捻くれた少年とツンデレな少女   作:ローリング・ビートル

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Straight Life

「おお……」

「思ったより広いわね」

 

 俺達は楽器屋の中に足を踏み入れていた。

 ずらりと並べられたギターやベースなどの弦楽器。ドラムや  などの打楽器。ピアノやキーボードなどの鍵盤楽器のコーナーにきっちり分けられた店内は、ついきょろきょろしてしまうくらい好奇心をそそられる。

 

「初めて足踏み入れたわ……」

「楽器買いに来たことあるんじゃないの?」

「あれは専門店とかじゃなく、中古で買ったからなぁ。店員から話しかけられたら高いやつ買わされそうな気がして……」

「……らしい理由ね。確かに私も付きっきりみたいな接客は好きじゃないけど」

 

 呆れた笑みを浮かべながら、真姫は並べられたギターを眺めた。

 

「どれか試奏させてもらったら?」

「はっ?いや、俺は……」

「普段やらないことやろうって言ったでしょ?」

 

 真姫が上目遣いでこちらを見上げてくる。正直周りにはそこそこ客がいるし、恥ずかしいからやりたくないのだが、さっきの真姫の提案に頷いてしまったし、何より今回の外出の目的は、彼女に先日の埋め合わせをするためだ。

 俺は覚悟を決めて店員さんに声をかけた。

 

「あ、あにょ……」

 

 噛んだ。

 真姫が目をそらすのが視界の端に見えた……気がした。

 幸い店員さんは気にした風もなく、普通に応対してくれた。

 

 ********

 

「……おお」

 

 とりあえず8万円くらいの……八幡だけにとかいうつもりはない……ギターを試奏させてもらうことにした。前に本で見たテレキャスターとかいうタイプのギターである。

 店員さんがアンプに繋いでくれて、「どうぞごゆっくり」と立ち去ってから、おそるおそる音を鳴らすと、歪んだ音が鈍く響いた。

 しかし、まさか俺が休日に楽器屋で試奏する日が来るとは……これは使ってるギターは違えど、ふつうの軽音部になっちゃってるんじゃないだろうか。Cagayake boysしちゃうんだろうか。

 

「うっとりしてないで何か弾いてみたら?」

「……わかった」

 

 いかん。つい自分の世界に浸ってしまっていた。

 俺は数回コードを鳴らしてから、何とか覚えたソロを拙い指先でなぞりながら、ゆっくりと奏でた。

 

「へえ、そういうのも弾けるようになったのね」

「正直まだ色々と怪しいんだが」

「弾けてるわよ。もう少しはっきり音出したほうがいいと思うけど」

「わかった……ってあんま長々弾くのもアレか」

 

 店員さんがチラ見で確認してくるし、あと何人か音を確認してるのか、立ち止まってこちらを見ていた。

 それらの視線から逃げるように慌ててギターを店員に返す俺を、真姫は優しい笑顔で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

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