捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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Some Other Time #10

「わぁ、結構お客さん入ってるんだね~」

「……文化祭の動画も話題になってたからな」

 

 同じ学校の奴らが多いだろうが、小町と同年代くらいの女子もちらほら見かける。

 西木野の作った曲聴きたい奴がたくさんいるということか。

 そのことについ口元が緩みそうになるが、少し離れた所にいる派手な金髪の女子と目が合い、何とかこらえた。危ねえ、不審者と思われるとこだったぜ……!

 つーか、よく見たら周り女子ばかりなんですけど!ステルスヒッキーを使ってもあまり効果はなさそうだ。

 さらに、さっきの金髪女子はまだこっちを見ている。こりゃマジで警戒されてんな。

 いや、待て。人はドラマチックに、悲観的に世界を見たがる性質があるという。ここは現実的に考えて……ああ、やっぱり警戒されてるわ。

 怪訝な目を向けられることには慣れてるはずなのに、何故だろう。変な悪寒がするのは……。

 そうこうしているうちに、開演前のアナウンスが響き、その数分後に明かりが消えた。

 賑やかなイントロが始まり、いかにもライブの一曲目らしい曲が始まる。これはYouTubeでもよく聴くやつだ。

 

「真姫ちゃ~ん、頑張れ~!」

 

 真姫ママさんは、変装していることを忘れているかのようにはしゃいでいる。まあ、この人混みならわかりはしないだろうが。

 そこでふと気づいてしまった。

 MCの途中途中で、西木野がこちらをジトーっとした目で見てくることに。

 ……何だ?気のせいか?その割にはMCの度に……。

 普段なら自意識過剰だと自分を戒めるところだが、それとは違う気がしていた。あと嫌な予感がするのは何故だろうか。

 とはいえ、パフォーマンスは凄まじい勢いがあり、ライブの世界観にいつしか引き込まれていた。

 

 ********

 

 終演後、小町が「真姫さんに会いに行こうよ!」とはしゃいでいるが、さすがに男子が女子の楽屋に行くのは気が引ける。ラッキースケベ的な展開を期待する年頃はもう卒業したのだ。

 

「あ、真姫さんだ!」

「おお……」

 

 まさかのタイミングで西木野がやってきたのだが、何というか……歩き方がいかついんですけど!まだアイドル衣装なの忘れてやしませんかね……。

 

「真姫さん、お疲れ様です!すごかったですよ~!」

「ええ、ありがとう」

 

 小町に優しく微笑んだ西木野は、こちらを向くと、やや目を細めた。

 

「今日は来てくれてありがとう」

「あ、ああ……」

 

 声がやや刺々しい。

 俺は中学以来の地雷踏み抜きをやらかしたのだろうか。

 すると、彼女は再び口を開いた。

 

「か、彼女はいいの?」

「…………は?」

「だから、彼女はいいのかって聞いてんの!」

「いや、誰だよ」

「えっと……綺麗なお姉さんと来てたって聞いたけど」

「「ああ……」」

 

 つい小町と目を合わせて苦笑してしまう。

 

「どうかしたの?」

 

 ちなみに、視界の端では西木野母がこっそり帰ろうとしている。どうやら逃げ遅れたようだ。西木野が予想よりはやく出てきたのもあるが。頑張れ、あと少しでドアに……あ、転んだ。

 

「え?」

 

 西木野はそちらに目を向け……ぴたりと固まった。

 

「いたた……あら、真姫ちゃん。偶然ね~」

「「…………」」

 

 俺と小町は何とも形容しがたい表情で二人を見守った。

 

「なっ……なっ……っ!!!」

 

 この後、マイクを通した歌声よりもでかい西木野の声を聞いた。

 

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