特殊行動艦娘対策部   作:携帯電

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第1話

ある鎮守府の一室で二人の男女が向かい合っていた、男のほうは軍服を着ており見栄えの良い好青年に見える

対する女の方も長い黒髪に目鼻の整った顔立ちをしておりはたから見ればお似合いの二人に見えることだろう。

 

しかしその光景はこの鎮守府にとっては珍しいことではなかった男は提督であり女は艦娘だからだ。

 

人類を守るために生まれた艦娘達はどうしてか皆非常に容姿が優れているそして何故艦娘が生まれたのか、

どうして人間のようにしか見えない姿なのか疑問は山のようにあるが数十年たった今でもそれらの謎は解明されていない。

 

分かっていることは艦娘は人類を脅かす深海棲艦に唯一対抗できること、そして一部の人間だけが艦娘にたいして有効的な命令ができることである、その適正を持った人間を提督と呼称し海軍に入隊させ艦娘達に指揮をさせることで人類は深海棲艦からの侵攻を防いできた、そのような歴史があった。

 

「どうしたんだ榛名もうすぐ作戦開始の時間だぞ?用事があるなら早く言ってくれないと。」

 

話があるといって呼び出されたのに一向に口を開かない榛名にしびれを切らしたのか男が話しかける

榛名は金剛型の戦艦でありこの鎮守府の中でも古参の部類に入る榛名がこのような行動に出るのは珍しく、

それが気にかかったので提督は作戦開始前にも関わらず時間を取ったのだろう。

 

「そう、ですよねちゃんとお話ししないと行けませんよね。」

 

そう言う榛名の表情は暗くこれからするであろう話も良い事ではないのだろうと予測ができた、そんな榛名の顔を初めて見たのだろう提督は少し驚いた顔をして短い返事をするので精一杯の様子だ。

 

 

「単刀直入にお聞きします提督はこの大規模作戦が終わったら金剛お姉さまと結婚するんですよね?」

 

榛名からでた言葉が意外だったのか提督はすぐに返事を出来ないでいる。

 

「どうなんですか?」

 

「ああ、すまんそんな事を聞かれるとは思ってなかったからさ、金剛から聞いたのか?あいつから皆には結婚するまでは内緒にしようって言ってたのになあ。」

 

緊急を要するようなことではなかったことに安心したようで少しはにかみながら提督は答える、その答えを聞いてますます榛名の表情は暗くなっていくそれを見て焦ったかのように提督は口を開く。

 

「そう落ち込まないでくれよ榛名、急な話で悪かったと思う大好きなお姉ちゃんが結婚するのが寂しいのは分かるけどさ俺は本気なんだ絶対に金剛は幸せにするから俺達の結婚を認めてほしい。」

 

そう言い榛名に頭を下げる提督は榛名が突然の金剛の結婚に対して動揺し、その相手である提督に対して抗議しに来たと判断したようだ。

 

「いつから二人は思いあっていたんですか?一体いつから?」

 

榛名が泣きそうな顔で提督に問う動揺を見せる提督だが榛名が納得するまで話すことに決めたようだ、真剣な表情に変わる。

 

「そうだなあ本当最近なんだよ一か月ぐらい前かなこの気持ちに気づいたのは、金剛型の皆で街に出かけた時にさ榛名と俺でみんなとはぐれただろ、でさ合流するときに遠めに金剛がナンパされてるのが見えたんだそれでさ金剛が笑顔で話してるんだよ、それ見てさすげえ嫉妬しちゃってさそれで告白したんだ。」

 

赤裸々に自分の思いを語る提督の顔は少し赤くなっている

 

「そうですか…あの日に…そうなんですね…」

 

「最初はさ断られたんだよでもさ俺の思いが伝わったみたいでさ結構恥ずかしいことも言ったんだぜ、あの時の金剛の顔榛名にも見せてや」

 

「もういいです!!」

 

提督の言葉は榛名の大声で遮られる

 

「ど、どうしたんだ榛名急に大きな声だして」

 

そんな姿は初めて見たのだろう目に見えて動揺している提督、それに追い打ちをかけるように榛名は話しかける。

 

「それ以上提督がお姉さまを思うのなんて見たくないんです」

 

「どういう」

 

言い終わる前に提督の口が塞がれる、榛名の口によって、一応抵抗しているようだが艦娘の力には適うはずもない。

 

「ずっと好きだったんです、いつからだったんでしょう、気が付けばあなたの姿を追いかけていた、あなたに見てほしくて話したくて一緒に過ごしたくてそれなのに勇気が出なくて、どうしたらいいのか分からなくて姉さんたちにだって相談したんですよ?あの時は楽しかったなあ皆がいろんな意見をくれてそれを試したりして、あの時私たち二人だけがはぐれたのだって皆が協力してくれたからなんですよ?それがきっかけになったなんて残酷だとおもいません?お姉さまどんな気持ちだったんでしょうね?妹の好きな人から告白されて最初は断ったんだからそのまま断れば良かったのになあ、オッケーしたってことはお姉さまも好きってことだったんですよね?分かんないなあずっと私に遠慮してたのかなあなんで一か月も言えなかったんだろう?ねえなにかお姉さまから聞いてないですか?ねえ聞いてますか?提督?」

 

眼の光が消え誰に聞いているのかもわからないような独白そして自分に向けられている異常な好意にたいして、提督は何も答えることが出来なかったこの場を離れようにも榛名に拘束されているのでそれも出来ない。

 

「ねえなんでなにもいってくれないんですか?」

 

そういう榛名は今にも泣きだしそうな子供のようにも見えた。

 

「…榛名が俺のことをそんなに思ってくれてるとは知らなかったよ、何だろうなんて言ったらいいのかな。」

 

落ち着きは取り戻した様子で榛名に真剣に答えてあげたいというのが見て取れる。

 

「ねえ提督は私のことどう思っていましたか?」

 

「…妹みたいな感じだったと思う一緒にいると癒される存在で楽しかったよ。」

 

「じゃあ私と結婚しましょうよ二人で真剣に言えばお姉さまだって分かってくれるはずです。」

 

それが叶わぬ願いということは分かっているはずだ、それでも言わずにはいられないそしてその願いは否定される。

 

「俺は金剛が好きだ、愛してるそれは出来ない。」

 

「知ってますあなたを好きだからこそそれが良くわかります。」

 

おもむろに榛名は懐から短刀をとりだした。

 

「あなたを殺して私も死ぬ。」

 

儚い笑顔で話す榛名に何も言えない様子の提督。

 

「最初はそのつもりだったんです、でも今はなんだかよくわからなくなってしまいました。」

 

「俺はさ提督適性があった」

 

突然語りだした提督に榛名は困惑しているようだ。

 

「まあ最後まで聞いてくれよ、提督適性がある子はさ特別な施設で艦娘のことを学びながら過ごすことになるんだよ、いくら適性者が少ないからってやってることは誘拐みたいなもんさその機密性の高さから元の家族に会えることはまずありえないしな、普通は自我もあんまり芽生えないうちに施設に移されるからその家族はともかく本人たちは問題が起きることはまずないんだ、そんな中俺は小学校を卒業するころに適性があるのが分かったんだ、当時は艦娘を恨んだもんさあいつらがいなければ家族と離れ離れになることはなかったのにってな。」

 

「それは今でも…ですか?」

 

「いいやそんなことはない、って言ってもその思いは小さくなりはしても着任したころはまだ恨んでいたよ何で選ばれたんだーとかも考えてたしもちろん表に出さないようには気を付けてたけどな、そんな時にさ金剛と出会ったんだ底抜けに明るくて一緒にいると元気になれた、そのくせして妙に鋭いところもあって俺が疲れたりしてる時は紅茶を淹れてくれてさこの気持ちが恋って気づいたのは最近だけどさ、いつの間にか艦娘に対する恨み何てなくなってたんだだから今の俺がいるのはきっと金剛のおかげなんだだから金剛を裏切ることなんて出来ない、ごめんな榛名。」

 

提督の告白を聞いて榛名は落ち着いたように見える、吹っ切れたような笑顔で答える。

 

「謝らないで下さいよ、なんだか私は自分ばかりで恥ずかしいですね。もう諦めはつきました私なんかが入り込む隙はないみたいですどうか幸せになってくださいね。」

 

「あ、ああ本当に大丈夫か?作戦の中止は無理でも多少の延期は出来るんだ少しでも部屋で休んだほうがいいんじゃないか?」

 

提督の気遣いに対して首を振る榛名は錯乱していたことなど感じさせない足取りで部屋を去ろうとし、扉の前で振り返る。

 

「最後に言っておきます、絶対にお姉さまを幸せにしてくださいね提督。」

 

そう言って笑う榛名にしっかりとうなずき笑い返す提督はとても頼もしく見えた。

 

 

 

 

 

 

 

そして扉は開かれる特殊行動艦娘対策部通称【特対】の手によって

 

「いい雰囲気のところごめんねえ特殊行動艦娘対策部でーすよろしくー」

 

重い雰囲気を軽くするためにフランクに言ったのが裏目に出たのだろうか何も反応がない

こういうのは無視されるのが一番応える、というか我が部下である不知火さえ無反応なのが解せぬ。

 

「不知火ちゃんも何とか言ってよー」

 

「…緊急の事態でしたし監視カメラを仕込んでいたのはまあいいです、しかし円満解決したのなら乗り込まずに事後処理だけを済まし速やかに立ち去るのが最善かと思いますが?」

 

いつもより少し饒舌なのは怒っているからなのか、特対の初任務で緊張しているのかどっちなんでしょう、後者だといいなあ不知火ちゃんのご機嫌を取るのはむつかしいからなあ、けれどこれで円満解決と思ってしまうのは頂けないなあ。

 

「んー俺はそうは思えなかったからなあ上官命令だよ上官命令逆らっちゃだめだよー」

 

ちょっと煽ってみただけなのにすっかりご機嫌斜めだなあ不知火ちゃんその眼光怖いからあんまり睨まないでほしいです。

 

「特対だと?本当に存在していたのか…」

 

お、提督のほうは混乱から回復したみたいだな榛名ちゃんの方は何が起きてるのかまだ分かってないみたいだけど

 

「そそ名前ぐらいは聞いたことあるかなただ噂だけだと誤解も多いだろうしちゃんと説明するよー、そっちの子は何も知らないみたいだしね。後これ指令書ね」

 

渡した指令書をじっくりと読んでいるのを見ると相当疑われてるな、そりゃあそうか監視カメラとか言っちゃてたし、不知火ちゃんも榛名ちゃんに話しかけているのを見るとちゃんとマニュアル通りには出来てるみたいだね。

 

「じゃあもういいかな特殊行動艦娘対策部が何をするかっていうとその名の通り事件を起こした艦娘の対策をする部だね、その対策も様々で注意だけで終わったこともあれば解体までしたこともある、そしてその対策をどうするかをこれから話し合いましょうってわけだオーケー?」

 

ぐるりと周りを見れば皆がかなり緊張しているのが分かる解体っていうのが効いているのだろう、というか不知火ちゃんまで緊張してどうすんだ。

 

 

「監視カメラで見ていたのならわかるだろうもう榛名は大丈夫だ、俺のことは吹っ切れただろうしこれ以上何を問題にするんだ?もう出撃の時間も迫っているしお引き取り願いたい。」

 

榛名ちゃんを庇うように前に出て俺にまくし立てる、もちろん俺だってさっきの榛名ちゃんの言葉が嘘だなんてみじんも思っていない。

 

「出撃に関しては問題ないよーうちの艦娘を代わりにだす連携に不安はあるだろうけど最高練度認定は受けてるし滅多なことは起きないよ。」

 

「うちの榛名だって最高練度認定は受けているそれを踏まえた作戦なんだ連携が不安なら作戦成功率が下がってしまう認められない」

 

どや顔で艦娘自慢されてしまった、そんなに大事にしてるのになんで気持ちに気づかんのかねえ仕方ないので手袋を外して指輪を見せる。

 

「限界突破したうえでの最高練度って意味だこれなら不安はないよな?」

 

おー固まってるなあ無理もないかケッコンシステムが配布されて一か月でそんなこと普通はありえないしなあ。

 

「馬鹿な…しかも指輪が複数だと…」

 

 

「というわけで話し合いはじめしょうか」

 

 

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