捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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Moment’s Notice #6

 花火大会当日。

 待ち合わせに選んだ時計台の下でスマホを弄っていると、背後から戸塚が声をかけてきた。

 

「八幡、結構人多いけど西木野さん達わかるかなあ?」

「まあ、大丈夫だろ。ぱっと見ならそこそこ目立つだろうし」

 

 すると、想像どおりに人目を引きつけながら、浴衣姿の三人組の女子がきょろきょろしながら駅から出てきた。

 どよめくというほどではないけれど、近くを歩く人……特に男子がちらちらと彼女らを見ている。

 その様子を声をかけるのを忘れて見ていると、真姫がこちらに気づき、小泉と星空を促して、こちらに歩いてきた。

 

「気づいてるなら声かけなさいよ」

「……い、いや、まあ、あれだ。人違いだったらどうしようかと……」

「わあ、3人ともかわいいね!」

 

 戸塚の一言につい頷いてしまう。

 3人それぞれμ'sでのメンバーカラーを基調とした浴衣を着ていた。さすがにμ'sと気づく奴はいないと思うが、この3人だけでアイドルグループと言われても納得してしまいそうだ。

 ちなみに星空と小泉は戸塚のストレートな褒め言葉に照れ気味だ。

 

「にゃ、にゃあ……」

「あ、ありがとうございます……」

 

 そして、戸塚は無邪気な天使の笑みでこちらを振り向いた。

 

「ね、八幡!」

「えっ?あ、ああ……いい、と思う。すごく……」

 

 急にふられ、返答に窮したが、何とか感想を口にする。

 

「……ありがと」

 

 今度は真姫が頬を染めて小さく唇を動かした。何故か星空と小泉はうんうんと頷いている。

 

「そろそろ行くか」

 

 色々と誤魔化すように促すと、4人も頷いて、祭り会場の方へ足を向けた。

 

 ********

 

「おい、見ろよアレ……」

「うわ、美少女が4人も……!」

「どんなハーレムだよ?」

「奴は前世でどんな徳を積んだというのか……」

「ちきしょうめ……」

「ザキ」

「ちっ、ボッチの癖に!」

 

 冷たい視線にさらされることには慣れているつもりだったが、この手の冷たさは初めてだったので、ただ前を向いて歩くしかない。あと誰だ。魔法で消そうとしてる奴は。あと誰だ。俺がボッチだと知ってる奴は。そんなに名を轟かせた覚えはねえよ。

 しかし、とうの本人達は何処吹く風で祭りの屋台をキョロキョロ見ている。戸塚がしれっと美少女枠に入ったのは……まあ仕方ないな。正式には天使だが。

 

「ねえ、八幡……」

「どした?」

「花陽達が見当たらないんだけど……」

「……はっ?」

 

 いや、さっきまでそこにいたのに……なんかもう狙いすましたかのような早業だな。

 真姫と目が合うと、呆れたような表情を浮かべ、はぐれないようにこちらへ一歩踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

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