捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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I Got Rhythm #2

「…………」

 

 言葉を失った。

 彼女の赤みがかった髪に似合う紫色の水着のせいか、想像以上にバランスのとれたスタイルのせいか。はたまた初夏の容赦ない陽射しのせいか。

 とにかく俺は目をそらすことができなかった。

 

「な、何よ。ジロジロ見て。いやらしいわね」

「いや、別に……」

「…………」

 

 西木野はこちらをじとっと睨むように見ている。何だ。俺はそこまでいやらしい目つきをしていたていうのだろうか……だとしたら結構ショックなんだけど。

 すると小町が身を乗りだし、西木野にキラキラした目を向けた。いや、待て、足踏んでる。足踏んでるから。

 

「いや~、真姫さん本当に似合ってますよ、その水着!ね、お兄ちゃん!」

 

 何故だろうか。「お兄ちゃん」の辺りに無言の圧力を感じる。ここで失敗したら晩飯抜きになっちゃいそう。

 

「あー……いい、と思う。何つーか、スクールアイドルというか……」

「そ、そう?ありがと……」

「お兄ちゃん、それどんな褒め方……いや、でも真姫さん喜んでるからいっか……あっ、花陽さん!凛さん!こっちですよー!」

 

 小町がぶんぶん手を振ってアピールしている方向に目を向けると、思わず目を見開いてしまった。

 小泉と星空もそれぞれアイドルのMVのような水着を着用しているのだが、小泉の胸元の意外なくらいの豊かさに、ついつい目を引き寄せられてしまう。おお、これが乳トンの法則か。また一つ賢くなってしまったな。

 すると、ぞわっと悪寒を感じた。な、何だ?

 

「ふーん……」

「…………」

 

 辺りをキョロキョロ見ると、西木野がじとーっとこちらを見ていた。どうやらスクールアイドルに汚い視線を向けるなということらしい。

 俺は自分の無罪を証明するかのように、眩しい夏の陽射しを仰ぎ、溜め息をついた。よし、リセット!

 

「……とりあえず行くか」

「平静を装ってるけど目が泳いでるし、顔赤いわよ」

「…………」

 

 しょうがないじゃん!だって男の子なんだもん!

 

 ********

 

「あ~、気持ちいい~♪」

 

 ぷかぷかと浮き輪で流れるプールを漂う小町達のグループは、端から見ても人目をひいている。俺はその様子をプールサイドから監視していた。ナンパ目的の奴は……よし、とりあえず半径3m以内には誰もいない。

 プールサイドのベンチに座り、自主的な警備をしている俺を見て、西木野はやや引き気味の視線で見下ろしていた。

 

「あなたが通報されないようにしなさいよ……」

「ほっとけ。てかお前は入らないのかよ」

「騒がしいの苦手。それに一人でそんな目でプールにいる女の子を眺めてたら警察沙汰よ。捕まったら恥ずかしいから一緒にいてあげる」

「……実はカナヅチなのか?」

「違うわよ!」

 

 どうやら違うらしい。何だよ、泳ぎもできるのかよ。

 ベンチに座っている間、俺は何故か彼女の方に視線を向けることができなかった。

 

 

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