「ねえ、小町達はどこへ行ったのかしら?」
「……わからん」
現在、俺と西木野は流れるプールを並んで歩いていた。
小町達が視界から消え、しばらくしても戻ってくる気配がないので、あちこち移動しているのだが、一向に見つからない。
……もしかしてとは思わなくもないが。今はそこを考えても仕方がないだろう。諦めてあいつらが合流してくるのを待つしかないだろう。
プールの水が体に馴染み、心地よさを感じていると、西木野がぽつりと呟いた。
「こういうプールも案外面白いわね」
「……流れるプール知らないのか」
「学校のプール以外だと家族で別荘に行った時に海で泳ぐくらいだから」
「まあボッチだと、あんまプールに縁がないか」
「ボッチじゃないって言ってるでしょ!」
「そ、そうか。まあいい。てか最近スクールアイドルの活動はどうなんだ?」
「…………」
「どした?」
「いえ、いきなりパパみたいな聞き方するから……あなたが周りのことに興味を持つなんて……」
「ぐっ……まあ、それは普段の言動のせいだから言い返せねえ」
「そういう変なところで素直なところはいいと思うけど」
「変なところ限定じゃねえか」
「それより……あっ」
「っ!?」
西木野が足を滑らせ、こちらに体を寄せてきたので、思わず変な声が出そうになる。
白い肌の柔らかさと、生々しい熱が脳を直接揺さぶってきた。
さらに、夏の匂いに混じって、彼女の髪の香りが鼻腔をくすぐってくる。
やばい。何がやばいかはわからんがやばい。
こんなほとんど裸の状態でひっつかれたら……
「何考えてんのよ……」
「…………何も」
「…………」
「……悪い」
「……別にいいけど」
こいつ、心を読む能力でもあんのかよ。
気まずい気分に浸っていると、プールサイドの方から賑やかな集団が駆け寄ってくるのが見えた。しかも、視線は明らかにこちらをロックオンしている。
「すいませーん!インタビューいいですかー!?今カップルさんにインタビューして回ってるんですけど……」
「「違います」」
「またまたぁ♪」
「「違います」」
「あっ、はい……すいませーん……」
レポーターは申し訳なさそうに去っていった。
その後ろ姿にこちらも申し訳ない気分になるが、事実は事実なので仕方がない。
「……何だったのかしら」
「……知らん」
「ねえ……」
「?」
「周りから見たらそう見えるものなのかしら?」
「いや、気のせいだろ。何つーか、頑張って男女二人組探してたら、たまたま遭遇したっつーか」
「…………」
西木野は黙って歩き始めた。
ついでに足を踏まれた。
偶然とは思うが、何かそれだけではない気もした。
「はやく皆を探しましょ。そろそろお腹も空いてきたし」
振り返ってそう言う彼女の澄ました表情からは何も読み取れなかった。