マドカ外伝 Moon Knights IS 黒炎の爪の旅   作:アマゾンズ

6 / 9
相棒がアーマラ(マドカ)の下に。

千冬が理不尽な逆ギレ。

セシリアが個人的に謝罪。

以上


※注意書き

この作品は基本的に胸糞展開が多いです。それだけを忠告しておきます。


04・因果律の輪転

解析を打ち切りにされた翌日の放課後、アーマラは千冬に生徒指導室(お仕置き部屋)へ呼び出されていた。

 

「貴様!どういうつもりだ!?このような危険な機体を使うなど!」

 

「それが私の専用機の防衛機能なんです。言いましたよね?何が起きても責任は取らないと」

 

「貴様ァ!それが教師に対する態度か!!」

 

千冬はアーマラの左頬を殴りつけ、倒れたアーマラの腹部へ蹴りを入れ始めた。

 

「お前が!!!」

 

「ぐっ!」

 

 

「私の!!!」

 

「がふっ!!」

 

 

「弟達を!!!!」

 

「げはっ!!」

 

 

「倒さなければ!!!!」

 

「うぐっ!?」

 

 

「こんな!!!!!!」

 

「ごふっ!!」

 

 

「事に!!!!」

 

「げぼっ!!」

 

 

「ならなかったのだ!!」

 

「う・・・ぐ・・・ぐふっ!」

 

溺愛している弟達と己の鬱憤、機体を解析できなかったストレスをアーマラを蹴り続けることで発散していた。生徒指導室は完全防音の為、外部に音が漏れることはない。

 

アーマラの腕、顔面、額、あらゆる部位から出血している。それでも千冬はお構いなしに蹴り続けた。

 

「はぁ・・・はぁ・・。ふん、こんな役に立たずな専用機など返してやる。私の機嫌一つで貴様は立場がなくなるのを忘れるな!」

 

アーマラは待機状態のガリルナガン・ナーゲルを回収すると、壁に手を付け痛みが残る身体を押して生徒指導室から出た。

 

「姉さん。いや・・・この世界の織斑千冬は力に魅せられてるのか・・・恐怖と暴力で人間を指導するなど・・・げほっ!」

 

壁伝いにアーマラは歩いていく、ヒソヒソと何かを周りが話しているようだが気にしている暇はない。

 

保健室へ向かう途中、複数の生徒が慌てた様子で走り寄ってきた。

 

「ウィウィ!?大丈夫~!?」

 

「非道いケガ、もしかして織斑先生に?」

 

走り寄ってきたのは同じクラスの布仏本音と相川清香の二人であった。二人は急いでフラフラなアーマラに肩を貸して保健室へと向かい始める。

 

「本音さん、清香さん・・・どうして私が織斑先生にやられたと・・・?」

 

「先生が口に出してたんだよ~。アーマラの奴が~って」

 

「それで心配になって探してたって訳」

 

「そうだったのか、ありがとう」

 

「いいから早く、保健室に行かないと!(手当てしたら罰を与えるって言われてるけど、知ったことじゃない!)」

 

保健室へ入ると清香と本音はアーマラの傷を消毒し、止血用のガーゼと包帯を巻いて手当てを終えた。

 

「ウィウィ、大変だね~。織斑先生に目をつけられるなんて~」

 

「ああ、覚悟はしていたことだがな」

 

「正直、こんなにケガを負わせるのはやりすぎだと思うよ?」

 

「・・・・」

 

アーマラは自分が被害者だという事を訴えはしなかった。訴えた所で千冬に賛同する教師達の手で都合の良いように改変され、報告されるのが目に見えている。

 

「とにかく~教室へ戻ろ~?」

 

「そうしよう、授業もあるし」

 

保健室から出ようとした時、目の前に一人の生徒がいた。長い金髪を揺らしながら俯いているセシリアであった。

 

「あ、セッシーだ~」

 

「なんの・・・用だ?」

 

「アーマラさん、本当に申し訳ありません!!」

 

セシリアは唐突にアーマラへ頭を床に着けて謝罪し始めた。突然の事に本音と清香は驚きを隠せない。

 

「なんのつもりだ?」

 

「貴女に指摘されてわたくしがどれだけ愚かな事をしたのか、改めて自覚したのです・・・本当に申し訳ありません!」

 

「セシリア・オルコット・・・ただ頭を下げれば良いというものではない。己の行動の不始末は己で片付けなかればならない。本当の解決は己の行動と自分を許す心だ」

 

「・・・・っ」

 

アーマラからの厳しい言葉にセシリアは身体を震わせる。余りにも厳しすぎる、頭を下げているのにこの人は許してはくれないのかと。

 

「私は許しても織斑先生やお前の所属国からはなんと言われるか、考えてみろ」

 

「あ・・・ああ!」

 

「そういう事だ。私への謝罪よりも重要な事があるだろう?それに・・・私は既に許している。それでも自分が許せず、罰されたいというのなら自国にでも頼んでくれ。私からはそれだけだ」

 

この人は許しているからこそ冷たく引き離しているのか。許しを得ても己自身が許さないのであれば行動しろと。

 

「分かりましたわ、謝罪を受け取って頂いてありがとうございます・・・」

 

「・・・・」

 

本音と清香に肩を借りつつ、アーマラは自分のクラスの教室へと戻っていく。セシリアもそれに続く形で教室へと戻った。

 

教室の中へ入ると織斑兄弟が憎い敵を見るかのような目つきでアーマラを睨むが、本人からすれば子供の駄々と変わらず見えるために関わらない態度をとった。

 

千冬の熱狂的信者だけはアーマラを敵としてみているが、他のクラスメート達はアーマラの強さなどに追いつこうと研鑽する者まで現れ始めている。

 

だが、担任の千冬はこれが面白くなかった。自分の暴力という力で支配したのにも関わらず、アーマラの毅然とした態度によって少なからず自分の地位に疑問を持つ生徒が出てきたからだ。

 

「(おのれ、アーマラ!どこまで私の邪魔をすれば気が済むのだ!!)」

 

もちろん、アーマラにそんな気概は一切ない。当然の権利を当然と訴え、嫌なものは嫌と意見する。当たり前のことを当たり前にやっているだけだ。己の出来る範囲での話だが。

 

教師達が合図し、ホームルームが始まるとセシリアが挙手し、発言の許可を求めていた。千冬はそれを認め、発言を許した。

 

「皆さん、この度はわたくし・・・セシリア・オルコットが皆様に対し不快な発言をしてしまった事をお詫び申し上げます。本当に申し訳ありません」

 

頭を下げると同時に消しゴムが一個投げつけられる。消しゴムにとどまらず怪我をしない物が次々とセシリアへとぶつけられる。

 

「ふざけないでよ!」

 

「頭を下げるだけで許してもらえると思ってんの!?」

 

「千冬様を侮辱しておいて虫が良すぎるのよ!!」

 

罵倒、嘲り、理不尽、あらゆる感情を物に変えてセシリアへとぶつけ続ける。セシリアはそれを頭を下げたまま受け続ける。

 

これが自分に向けられる罰なのだと。自分はなんと愚かな事を口にしてしまったのだろうか?自分の常識だけで全てを台無しにしてしまった。

 

「許して・・・許してくださいませ・・・」

 

それはまるで異端者へ石をぶつける狂信者の状態に等しい。千冬という崇拝対象を侮辱された事で彼女らの憤りはセシリアへ向けられているのだ。

 

「もういいだろう、オルコット・・席へ戻れ」

 

「はい・・・」

 

千冬はセシリアの光景を見ていて溜飲が下がったらしく、優しい素振りを見せて席へと返した。

 

席に戻ったセシリアは俯いたままで顔を上げようとしない。

 

 

 

 

 

 

それからの授業はまんべんなく終了し、昼休みの時刻となった。セシリアは寮にある自分の部屋からイギリス本国に自分の行った出来事を電話で話していた。

 

「何をやったんだ!まだ束博士の耳に入っていなかったから良かったものの・・・君は国際問題の引き金を引こうとしたのかね!?」

 

「大変申し訳ありません・・・!」

 

「今回は学園にも感謝せねばな、いいか?次にこのような事をすれば君には代表候補生を降りてもらう!賠償金、ISの研究資金、ブルー・ティアーズの引取りを行ってもらい、財産も没収する!」

 

「はい・・・」

 

そう言って、イギリス本国との連絡が切れた。改めて自分の軽率な行動がどれだけ国家とIS学園に迷惑をかけたのかを自覚できた。

 

「あ・・・・ああああああああああああああ!!」

 

セシリアはその重圧に耐えきれず叫び声を上げた。涙もこぼれ落ちているが、そんな事すら気にも止められなかった。

 

自分が女尊男卑の思想に飲まれて行った行動が結果的に国際問題スレスレに陥ってしまった事、誰よりも自分は上だと自惚れていた心。誰にも負けるはずの無いという自信、その全てを砕かれたのだ。

 

井の中の蛙、大海を知らずとはよく言ったもので、己も選ばれた人間ではなく人より僅かに抜きん出ていただけだった。母の真意も父が何故、道化を演じていたのかも知らずに。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい!!」

 

その悲痛な叫びは心の中に沈んでいたアーマラの言葉を浮かび上がらせた。

 

『本当の解決は己の行動と許す心だ』

 

己自身が己を許さない限り、いくらでも自分を責めてくるとアーマラは警告していたのだ。それが今になってようやくわかる、助けて欲しいと願っても己を責めているのは他ならぬ己自身、誰も助けることは出来ない。

 

「わたくし・・・は」

 

自分が許せるようにまで行動しよう。その為には壊してしまった信頼を少しずつ取り戻そうと決意した。

 

 

 

 

 

「おい」

 

アーマラが食事を取っていると、織斑兄弟の一人である春夜が声をかけた。

 

「お前のディス・アストラナガンを渡せ!オレが使ってやる!!」

 

「っん?ディス・アストラナガン?ああ・・・ガリルナガン・ナーゲルの事か、お前が使えるなら使ってみるといい」

 

「ディス・アストラナガンは俺に相応しい機体だ!来い!」

 

そう言って差し出された待機状態のガリルナガン・ナーゲルを春夜はひったくると外へ出て展開しようとする・・が、何も起きない。

 

「なんでだ!?何故、何も起きない!?コイツを纏えないんだ!」

 

「ガリルナガン・ナーゲルは私以外の人間には展開できないよう、生体ロックが掛かっている・・・解析の為でなら人形だけは受け付けるがな」

 

「っ!くそっ!!」

 

待機状態のガリルナガン・ナーゲルを叩きつけようとするが、アーマラは手首を掴んで捻り上げ阻止する。

 

「うわ!痛い痛い痛いィ――――!!」

 

「奪い取った挙句、勝手に展開しようとして出来なければ破壊しようとするのか?そんなに戦いたいのなら今日の放課後、アリーナへ来い・・・。いくらでも相手をしてやる。弟と一緒にな?」

 

捻っていた手首を解放し、服の乱れを整える。とは言ってもタイだけが解けただけだが。

 

「このアマ!」

 

「ぐっ!」

 

反撃してきた春夜のパンチを受けてしまったが、全くもって軽かった。これなら竹刀で叩かれた方がまだ痛いと思えたほどだ。

 

「良いだろう、戦ってやるよ!逃げんじゃねえぞ!!!」

 

春夜はそう言って去っていく。一夏は食事を終わらせて春夜を追いかけていった。

 

「あの時は加減したが、今度は殺す気で行くぞ?織斑兄弟・・・・フフフ」

 

アーマラが不敵に笑うと、その髪は戦意高揚の現れか銀髪と蒼髪が薄く混ざり合ったような色に変色していたのを一人として見向きもしてはいなかった。




はい、ここまでです。

セシリアに関してですが、この世界では少しでも罵倒出来る火種があればそこへ油を注いだり、薪をくべるレベルでひどいです。

セシリアは追い込まれましたが贖罪の形だと思ってください。

次回では織斑兄弟とアーマラの2対1の戦いが勃発。

アーマラは虚憶から「奇跡を起こす神の火星」の技を使います。

ヒントは『ポゥーン』です。
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