捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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You are my sunshine #7

「じゃ、じゃあ、行くぞ……」

「ええ。どうぞ」

 

 とある休日の午後。西木野邸のスタジオ内には妙な空気になっていた。

 こういう感覚はいつ以来だろう。いや、始めてだろうか。

 まだ対策ができてなかった頃に体育の授業で「好きな奴とペアを組め」と言われた時とは違う緊張感。

 そんな中、俺は頑張って指を動かした。

 

 *******

 

「へえ……ようやく一曲弾けるようになったのね。おめでとう」

「……いや、途中だいぶつっかえたし、音出なかったとこあるんだが」

「最初はそんなものよ。途中で止まらなかっただけましよ」

 

 辛口っぽい西木野から意外な褒め言葉を頂き、どんな表情をすればいいかわからずに、つい首筋に手を当て、誤魔化した。

 

「まあ、まだコードストロークだけだしな……ソロとかまだ先の話だな」

「そうかしら?小町が『お兄ちゃん、アレだけど割と効率よくあれこれこなす』とか言ってたから、案外すぐかも」

「……だといいんだが」

 

 確かにまだ覚束ないところもあるが、ほんのちょっとの達成感もある。もうちょい色々練習してみるのもいいかもしれない。

 

「…………」

「どした?」

「べ、別に?何でもないわよ……」

 

 今、じーっとこちらを見ていた気がしたんだが。え、何?本当は何かやばかったとか?

 

「おい、な、何か問題あるなら言ってくんない?やばいとこは早めに直しておきたいんだけど……」

「何もないって言ってるでしょ!ほら、忘れないようにもう一回頭から!」

「お、おう……」

 

 *******

 

 あの後、もう一回どころか十回やらされて、さすがに集中力も途切れてきたところで、西木野母が入ってきた。

 

「あらあら、頑張ってるわね。でも少しは休憩もしなきゃダメよ?というわけで、まったりティータイムにしましょう」

「なんでちゃっかりママの分も……」

「だって私も八幡君とお話したい~」

「ど、どうも……」

 

 この人のこの感じ、可愛すぎて対応に困る。あとめっちゃいい匂いするし……。

 すると、西木野母は何か思いついたように西木野の肩をとんとんと叩いた。

 

「ねえねえ、真姫ちゃんはいつ八幡君って呼ぶの?」

「ヴぇえ!?べ、別にいいわよ!比企谷さんで通じてるし」

「じゃあ小町ちゃんがいる時は?」

「小町のほうは小町って呼んでるから大丈夫よ」

「むぅ。まだハードルは高いわね、八幡君」

「な、何のハードルでしょうか?」

「何なら八幡君から真姫って呼んでみたら?あの子びっくりするわよ」

「びっくりするでしょうね。色んな意味で……」

 

 冗談でもそれをしようものなら、それが俺の命日になりそうな気がする。

 このままだと自分の身に危険が及びそうなので、とりあえず話題転換をしよう。

 

「そ、そういえば……少し、暑いでしゅね」

 

 噛んだ。しかも暑いって……会話下手かよ。下手だよ。

 

「あははっ、今の噛み方可愛いわ!ねえ、真姫ちゃん?」

「そ、そうすか」

 

 よくわからんが、西木野母にはご好評頂いているようだ。ちなみに西木野は……

 

「ぷぷっ、い、今の、なに?……くすっ」

 

 明後日の方向を向いて、必死に笑いを堪えていた。堪えきれていないが。

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