捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

31 / 141
Some Other Time

「……そろそろ帰るか」

「いや、このタイミングで何帰ろうとしてんのよ」

「ほら、さっき……」

「それ言わないで!ああ、もう!」

 

 まあ、座敷わらしだしあまり気に……ごめん、やっぱ無理!今日眠れそうにないわ……。

 いや、座敷わらしならむしろラッキーなことが……でも、変なのだったら……一応念仏を唱えておこう。宇宙天地輿我力量降伏群魔迎来曙光……。

 

「音ノ木坂、すげえな……」

「ちょっと、お化けの巣窟みたいに言わないでくれる?」

「……へいへい」

「気を取り直して、次は二年生の教室に行くわよ」

「了解」

 

 二年生の教室は下の階にあり、こちらは二クラスある。

 

「どっちに行くんだ?」

「穂乃果達がやってるメイド喫茶よ」

 

 まあこれも定番といえば定番だよな。これならさっきみたいなのは起こらないだろうし。

 西木野もさっきの引きずっているのか、やや緊張した面持ちだが、深呼吸して、こちらに目を向けた。

 

「じゃあ入りましょ」

「……ああ」

「いらっしゃいませー!!」

「穂乃果、挨拶はそうではないと確認したはずです!」

「あ、そうだった!自分ちと勘違いしてた!えっと……おかえりなさいませ、ご主人様~!」

「「…………」」

 

 やたらとハイテンションなメイドと、それを諌める羞恥心丸出しのメイドに、俺と西木野は顔を見合わせた。

 

「……あの、真姫……そちらの方は?」

「ああ、友達よ。今日は兄妹で来てくれたの」

「男性一人しかいないようですが」

「え?」

「あいつ……」

 

 まったく必要のない気を遣ってからに……まあ、しばらくしたらまた顔を見せるだろう。いつかまたフラっとあらわれてくれ。

 すると、テンションの高い方のメイドが、驚いた表情で西木野に話しかけた。

 

「ま、真姫ちゃん、もしかして、デートぉ!?」

「違うわよ!大きな声で言わないで!そんなわけないじゃない!」

「そうですよ、穂乃果。私達はまだ高校生です。男女交際なんてまだ早すぎます」

「そ、そうだよね!……そう、なのかなぁ?」

「「…………」」

 

 さすがにそんなことはないと思うが。

 たしかこの黒髪の女子が園田海未で、隣の賑やかなのが高坂穂乃果だ。PV見てたら、だいぶ覚えてきた。

 いや、今はそれよりこの誤解を……じたばたする必要はないか。普通に考えて俺とこいつが恋人同士にみえるわけねえし。危うくしょうもない自滅をするところだったぜ。

 そんな事を考えていると、奥からまた一人メイドが現れた。しかも、今度は一人だけ雰囲気が違う。何と言うか……まるで本物のメイドみたいだ。

 つーか、あの人……南ことりだよな。これでμ'sの二年生組勢揃いか。

 彼女は柔和な笑みを浮かべ、二人に声をかけた。

 

「二人とも、ご主人様をお席に案内しなきゃだめだよ」

「あ、そうだった!それじゃあこちらの席へどうぞ~♪」

「こ、こちらメニューになります……」

 

 ようやく席に案内され、ひと息つくと高坂さんがこっそりとこちらにやってきて、顔を近づけてきた。

 

「ねえねえ、真姫ちゃんとはどういう関係なの?」

「え?あ、い、いや、知り合い、だけど……」

 

 何この子、めっちゃ近いし、爽やかないい匂いがするんですけど!

 

「それは私も気になります。真姫とは健全な関係ということでよろしいのでしょうか?」

「え、あ、はい……」

 

 この子も近いんですけど!緊張して思わず畏まっちゃったよ!あとこちらは控えめないい匂い!

 

「…………」

「っ!!」

 

 いきなり脛に走る衝撃。

 驚いて前を向くと、じ~っと西木野がこちらを見ていた。

 

「……どした?」

「別に」

 

 え、何なの?何がどうしたの?

 つーか……結局ここでも怖い思いするんじゃねえかよ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。