捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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Dolphin dance #3

 それからしばらく校内をあちこち見て回った。

 千葉有数のマンモス校だけあって、あちこち歩いて回るだけでも色々と発見がある。

 ……普段八幡はどのあたりにいるのかしら?

 

「お兄ちゃんなら校舎裏の人気のない場所で普段お昼を食べてると思いますよ」

「へえ、そう……どうしたの、いきなり?」

「てっきり兄が普段どこで過ごしてるのか想像してるのかと……」

「そ、そんなわけないでしょ!」

 

 すぐにイメージできてしまうのが少し面白いけど、それは表情に出さないように気をつけた。

 

「あっ、皆来てたんだね!」

「戸塚先輩にゃ〜!」

 

 聞き覚えのある声のした方を向くと、何やら衣装を着た戸塚さんがにこやかに立っていた。

 

「戸塚さ〜ん、それ劇の衣装ですよね?すっごく似合ってますよ〜」

 

 そういえば八幡からは聞いてなかったわね。文化祭実行委員になった話のほうが衝撃的だったから、その話ばかり聞いてたわね。

 

「あ、あの……どんな内容なんなんですか?」

「『星の王子さま』だよ。あと15分で始まるから、よかったら観に来てよ」

「いいですねえ、真姫さんどうですか?」

「えっ?別にいいけど……」

 

 八幡のクラスメイトを見てみたいような気がしないこともないけど、私はすぐに首を縦に振った。

 

 ********

 

「す、すごかったね……」

「にゃ、にゃあ……なんか変な気分になったにゃ……」

「あはは……女子の歓声がすごかったですね」

「…………」

 

 何とも形容しがたい気持ちのまま教室を出ると、私達は溜息を吐いた。ちなみに落胆とかではなく、本当に初めての感情というか……これはあまり考えないほうがよさそうね。うん、何だか危険な気がするわ。隅っこで眼鏡をかけた人が鼻血を吹き出してたし……。あれって実際に起こることだったのね。

 とにかく外の空気でも吸いたい。

 同じことを考えたのか、小町が気を取り直したように声をかけた。

 

「と、とりあえず、今度は外にある出店を見てみましょうか」

「うん!片っぱしから行くにゃあ!」

「あっ、二人とも走っちゃだめだよ〜」

 

 そういえばメールとかは来てないみたいね。

 やっぱり、忙しいのかしらね……さっき会った時も疲れた顔してたし。

 周囲にぐるっと視線を向けると、楽しそうな笑顔で溢れている。

 そんな中、妙に暗い表情をした女子が階段を上がっていった。

 ……あの人も準備で疲れているのかしら。

 それでもお祭りの賑わいは途切れることなく、廊下を行き交い、そんな暗い表情も、私のふわふわした感情も覆い隠していった。

 

 

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