さんざんはしゃいだ後、レッスンでさらに体を動かし、疲れ果てて部屋に戻ると、狙いすましたかのように携帯が数秒震えた。
この時間ならパパかママかしら?
確認すると、二人以外にも小町からのメールが来ていた。
内容は林間学校で何があったかの報告だった。自分が小学校の時もこういう内容だった気がする。ちなみに八幡はいつもどおりだったらしい。どんな報告よ……まあ、林間学校でテンション上がるタイプじゃないわよね。
想像してたら何だか笑みが零れてきた……いや、何でよ。
窓の外に目を向けると、綺麗な満月が見える。
……向こうも晴れてると良いわね。
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「お兄ちゃん、真姫さんにはメールしたの?」
「何だよ、いきなり……昼にしたくらいだな」
「うん、お兄ちゃんにしては上出来だね!でも、寝る前にもちゃんと連絡しなくちゃダメだよ」
「いや、親子かよ……てか、親父にも母ちゃんにもずっとメールなんてしてねえよ」
「……ああ、それもそうだよね……ごめん……」
「いや、無駄に重い空気出さなくていいから。別に家庭内に闇とかないからね?」
「そっか。お兄ちゃん単体で闇だもんね」
「…………」
それは否定できない。我が妹ながら素晴らしい分析力だ。あと単体で闇とかなんかかっこいい。
「とにかく!真姫さん頑張ってるんだから連絡するの!いい?」
「お、おう……」
……まあ、確かに。μ'sを応援すると言っておきながら、応援メッセージの一つも送らないのは不誠実なのかもしれない。
あとそんな義務感とは関係なく、何か送ってみたくなった。
俺はメール画面を開き、とりあえずベッドに寝転がった。
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「あら?」
新曲のアイデアをまとめ、そろそろベッドに入ろうかと思ったところでテーブルの上の携帯が震えた。もしかして……
「……八幡」
予想が当たったからか、つい名前を呟いてしまった。特に意味はない。
とはいえ、このタイミングで夜にメールを送ってきたということは何か意味があるのかしら?いや、たまにこの時間に電話とかしてるじゃない。その時も普通の会話しかしてないから特に意味なんて……!
ああもう、何一人であたふたしてんのよ、私は。
頭を軽く振ってから、メールを開くとそこには一言……
『お疲れさん』
「…………は?」
思わず低い声が出てしまった。
相手は八幡だし、別に気の利いた言葉を期待していたわけじゃない。
それにしても……これは短すぎじゃない?
もう一度読み返してみる。
「……ふふっ」
やっぱりひたすら短いし、特に面白味はない。
でも何故だろう。
読み返しては笑ってしまう。
「そっちもお疲れ様……っと」
お返しに短い返事を送ったあとはすぐ眠りに就いた。