高任斎の一発ネタ集。    作:高任斎

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今は閉鎖された知人のHPで掲載してたシリーズものの第一話に手を加えたものです。
ちなみに内容は、エロ能力のお話が多めでした。(笑)


10:気軽に言葉を発するな!(オリジナル)

 なに?

 友達の作り方を教えて欲しいだって?

 ははは、そんなの簡単さ。

 学校の女の子に告白すればいいのさ。

 そうしたら、『お友達でいましょう』って言われるよ。

 お友達一人、ゲットだぜ!

 

 

 

 

 ……うん、昭和のギャグだな。

 今の時代、それほど親しくもない相手に告白なんかしたら、馬鹿にされて、お友達どころかハブにされて、ネットでさらされて、社会的に死ぬわ。

 

 ため息を吐く。

 駅前の広場に設置されたベンチに腰掛けて、行き交う人を見つめる。

 あれだな。

 寒くなると、人間関係の親密さがダイレクトに距離として現れるな。

 うわ。

 あいつら、付き合ってたのかよ。

 マジかよ、チクショウ。

 

 空を見上げた。

 

「マジで、リア充とか爆は……」

「それ以上はいけない」

 

 ビクッとした。

 誰だよ?

 

「通りすがりのおっさんだ」

「……確かに」

 

 通りすがりはともかく、見るからにおっさん、見事におっさん。

 俺も、こんなおっさんになっていくんだろうなあ。

 

「君はさっき、『リア充爆発しろ』と言いかけたんじゃないのかね?」

「いや、まあ……」

 

 なんというか、否定する気が起きなかった。

 多少恥ずかしいとは思うが、気軽に使われている言葉だ。

 冗談でも使う。

 それが今更……。

 

「……このおっさんの、指先に注目だ」

「はい?」

 

 なんか、愉快だな、このおっさん。

 ちょっと笑いたくなる。

 ま、いいや。

 注目しろと言うなら、注目するよ。

 

 おっさんは、さりげなく周囲を見渡し、もう片方の手で指先を隠すようにする。

 もったいつけてんなあ。

 

 ぽっ。

 

「っ!?」

 

 ちょっ、今の?

 手品……か?

 指先から、ライターぐらいの小さな火が。

 

「タネも仕掛けもない」

「いや、もう片方の手が怪しい」

「あまり人に見られたくはないんだが……」

「じゃあ、そこの物陰で」

 

 見知らぬおっさんと二人で何をやってんだかと思うが、久々にワクワクしてたんだ。

 どうせ、手品とか、トリックがあるんだろうけど。

 謎を解明するというか、ドキドキする。

 

 そして。

 

「な、なんでだよ?何がどうなって、ああなって、火が出るの?」

 

 マジで、タネも仕掛けもないようにしか思えなかった。

 もちろん、小さいとは言え火だ。

 触れると熱い。

 紙も燃える。

 おっさんがニヤリと笑い、変なポーズをとった。

 

「我が右手に宿りし力、ここに封印を解く」

 

 バカ笑いした。

 おっさんが、おっさんが、変なポーズ決めて、厨二セリフとか。

 久しぶりに腹の底から笑った気がする。

 なんなの、このおっさん。

 めちゃ、面白いんだけど。

 

 

 そして俺は、おっさんとふたりしてベンチに座り。

 

「この力に気づいたのは、5年前だ。タバコを吸いたいのに、ライターがなくて……指から火が出たら便利なのになあと、念じたら、出たんだよ」

「出ちゃったのかよ。修行も何もなしに」

「うん、出ちゃったんだよなあ……それまで30年以上気づきもしなかった、秘められた力ってことなんだろうねえ」

「ショボすぎる」

「便利ではあるんだ、ごくたまに」

「まあ、あんまり人前では見せられないわな……」

 

 そういやなんで、俺には見せてくれたんだ?

 まあ、他人に話したところで、信じてもらえずに終わるだろうけど、いいとこ『手品』だろ。

 

「実は、こういう不思議な力を持っている人間をほかにも知ってる」

「マジで?」

「左手で缶コーヒーを温められる力。右手はダメで、左手だけ。それも、缶コーヒ以外はダメ」

「だからなんで、そんな微妙な力なの!?」

 

 おっさんは、ちょっと空を見上げて呟いた。

 

「その人もね、自分の力に気づいたのは偶然だったって言ってた。成人式の帰りに気づいたらしいんだけど」

「うわぁ……」

 

 ふっと、おっさんが俺を見た。

 

「ねえ、もし君にもそんな力があったらどうする?」

「え?」

「もしも、『リア充を本当に爆発させる力』があったらどうする?」

「……」

「あの時、君はわりと本気で願ってたよね?秘められた力が、あのタイミングで発動したら、どうする?」

 

 あの二人が、爆発。

 いや、あの二人だけで話がすむのか?

 爆発するのは、『リア充』だ。

 誰が判断する?

 範囲は?

 周囲の影響は?

 

「……ヤバイな」

「だろう?」

 

 しばらく、俺も、おっさんも黙っていた。

 

「なあ、おっさん。なんで俺に声をかけたんだ?」

「なんとなく、だけどね。こういう力を持ってる人間がわかるんだ」

「……マジで?」

「ただ、力の種類はわからない」

「そりゃあ……そうだろうな」

 

 俺が連想したのは、バラエティ番組のNGワードだ。

 今まで十数年、普通に、平和に生きてきた。

 もしかすると、運が良かっただけなのかもしれない。

 

「え、なにそれ怖い」

「怖いんだよ、マジで怖いの。なんとなーくで、力を持ってる人がわかるおっさんもね、生きていくのがすごく怖いのよ」

「そりゃあ……怖いな、うん、怖い」

「仮にさ、『世界を滅ぼす力』を持っている人がいたら……平和に過ごして欲しいよ」

「うわぁ、想像しちゃった……」

 

 不幸が襲う。

 世界を呪う。

 世界が滅ぶ。

 

「というわけで少年よ、平和に生きていくことをアドバイスするよ」

「アドバイスされてもなあ……」

 

 好き好んで他人を傷つけたいとは思わない。

 それでも、キレル事はある。

 あれ?

 俺の人生、ものすごいハンデを背負わされてね?

 怒らず穏やかにって、人というより、仏様じゃん。

 

「頑固な油汚れをキレイにできる力あたりで、どうにかなんないかなあ」

「便利じゃん、おっさんも欲しいよ、その力」

 

 駅前のベンチでおっさんと二人。

 しばらく話し込んでから別れた。

 連絡先を交換することもしていない。

 

 家に帰って、いつもの生活。

 今日は、面白かったけど疲れたな。

 寝るべ。

 疲れも、風邪も、ひと晩寝れば元通りってのが俺の良いところだ。

 

 

 

 

 

 あ。

 まさか、な。

 

 

 




人類の可能性は無限なんだ。
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