捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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I Got Rhythm #6

 

「μ'sが9人に?」

「ええ、二人が新しく加入したわ。どっちも先輩だけど」

「物好きもいるもんだな」

「かもしれないわね」

 

 昨日の出来事を思い出す。

 

『お願い!私をμ'sに入れて!』

『もちろん大歓迎です!でも絵里先輩、どうしていきなり?』

『そ、それは……ライブハウスで見かけたあの人の前で歌って踊って求愛……』

『エリチ』

『はい。私も……廃校阻止のため、そして自分のためにあなた達とスクールアイドルがやりたいの』

『それでウチも入りたいんやけど、どうやろ?』

『はいっ、今日からよろしくお願いします!絵里先輩!希先輩!』

『また賑やかになるにゃー!』

『真姫ちゃん?どうかしたの?』

『……いえ、何も』

 

 一瞬だけ釈然としない何かを感じた気がするけど、何はともあれμ'sのパフォーマンスは大いに向上した。加入した二人のパフォーマンス力や華やかな見た目も大きいと思う。

 あのモヤッとした感じは……まあ、気のせいね。

 

「そういえば小町は今日はどうしたの?」

「ああ……なんか友達と用事あるとか言ってたな」

「そう、じゃあしょうがないわね」

「なんか用事があったのか?」

「9人になって初めてのμ'sの楽曲ができたから小町にも聴いて欲しかったんだけど」

「おお……マジか。てか早いな。まだ加入したばかりだろ」

「思いついたからまとめといたのよ。そしたらいい感じになって。もうメンバーの歌入れは済ませてあるから」

「……かなりハードスケジュールだな」

「別に。これくらい大した事ないわよ」

「…………」

 

 そんな社畜になる前からハードワークしなくても……とか思ったが、あえて言わないでおいた。こいつの能力からしたら、本当に大した事ないのかもしれん。同じボッチでもここまでスペックに差があるとは……。

 

「また失礼なこと考えてそうね……まあいいわ。こっち来て」

「?」

 

 手招きされたので近寄ると、左耳にイヤホンを取り付けられた。

 

「っ!」

「動かないで。落ちちゃうでしょ?あと立ったままだと聴きづらいから座りましょ」

「……お、おう」

 

 そのまま二人して壁を背に座ると、左耳から軽やかなリズムに乗って、心地良いメロディーが流れてきた。

 9人の声が重なり合うその中でも、真姫の声ははっきりとわかった。

 曲や歌詞を聴くのが目的だったはずなのに、いつの間にかその声を追いかけるのが目的になっていた。

 真姫は果たしてどんな音を追いかけているのだろうか。

 肩が触れ合っていることにも気づかないくらい、二人は音の世界にのめり込んでいった。

 

 

 

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