捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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Misty #5

「へえ、9人に?」

「ええ。そろそろMVも完成するわ」

 

 どうやらμ'sは先輩二人を加えて、9人で活動することになったらしい。まあ、ミューズは芸術を司る9人の女神らしいので、丸く収まった感はある。

 

「まあ、動画アップされたら見とくわ」

「ええ。すごくいいものになると思うわ」

「……だろうな」

 

 この前小町にめちゃくちゃ機嫌話していたらしい。こいつがそんなに自信満々なら神曲確定なんだろう。

 

「それと、来週ウチに来ない?」

「……は?いやいや、いきなり家デートに誘うとか何考えてんの?ちょっと急すぎて頭が追いつかないんですけど……」

「ちょっ、何言ってんのよ!バカじゃないの!?もちろん小町も一緒よ!それに、もう何回か来てるでしょ!」

「お、おう……」

 

 どうやら西木野嬢はこういう冗談がお嫌いらしい(知ってた)。

 

「別に構わんけど何かあるのか?」

「セッションしたい曲があるのよ。譜面はデータを送っておくから」

「……俺に拒否権はないのかよ」

「嫌なの?」

「いや、やる。ついていけるかはわからんが……」

「そんな難しいことはやらないわよ。私も最近覚えたばかりだし」

「お前、作曲やダンスやりながら、そんなのもできんのかよ」

「当たり前よ。私を誰だと思ってるのよ」

「……それもそうか」

 

 照れくさくて口には出さないが、新曲をかなり楽しみにしている自分がいた。

 それに、自然に会う約束をして、それを待ちわびている自分がいることに、つい口元が緩んでしまう。

 

「……ねえ、聞いてるの?」

「っ!ああ、悪い……ぼーっとしてた」

「はあ……そうだろうと思ったわ」

「すまん」

 

 ……いかん。何を考えているのだろうか、俺らしくもない。

 恐らく今は鏡を見ないほうが良さそうだ。気持ち悪い笑みを浮かべていることだろう。

 これで何度目になるかは忘れたが、改めて気を引き締め直して、西木野と週末の予定について話した。

 

 ********

 

 当日。

 

「むむむ……まだ二人きりの予定は……もうちょい押しが……」

「推しメンがどうかしたのか?」

「んーん、こっちの話こっちの話」

 

 どうしたというのだろうか。もしかしてμ'sにドはまりしすぎて、推しが武道館行ったら死ぬようなテンションになっちゃってんの?

 普段ならそのまま西木野邸へと向かうのだが、小町が買いたいものがあるのと、西木野もちょっとした用事があるらしく、駅前で待ち合わせすることにした。

 

「あ、真姫さん来た!」

「…………」

「お待たせ」

 

 小走りに駆け寄ってくる西木野は、私服は初夏の装いで、季節の変わり目を改めて感じてしまう。

 つい見すぎてしまったのか、西木野は戸惑いの表情をこちらに向けた。

 

「ど、どうかしたの?」

「……いや、何でも」

「…………そう。じゃ、行きましょ」

 

 あれ、今なんか不機嫌にならなかったか?小町から足踏まれたし……。

 すると、背後から声がかかった。

 

「あれ、八幡?」

「……は?」

 

 俺は目を疑った。

 そこには天使が……いや、戸塚が目を見開いてこちらを見ていた。

 

 

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