捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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Some Other Time #4

 体育館を出ると、心地よい風が頬を撫でていった。

 さっきまで凄まじい熱気の中にいたせいか、外がかなり涼しく感じる。

 すると、小町が袖をちょいちょいと引っ張ってきた。

 

「お兄ちゃん、真姫さんに挨拶していかなくていいの?」

「ああ。まあどうせ後片付けとかもあって忙しいだろうしな」

「はぁ……挨拶くらいはするわよ」

「「っ!?」」

 

 いきなり背後から声をかけられ、慌てて振り向くと、そこには肩で息をする西木野がいた。まだアイドル衣装のままなので、割と周囲の視線を集めている。

 だが、彼女はそれには構わず額の汗を拭い、こちらにジト目を向けてきた。

 

「まったくもう、気の遣い方がずれすぎ。……見送りくらいはさせてよ」

「……わ、悪い」

 

 何故かやたらと申し訳ない気分になり、首筋に手を当てると、西木野は溜め息を吐いてから、「えっと……」と口を開いた。

 

「きょ、今日は来てくれて……ありがとう」

「……おう」

「またウチに遊びに来てくださいね!」

「ええ、またそのうち行くから」

「……よかったな。小町」

「「…………」」

 

 おかしい……心なしか二人に睨まれている気がする。小町に至っては「ゴミぃちゃん」などと呟いている。いや、せめて聞こえないようにしよう?

 

「とにかく!真姫さん、また一緒に遊びに行きましょうよ!……兄も何とか引っ張り出しますので」

「?……ごめん。最後のほう聞こえなかったんだけど」

「まあまあ、お気になさらず~♪こっちの話ですので」

「そう?じゃあ、私はもう戻るわね。帰り気をつけて」

 

 西木野は軽く手を挙げ、そのまま背を向けた。

 その背中が見えなくなるまで見送っていると、小町がこちらを見ていることに気がついた。

 

「……何だよ」

「別に~。やっぱりお兄ちゃんだなって思っただけ~」

「…………」

 

 俺は何を言い返せばいいかわからなかったので、とりあえず駅に向かって歩き始めた。

 

 *******

 

 翌朝……。

 

「……は?」

「あ」

 

 西木野が就寝中の俺の上に馬乗りになっていた。

 これじゃあいきなりすぎるか。じゃあもう少し詳しく説明してみよう。

 朝、のんびりMAXコーヒーを飲んでいる夢を見ていたら、何やら重みを感じ、それが気のせいとか夢の中の出来事じゃないと気づき、うっすらと目を開けると、そこには西木野がいましたとさ。

 ……何それ、イミワカンナイ。

 状況は理解したが、納得はできないので、ひとまず声をかけてみることにした。

 

「……な、何をやっているんでしょうか」

 

 つい声が震えてしまう。当たり前だ。こんな状況に慣れているはずがない。むしろ苦手というか、こんな男子中学生の健全な妄想みたいなシチュエーションは否定しているまである。ほ、本当だよ?ハチマン、ウソ、ツカナイ。

 俺の問いに、西木野は顔を赤らめながら視線を逸らした。

 

「べ、別に?色んなシチュエーションの勉強よ。そ、それより、ほら、は、はやく起きなさいよ!」

「は、はい……」

 

 訳がわからないまま、ただ返事をして体を起こす。

 だが寝ぼけていたせいか、西木野が上に乗っかっているのを忘れていた。

 目の前に彼女の顔がきて、一瞬至近距離で目が合うが、すぐに逸らした。

 

「っ!!」

「っ!……な、何よ、いきなり……」

「わ、悪い……てか、そろそろ降りて欲しいんだが」

「ご、ごめん……こ、小町、これでいいの?」

「ですね!真姫さん、さすがです!ナイス朝チュン!」

「…………」

 

 やはり黒幕はお前か。

 あとそれ使い方間違ってるからな。

 パパ活を息子の相談相手するのと勘違いするくらいのやつだ。

 とりあえず、この気まずさを何とかするため、ひたすら余計なことばかり考えた。

 

 

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