「びっくりしたよ。まさか秋葉原で八幡に会うなんて……」
「お、おう、そうだな……」
頬を赤らめる戸塚に、つい見とれそうになってしまう。いや、落ち着け。戸塚は男だ。
「戸塚さんは秋葉原に何か用があったんですか?」
「えっと、家族が近くで用事があって……僕は待ってる間にせっかくだから寄ってみようかなって」
なるほど。ナイス秋葉原。今度からは毎週通っちゃう!
すると、西木野がジト目でこちらを見て、その後戸塚を怪訝そうな目で見ていることに気がついた。
……いかん。これは俺が小学校の頃、仲良いと思っている奴と一緒に帰ってたら、途中で遭遇した本当に仲良い奴とどっか行って、一人ぽつんと置いていかれた時のようなシチュエーションになってしまっている。
何か話そうかと口を開こうとすると、小町が先に喋り始めた。
「戸塚さんは奉仕部に依頼しに来てから、お兄ちゃんと仲良くしてくれてるんですよ」
「そんなっ、僕こそ仲良くしてくれて、八幡には感謝だよ」
そうか。感謝されていたのか。
じんとしていると、西木野は再びジト目でこちらを見た。一体どうしたのだろうか。また失言をしたんじゃないかとビクビクしちゃうんだけど……。
すると小町が何かに気づいたように「あっ」と西木野を向いた。
「真姫さん、戸塚さんは男の子なんですよ。こんなにかわいいですけど」
「えっ?」
西木野は目を見開き、戸塚の顔をまじまじ見つめる。
まあ気持ちはわかる。てか、そうやってジロジロ見ることができるのは女子同士の特権だな。いやいや、戸塚は……(以下同文)。
「そ、そう……こう、何ていうか……驚いたわ」
「あはは……よく間違われるんですけど、僕、男です」
戸塚は俺と初めて出会った時と同じような台詞を口にしてから、いつものようにはにかんだ。
「……はやく言ってよ」
「いや、まさかこんなとこで会うとは思わんかったし……」
「そういう意味じゃなくて……ああ、もういいわ。えっと、戸塚さんは確か……テニス部の人、ですよね?」
「えっ、僕のこと知ってるの?」
「はい。比企谷さんから聞いたので」
そういえば電話で少しだけ話した記憶がある。てかこいつよく覚えてたな……。
「あっ、そういえば……二人と西木野さんはどういう関係?」
「「えっ?」」
俺と西木野の声が重なる。
いや、何で驚いた?普通に言えばいいだけだろうが。
「あー、まあ、あれだ……小町の友達だ」
「…………」
途切れ途切れ言うと、何故か小町は「ゴミぃちゃん……」と呟き、西木野は「ちぇりお!」とか言いながら飛び蹴りしてきそうな顔をしていた。
「あはは、仲良いんだね」
そんな中、戸塚は天使のように温かく微笑んでいた。