ちなみに内容は、エロ能力のお話が多めでした。(笑)
なに?
友達の作り方を教えて欲しいだって?
ははは、そんなの簡単さ。
学校の女の子に告白すればいいのさ。
そうしたら、『お友達でいましょう』って言われるよ。
お友達一人、ゲットだぜ!
……うん、昭和のギャグだな。
今の時代、それほど親しくもない相手に告白なんかしたら、馬鹿にされて、お友達どころかハブにされて、ネットでさらされて、社会的に死ぬわ。
ため息を吐く。
駅前の広場に設置されたベンチに腰掛けて、行き交う人を見つめる。
あれだな。
寒くなると、人間関係の親密さがダイレクトに距離として現れるな。
うわ。
あいつら、付き合ってたのかよ。
マジかよ、チクショウ。
空を見上げた。
「マジで、リア充とか爆は……」
「それ以上はいけない」
ビクッとした。
誰だよ?
「通りすがりのおっさんだ」
「……確かに」
通りすがりはともかく、見るからにおっさん、見事におっさん。
俺も、こんなおっさんになっていくんだろうなあ。
「君はさっき、『リア充爆発しろ』と言いかけたんじゃないのかね?」
「いや、まあ……」
なんというか、否定する気が起きなかった。
多少恥ずかしいとは思うが、気軽に使われている言葉だ。
冗談でも使う。
それが今更……。
「……このおっさんの、指先に注目だ」
「はい?」
なんか、愉快だな、このおっさん。
ちょっと笑いたくなる。
ま、いいや。
注目しろと言うなら、注目するよ。
おっさんは、さりげなく周囲を見渡し、もう片方の手で指先を隠すようにする。
もったいつけてんなあ。
ぽっ。
「っ!?」
ちょっ、今の?
手品……か?
指先から、ライターぐらいの小さな火が。
「タネも仕掛けもない」
「いや、もう片方の手が怪しい」
「あまり人に見られたくはないんだが……」
「じゃあ、そこの物陰で」
見知らぬおっさんと二人で何をやってんだかと思うが、久々にワクワクしてたんだ。
どうせ、手品とか、トリックがあるんだろうけど。
謎を解明するというか、ドキドキする。
そして。
「な、なんでだよ?何がどうなって、ああなって、火が出るの?」
マジで、タネも仕掛けもないようにしか思えなかった。
もちろん、小さいとは言え火だ。
触れると熱い。
紙も燃える。
おっさんがニヤリと笑い、変なポーズをとった。
「我が右手に宿りし力、ここに封印を解く」
バカ笑いした。
おっさんが、おっさんが、変なポーズ決めて、厨二セリフとか。
久しぶりに腹の底から笑った気がする。
なんなの、このおっさん。
めちゃ、面白いんだけど。
そして俺は、おっさんとふたりしてベンチに座り。
「この力に気づいたのは、5年前だ。タバコを吸いたいのに、ライターがなくて……指から火が出たら便利なのになあと、念じたら、出たんだよ」
「出ちゃったのかよ。修行も何もなしに」
「うん、出ちゃったんだよなあ……それまで30年以上気づきもしなかった、秘められた力ってことなんだろうねえ」
「ショボすぎる」
「便利ではあるんだ、ごくたまに」
「まあ、あんまり人前では見せられないわな……」
そういやなんで、俺には見せてくれたんだ?
まあ、他人に話したところで、信じてもらえずに終わるだろうけど、いいとこ『手品』だろ。
「実は、こういう不思議な力を持っている人間をほかにも知ってる」
「マジで?」
「左手で缶コーヒーを温められる力。右手はダメで、左手だけ。それも、缶コーヒ以外はダメ」
「だからなんで、そんな微妙な力なの!?」
おっさんは、ちょっと空を見上げて呟いた。
「その人もね、自分の力に気づいたのは偶然だったって言ってた。成人式の帰りに気づいたらしいんだけど」
「うわぁ……」
ふっと、おっさんが俺を見た。
「ねえ、もし君にもそんな力があったらどうする?」
「え?」
「もしも、『リア充を本当に爆発させる力』があったらどうする?」
「……」
「あの時、君はわりと本気で願ってたよね?秘められた力が、あのタイミングで発動したら、どうする?」
あの二人が、爆発。
いや、あの二人だけで話がすむのか?
爆発するのは、『リア充』だ。
誰が判断する?
範囲は?
周囲の影響は?
「……ヤバイな」
「だろう?」
しばらく、俺も、おっさんも黙っていた。
「なあ、おっさん。なんで俺に声をかけたんだ?」
「なんとなく、だけどね。こういう力を持ってる人間がわかるんだ」
「……マジで?」
「ただ、力の種類はわからない」
「そりゃあ……そうだろうな」
俺が連想したのは、バラエティ番組のNGワードだ。
今まで十数年、普通に、平和に生きてきた。
もしかすると、運が良かっただけなのかもしれない。
「え、なにそれ怖い」
「怖いんだよ、マジで怖いの。なんとなーくで、力を持ってる人がわかるおっさんもね、生きていくのがすごく怖いのよ」
「そりゃあ……怖いな、うん、怖い」
「仮にさ、『世界を滅ぼす力』を持っている人がいたら……平和に過ごして欲しいよ」
「うわぁ、想像しちゃった……」
不幸が襲う。
世界を呪う。
世界が滅ぶ。
「というわけで少年よ、平和に生きていくことをアドバイスするよ」
「アドバイスされてもなあ……」
好き好んで他人を傷つけたいとは思わない。
それでも、キレル事はある。
あれ?
俺の人生、ものすごいハンデを背負わされてね?
怒らず穏やかにって、人というより、仏様じゃん。
「頑固な油汚れをキレイにできる力あたりで、どうにかなんないかなあ」
「便利じゃん、おっさんも欲しいよ、その力」
駅前のベンチでおっさんと二人。
しばらく話し込んでから別れた。
連絡先を交換することもしていない。
家に帰って、いつもの生活。
今日は、面白かったけど疲れたな。
寝るべ。
疲れも、風邪も、ひと晩寝れば元通りってのが俺の良いところだ。
あ。
まさか、な。
人類の可能性は無限なんだ。