捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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Some Other Time #2

「次は三年のとこへ行くのか?」

「そうよ」

 

 あれからコーヒー一杯で機嫌をよくした西木野は、俺の質問に答えてから、何故か申し訳なさそうにこちらを見た。

 

「あの……さっきの、ごめん」

「ん?」

 

 最後のほうはかなり聞き取りづらかったが、それでも

 おそらくさっき脛を蹴ってきた時のことを言っているのだろう。

 

「いや、別に気にしてないけど……」

「そう、ならいいけど……まあ、何て言うか……ニヤニヤ鼻の下伸ばしてるのが耐えられなかっただけだから」

「え?そんなヤバかった?むしろそっちのが気になるんだけど」

「ほら、行くわよ」

「…………」

 

 色々と釈然としないが、まあ深くは考えまい。せっかく機嫌が直ったのだから。

 

「そういや三年は何やってんだ?」

「占いよ。メンバーにタロットカードが得意な人がいるの」

「……占い、ねえ」

 

 またオカルトよりなったせいか、少し緊張してしまう。

 

「よし、行ってこい」

「何さらっと逃げようとしてんのよ。大丈夫だから行くわよ」

「……お、おう」

 

 離脱失敗。学校生活ではこのさりげなさで修羅場を潜り抜けてきたのだが……。

 受付にいる普通の制服姿の女子に案内され、中に入ると、ぽつんと頼りない豆電球の明かりしかない薄暗い部屋の中央に、黒いローブを纏った女子がいる

 

「さあ、どうぞそこに座って」

「「…………」」

 

 西木野と並んで腰かけると、黒いローブから怪しく光る瞳を見せた女子は、口元に妖しい笑みを浮かべた。

 たしかこの人は……東條、希さんだよな。

 すぐに名前が浮かんだのは、決して胸が大きかったとかではない。絶対に違う。

 

「うんうん、君からは何か邪な視線を感じるね」

「っ!……そ、そんなことないにょろよ!」

「…………」

 

 隣からゴミを見るような視線を感じるが、今はそれどころではない。この状況を早急に何とかせねば。

 

「……う、占ってもらいたいんですが」

「ふふっ、誤魔化そうとしてるのが可愛いなぁ」

「……何やってんのよ、恥ずかしい」

 

 うわあ、本当に恥ずかしい。穴があったら入りたい……。

 だが、東條さんは特に気にした様子もなく、タロットカードを机に出した。

 

「さあ、冗談はさておき、さっそく二人を占ってあげようかな」

「…………」

 

 タチの悪い冗談はやめてくれませんかねえ。ガチで読心術持ってる人かと思ったじゃねえか……。

 東條さんは慣れた手つきでカードをシャッフルし、その中の一枚を引き抜いた。

 

「ふむふむ……なるほど」

「な、何よ……一人で納得してないで言いなさいよ」

「…………」

 

 なんか嫌な予感がするんだが。

 だが席を立とうにも、そんなことができる雰囲気ではなく、俺は東條さんの言葉を待った。

 

「うん。二人はお似合いやね。これ以上ないベストカップル。子宝にもうんと恵まれるでしょう」

「はあっ!?い、いきなら何言ってんのよ!?」

「え?二人の相性占いの結果やけど?」

「そ、そんなの占ってなんて言ってないわよ!あんたバカァ?」

「落ち着け。なんか別のキャラ出てきてる」

「そっかぁ、並んで座ったからてっきりそういう話やと思ったんやけど」

「いや、だからって……ああもう、行くわよ!」

「お、おう……」

 

 勢いよく立ち上がり、扉に向かって歩く西木野について行くように立ち上がると、東條さんは悪戯っぽい笑みを向け、ウインクしてきた。

 

「ど、どうも……」

 

 何を言えばいいのかわからず、とりあえず会釈だけしておいた。

 

 *******

 

「あらあら、行ってもうた。ちょっとからかいすぎたかな。相性バッチリなのは本当なんやけどなあ」

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