「海にゃ〜!!」
「いや、はしゃぎすぎでしょ……しかも、合宿に来たんじゃなかったっけ?」
「あはは……でも、真姫ちゃんの家ってすごいね。こんな立派な別荘があるなんて」
「べ、別にそんなこと……」
「せっかくだから比企谷さんにも教えてあげるにゃ〜」
「ゔぇえええっ!?な、何で八幡が出てくるのよ!?」
「だって真姫ちゃんと仲良しだからにゃ〜……ふぃふぁいにゃ〜」
つい凛の両頬をつねってしまっていた。まったく、いつもこうなんだから。
ちなみに八幡には合宿に行くことを電話で伝えたので、別荘のことは知っている。ほら、一応伝えとかないと、練習のこともあるし?
何故か自分で自分に言い訳をしていると、花陽が目を見開いてこちらを見ている。
「どうしたの、花陽?」
「あっ、いや……なんか自然だなあって」
「?」
「えっと……今の名前の呼び方とか……何て言ったらいいのかわからないけど……」
「な、名前なんて普通に呼ぶわよ!そんなことよりはやく行くわよ!」
「おっ、真姫ちゃんも遊ぶ気満々だね!」
「真姫ちゃんはツンデレやからなぁ〜」
「ま、真姫まで!?せっかくのトレーニングメニューが……」
「いや、アンタ……あんなの誰がついて行けんのよ」
にこちゃんが呆れながら言った。確かにそう思う。その辺の運動部も真っ青のメニューだったし……遠泳10キロって何よ。しかも二日目は15キロになってるし。
「まあまあ、息抜きも必要よ。それに、今の私達には仲を深めるのも大事なことでしょ?」
「絵里……仕方ありませんね。では、せっかくですから思いきり泳ぎます!」
「海未ちゃんもやる気にゃ!よ〜し、真姫ちゃん!いっくにゃあ〜!!」
「えっ?ちょ、ちょっと引っ張らないで!もう〜!」
どうやら太陽の陽射しも気にならないくらい賑やかな1日になりそうだ。
……そういえば八幡のほうはしっかりやってるのかしら?合宿に連行されたって聞いたんだけど。
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「………」
容赦なく照りつける陽射し。見渡す限りの豊かな自然。
騙されて無理やり連れてこられた状況ではあるが、まあ悪くない景色だと思う。こんな心の余裕があるのも、あいつとの交流の
おかげだろうかと思えた。
……いや、今はそれどころじゃないが。
林間学校の目的は小学生をサポートだが、俺達が担当しているクラスに明らかな問題があり、皆がそれに気づいている。
……さて、どうなるんかね。
どこまでも突き抜ける青空の真ん中に、ぽつんと小さな雲があり、まるで群れからはぐれた羊みたいに漂っていた。