集団でゲームをするなんていつぶりだろうか。
……思い出せない。あ、経験がないだけか。俺の勘違いでした。てへっ!
「どうかしたの?やたら悲しそうだけど……」
「ちょっと自分について再確認してただけだ」
「何それ。意味わかんない」
「わからなくていい。それよかお前……覚えんの早いけど、チームプレイ下手すぎだろ」
「う、うるさいわね……」
そう、西木野はやたら一人で突っ走る。最初のほうはセンスでカバーしていたが、その弱点を突かれて負けが続いていた。
「……これもボッチの特性か」
「誰がボッチよ!」
今度は西木野から攻撃され、俺は場外まで吹き飛ばされた。うん、今のは俺が悪かった。
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しばらくしてから、ゲームを終えた俺達はぐでーっとねそべっていた。自分の部屋で女子がくつろいでいるという事実は、今となっては気にならなかった。
「……まあまあ面白かったわね」
「一番はしゃいでいた気がするんだが」
「…………」
西木野はそっぽを向いて聞こえないふりをしていた。ぶっちゃけちょっと可愛い……かもしれん。
「ああ、ちょっと遊び疲れたから真姫さんのピアノでも聴きたいなぁ」
「どんな上流階級だよ。てかウチにピアノないだろ」
「あなたがギター弾けばいいじゃない」
「ああ、悪いがリラクゼーション効果皆無どころか、この前騒音被害を訴えられたわ」
「さすがに深夜1時はやめてよ。しかも変な音出すから、最初お化け出てきたと思った」
「お化け……どんだけホラーな音出してたんだよ、俺は……」
「比企谷さんギター弾けるにゃ!?」
「す、すごいです……」
「いや、まだ全然なんだけど……」
「弾けるようになったら聴きたいにゃー!」
「あの、頑張ってください……」
「あ、ああ……」
ぐいぐい近寄ってくる二人から応援のメッセージをもらい、しどろもどろになってしまう。
「……ふん」
「どした?」
「別に。何でもないわよ」
「そ、そうか……」
何やら急にご機嫌斜めの西木野嬢。
過去の経験からして、こういう時は極力関わらないに限る。
俺は10分の間、西木野の方を見ないようにしていたが、何故だろうか。たまに突き刺すような何かを感じた。
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それからしばらく小町達が談笑するのをBGMに読書をしていると、西木野が何かに気づいたように「あ……」と呟く。
「そろそろ時間よ」
「あ、本当だ……」
「にゃ~、今日はもうこのまま寝たいにゃ~」
「馬鹿言ってないで起きなさい。明日も朝早くから練習えるんだから」
「そうだよ。はやく皆でライブができるようにしなきゃ」
「にゃ~!」
「ライブするときは呼んでくださいね。客席を埋めるために兄も連れていきますから」
「ええ、その時はお願いね」
「おーい、ここに本人いるよ……」
まあ、別に行くからいいんだけど。
西木野は何故かこちらを見ていたが、目が合うと、すぐに逸らした。
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昼間あんなに騒がしかったのが嘘のような夜。
いつもより眺めがいい左に少し戸惑いながら、静かに読書に耽っていると、携帯が震えだした。
「あ、あの、今いいかしら?」
「……ああ。どした?」
「……今日、途中で感じ悪かったのは謝るわ。ごめんなさい」
「そんなんあったか?」
「あ、あったじゃない!ほら……」
「いや、お前がつんけんしてるのはデフォじゃね?まあ、いつもどおりだろ」
「……バカっ!おやすみ!」
プツッと通話が途切れる。
「……何だったんだ?……おやすみ」
怒りながらも律儀に挨拶した彼女に合わせ、こちらもボソッと呟いておいた。