捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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I Got Rhythm #7

 曲を聴き終え、真姫の方を向くと、偶然彼女もこちらを向き、至近距離で目と目があった。

 

「「っ!!」」

 

 二人して同じように肩が跳ね上がり、慌てて顔を背ける。

 曲が遠く響く中、落ち着くのには数秒かかった。

 横目で確認することすらせず、ただ前を向いていると、真姫のほうから口を開いた。

 

「ど、どうだった?」

「……退屈だったら眠ってる」

「もっと素直に褒めて」

「……よかった……すごく」

「……ん、ありがと」

 

 そんなやりとりをしていると、次第に気持ちも落ち着いてきて、もう一度曲を聴きたくなってくる。

 リピートしようとすると、次の曲に切り替わったのか、ピアノの音が聞こえてきた。

 

「あっ」

 

 何かに気づいた真姫の声と共に旋律は途切れた。どうやらμ'sの曲とは違い、誰かに聞かせる予定のものではなかったらしい。あまり気にしないほうがいいやつだろう。

 俺は聴かなかったふりをして、何か適当な話題をふることにした。

 

「……あー、昨日の夜何食べた?」

 

 もっとマシな話題転換はなかったのか……まあ仕方ない。会話慣れしてないからな。

 そんなくだらない言い訳を自分にしていると、真姫は口元に手を当て、首を傾げた。

 

「いきなり何?鯖の塩焼きだけど」

「なんか意外だな」

「何も意外じゃないわよ。多分変な想像してない?」

「変な想像はしてないが、まあ確かに偏見はあったかもしれない……」

 

 無事に話題を変えたことにほっとしていると、再びμ'sの曲が耳元で流れ始めた。さっきよりはボリュームが絞られていた。

 そして、それをBGMに真姫の声が聞こえてくる。

 

「そっちは何?」

「何がだ?」

「昨日の晩ごはんの話よ。流れでわかるでしょ?」

「お、おう……豚肉の生姜焼きだったな。あと味噌汁とか……」

「へえ、確か小町がよく炊事当番やってるのよね?」

「ああ、いつもありがたすぎて足向けて寝れん」

「八幡はやらないの?」

「小学生の時とかはほんのちょっとやってたが、最近は台所に立たせてもらえなくてな」

「……想像できるわ」

「できるのかよ……いや、事実だからいいんだけどさぁ……つーか、お前も立たないだろ」

「あまり立たないだけよ。こう見えても得意料理はパスタとグラタンなんだから」

 

 そうなのか……。

 

「何だそのプロフィールを読み上げたようなやつ……あとパスタは湯でほぐしてから温めたソースかけるだけでグラタンは冷凍のじゃないか?」

「心の声と言おうと思ったことが逆になってるわよ!そんなに言うなら今から作るから待ってて!」

 

 真姫はそう言って、防音室を飛び出していった。腕まくりをする後ろ姿が妙に新鮮だった。

 ……え、何この展開?いや、間違いなく俺のせいなんだけど。

 

 

 

 

 

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