲームでチーム戦をはじめま~す!」
そう言って小町は、格闘ゲームをじゃ~んと見せびらかした。ただ、こいつそんなに強くないんだよなぁ……。
「じゃあ、お兄ちゃんと真姫さんチーム、私と花陽さんと凛さんチームでいい?」
「……一応聞くが、分け方の基準は何だ?」
「そりゃもちろん、戦力を均等にしたからだよ。多分真姫さんはゲーム苦手なので……」
「何で決めつけるのよ!」
「え?真姫さん、ゲームしたことあるんですか?」
「……………………くっ」
今日の小町は勘が冴えているらしい。てか西木野さん、「くっ」て……。
「ふふん、凛とかよちんはゲームやったことあるにゃあ!」
「え、ええと、私はそんなには……」
「上等よ!やってやろうじゃない!」
「…………」
斯くして第一回ゲーム大会は、賑やかに開催を迎えた。