初代ももう、20年以上昔ですなあ。
……なんだ?
目眩を感じたと思ったら、いきなり視界が変わった。
さっきまで自分がいた場所じゃない。
というか、日常からどこか異質な世界に放り込まれたような違和感と、恐怖を覚える。
無意識に腰を手をやって……悲鳴を上げかけた。
ナイフ!?
銃刀法違反で捕まっちゃうよ、これ。
つーか、俺、そんな危険なもの持ち歩かないよ!?
心臓の音が聞こえる。
まずは落ち着くことだ。
落ち着けば、何か分かることだって……ある。
ある。
どこか見覚えのある、懐かしいような……。
具体的に言うと、学生時代に、文字通り死ぬほど繰り返して目に焼き付けた光景だ。
ごくりと、唾を飲み込み……歩いてみる。
ふらふらと、まっすぐ歩けない自分に気づく、気づいてしまう。
ナイフを取り出して、まじまじと見つめる。
間違いねえ、バイオハザード(初代)だ。
やべえ、同人誌で主人公をパンチドランカーの設定にしたバチが当たったか。
というか、オープニングはどうなった?
ここ、食堂だよな?
……昔の記憶過ぎて、攻略方法なんか忘れちまったぞ。
というか、そもそも苦手だったんだこのゲーム。
ナイフを振ってみる。
頼りない。
所詮は素人だ。
キャンセル技とか使えねえのか?
素人が銃を手にしてろくに扱えるとは思わないが、それでも銃を手にしたい。
銃は武器じゃない。
安心感だ。
確か、ベレッタがすぐに手に入った気がするんだが……あれ、クリスとジルでルート違うんだったっけ?
いや、レベッカだったか?
……食堂から出ると、イベントだったよな?
ゾンビとご対面の。
ゲームじゃなく、リアルだ。
武器を探せ。
丸太はないか?
ゾンビには丸太だ。
これは、木の棒……木の棒か、短いな。
チクショウ、金属バットとか置いてねえのかよ。
よし、包丁!
いやいやいや、ナイフは間に合ってます。
というか、鈍器。
今俺が求めてるのは鈍器。
出会い頭に、膝の関節ぶち折ったら、それだけで動けなくなるだろ。
ナイフとか銃よりも、肉体破壊系の武器をプリーズ。
フライパン。
いけるか?
リーチが短いから、いきなり顔面行ったらああ!
うわああああああ、首がもげたぁぁぁ!
って、まだ動いてるうううううう!
やべえ、ちょっと吐いた。
俺、生きて帰ったら、サラダ食うんだ。
玄関だ。
エントランスホール?
細かいことはいいんだよ。
いや、細かいことを気にしないと死ぬ。
おお、結構覚えてるもんだな……そう、床に落ちてたはずだ。
よし、あった。
ナイフを手に入れた。
これで二刀流だぜ。
待って!
世界が俺を殺しに来てる!
鼻歌交じりで、ナイフクリアしてた知人とは違うんだ。
廊下だ。
銃のマガジン……は意味ないな。
でも確か、回復用のグリーンハーブがあったはず。
回、復……?
いやいや、これも安心感。
はい、ナイフ発見。
しかも2本。
待って!
これドッキリだろ?
もしくは悪夢。
ナイフ以外のアイテムがないのかよ!
チクショウが、殺られる前に殺れ!
次の廊下でゾンビが出てくるのは覚えてるぞ!
出てくる数で、難易度判明だろ。
イージーなら1体、それ以外は2体。
いや、この世界には、俺に対する悪意を感じる。
3、いや4体ぐらいを覚悟しておこう。
……食堂で、テーブルゲットだぜ。
ほら、アクション映画とかであるじゃん。
テーブルを盾にして突進とか。
当たらなければどうということもない。
テーブル抱えて階段のぼるって、なかなかくるわあ。
さあ、テーブルを構えてラッセル車ぁぁぁぁ!
ああああ、ゾンビの粘液みたいなのがぁぁぁぁ。
ぐちゃって潰れて。
ぐちゃってちぎれて。
手ごわい敵だった。
しかし、ゾンビは2体か。
思ったより優しい世界かもしれん。
ここは何があるんだったかな?
彫刻に矢が……ああ、矢だ。
あと、戦闘後ってことで、回復と、銃のマガジンがあるのはお約束だと思うが……。
ナイフ発見。
うん、そんな気はしてた。
仕方ない。
ナイフを使って、このテーブルの脚を、削って削って削って、バキッとな。
これを2本重ねて……カーテンで縛る。
念願の、鈍器を手に入れたぞ。
そうだよ。
暗い暗いと不平をこぼすより、進んで明かりを灯しましょうだ。
ゲームじゃなくてリアルなら、発想しだいでいくらでも抗える。
世の中には、ハンガーで戦う探偵だっているんだ。
残りの脚、短めに折って、足や腕に装着したら、防具にならんか?
いや、動きが阻害されるだけか。
次は何をするんだっけ?
石像を落とすとか、墓地でショットガンを手に入れるとか、断片的な記憶はあるんだが。
どうせ、ショットガンはなくてナイフだろ。
ショットガンじゃなくて、弾だったっけ?
石像を落とすってことは二階だよな。
落としたら何があるんだったっけ?
ゾンビィィ!
……いけるな、この鈍器。
むしろ大振りに気をつけよう。
マジでびびった。
中途半端に記憶があるのも恐ろしいな。
ゲームとかだと、『逃げれば捕まりません』とか気軽に言うけどさ、サーチ・アンド・デストロイしないと、安心して行動できないよ。
さて、この石像が……クソ重いんですがぁぁぁ。
よいしょおおぉぉぉ。
エントランスホールの床に穴があいたんですが、こんなんだったっけ?
まあ、いい。
いや、良くないだろ。
あの石像落としたら、墓地に行けるとかそんなんじゃなかったか?
どうなってんだ?
とりあえず、そろそろ犬が出てくるはず。
犬対策のために、カーテンを切り裂いて、腕にぐるぐる巻きつけておく。
動きを阻害しない程度に、太ももと、お腹にも。
うん、やっぱり石像を落とす位置が間違ってた気がする。
床に穴?
そもそも、このゲームの目的ってなんだったっけ?
脱出?
あれ?
仲間とかいなかった?
ちょいまち、廊下の鏡で確認だ。
俺だ。
鏡に映ってるのは、100%俺です。
ふう。
もうちょっとレベルの高い鈍器が必要なようだな。
ははは、漫画や映画とは違うから、ドアに体当りなんかしたらダメだぞ。
一般住宅の部屋のドアぐらいなら、普通にぶち破れるけどな。
……先生、肩が痛いです。
つーか、これもう、食堂で火をつけて燃やせばいいんじゃねえの?
いけるいける、ゾンビも燃えるって。
確か、2階の食堂のそばにテラスがなかったか?
あそこから飛び降りたら脱出できるよな?
ゾンビはなんとかなるけど、犬とか毒蛇とか、戦うとかないわあ。
毒蛇の種類にもよるけど、攻撃速度が0.1秒とか言ってた気がする。
つまり、反応速度が0.1秒以上かかるとされてる人間にはよけれない。
よし、そのためにも、脱出経路を確保だ。
食料搬送のトラックとか落ちてないかなあ。
ゲームが違うから無理だよなあ。
仕方ねえ。
エントランスホールのドアを、どうにかしてぶち破るか。
ああ、だから銃が手に入らないのか。
マガジンさえあれば、小細工ができるのに。
さーて、ナイフでドアを削っていきます。
くくく、重厚な造りとは言え、木製のドアだったのが不覚というものよ。
削って、削って、薄くなったところで……ナイフをあてがって、鈍器でドン!
よっしゃあ、穴があいた。
手こずったが、ようやくドアが開いた。
おお、朝日が昇る。
まるで俺を祝福しているかのようだ。
俺は洋館を後にして歩き出し……ああああああああ!
犬、犬、犬、犬ぅぅぅ!
ああああああああああああ。
せめて、2匹は……殺っ……。
記憶だけで書いたらこうなりました。(笑)
後半部分とかほとんど覚えてないや。