翌日、学校から帰った俺は、スマホの画面と向き合っていた。画面が暗転すると、自分の目つきの悪さを改めて認識してしまい、何とも居心地が悪い。
あれから、由比ヶ浜とのわだかまりはとけた。
用は俺が考えすぎだったというだけだ。
何というか、悟ったふりをしながら、同じようなところを行ったり来たりしている自分に、少し情けない気持ちにはなったが、同時に晴れやかな気分にもなっていた。
これはまあ……西木野のおかげ、なんだろうな。
彼女の言葉がなければ、今こんな気分にはなっていないだろう。
それで、彼女に何か言わなければと思い、スマホを手に取ったのだが、いざその段階になったら、指が動かない。
この程度で緊張しているのだろうか?だとしたら、これもボッチ生活の弊害だろうか。つまり自業自得。
すると、いきなりスマホが震えだした。
慌てて落としたスマホを拾い上げると、画面には西木野と表示されていた。
すぐ通話状態にすると、彼女の声が聞こえてくる。
「どうだったの?」
「……何がだ?」
「わかってるでしょ?もう解決したの?」
「……ああ。まあ、解決っつーか……」
「そう。ならよかったわ」
「あ、ああ、何つーか……ありがとな」
「え?」
「いや、まあ、その……これまでだったら、このまま関わることもなくなっていただろうが、お前のおかげで、これまでとは違うやり方を選べた。だから、礼は言っておきたい」
「…………」
「……ど、どうした?黙られるとしんどいんだけど……」
「べ、別に!それより、問題解決したんだからしっかり練習しなさいよ!あ、あと……」
「?」
「今週、μ'sのライブあるから……よかったら、観に来て」
「あ、ああ……絶対に行く」
「ええ。待ってるから……それと小町も連れてきてね。それじゃ」
こちらが何か言う前に、慌てたように通話が途切れた。
確かに礼は言えた。
だが、まだ何か言うべきことはあったんじゃないかという、空白のような感情が残っていた。
それが何なのかは夕食の時間になってもわからないままだった。
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「な、何なのよ。いきなり素直にお礼なんて言っちゃって……びっくりするじゃない」
「真姫ちゃ~ん、ちょっといい?あら、どうしたの?」
「マ、ママ、いきなり入ってこないでよ!どうしたのって何?」
「だって真姫ちゃんったら、嬉しそうに笑ってるんだもの~。あ、もしかして……」
「何でもない!何でもないから!勝手に変な想像するのやめて!」
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週末。
「いやあ、やっぱアキバはいいね~」
「なんかオタクみたいだな」
「お兄ちゃんこそ素直に喜んだらいいのに。真姫さんに会えるんだから」
「…………」
やれやれだ。最近こういう変なからかい方をしてくるから困る。からかい下手の小町ちゃんめ。
付き合いが長いんだからいい加減気づくと思うんだが。俺に限ってそんなラブコメみたいな展開、起こるはずが……
「あ、来た♪待ってたわよ~♪」
いきなり見知らぬ美女がいきなり腕を組んできた。