捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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Misty #8

「いや、弾き語りとかしないからね?」

「冒頭から否定的なこと言わないの。ほら、比企谷さんの声って、よく聞いたら男性アイドルっぽく聞こえたり、ラップやってそうにも聞こえるから」

「いや、どんな声だよ。てか、最近一曲覚えたばかりなのに弾き語りとか……」

「まあ、そのうちでいいわ」

「…………」

 

 あれ、なんかこの先の練習メニュー決まっちゃった?いや、まあ別にいいんだけど。

 とりあえず、俺はアンプを借りて、復習がてら一曲弾いてみた。

 

「わあ、すごい!八幡、上手だね!」

「お、おう……」

 

 二ヶ所くらい間違えたが、そこはご愛嬌で。西木野は間違いなく気づいてる目でこちらを見ているが……。

 

「新しい曲はもう弾けるの?」

「……少しだけ」

「じゃあ、そっちもお願い」

「……マジか」

「せっかく観てくれてる人もいるんだから。やってみましょう」

 

 西木野の声がどこか弾んでいる。

 その様子を見ていたら、とてもNOとはいえなかった。

 まあ、この後の演奏はちょっと悲惨なものになってしまったが。

 

 ********

 

「八幡って本当にすごいんだね。テニスもできて、ギターも弾けるなんて」

「いや、どっちも素人なんだが……さっきもミスりまくったし」

「兄は変なところで器用さを見せますからね~」

「テニス得意だったの?」

「いや、授業中誰とも組みたくないから一人で壁打ちしてるだけだ」

「…………」

「……お前は共感すると思ったんだが」

「だからボッチじゃないって言ってるでしょ!」

「そ、そうか……」

「そういえば皆はいつから友達なの?」

「今年春休みに運命の出会いを果たしたんですよ~♪」

「「運命とか言うな」」

「あははっ、八幡、学校の時とは違うよね」

「まあ、そりゃあな。休日だし……」

「文化祭とかでギター弾かないの?」

「絶対弾かない」

「即答したわね」

「これぞお兄ちゃんなんですよ」

 

 何やら感心されてるようだが、そこは絶対に譲れない。特に理由とかないけど。なんか知らない人が弾き語りしてるとか思われるのは悲しすぎる。

 

「そっかぁ、見たかったんだけどなぁ」

「今見てるだろ」

「ふふっ、それもそうだね」

「また近いうちに人前でやる機会があるから、その時は来てください」

「うんっ、絶対行くよ」

 

 そんな予定があったとは知らなかったが、戸塚が見に来るというのなら、少しは頑張ろうかと思えてくる。あれ、これって恋?違うか。違うな。

 いつもより賑やかな休日。柄にもなく、いや、無理だと思ってても、こんな日が続けばいいとか考えてしまった。

 

 

 

 

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