高任斎の一発ネタ集。    作:高任斎

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なんか、原型は奈良時代あたりに成立したとみられてるらしいですね。



2:タケトリの伝説。(原作:竹取物語)

 今は昔……。

 

 竹から出てきたかぐや姫。

 3ヶ月の促成栽培で美しく育った姫は、男たちの好奇の視線にさらされた。

 現実の男どもには見向きもしない、姫のつれない態度に諦めていった数多の男たち。

 そこに、不屈の闘志を持った5人の男たちが立ち上がる。

 だが、姫に無理難題を押し付けられ、瞬殺であった。

 男を寄せ付けぬまま日々を過ごす姫。

 しかし、いつからか悲しげに月を見つめるように。

 

 ある日、姫の口から驚くべき告白がなされた。

 

 自分は月の世界の罪人で、罰としてこの地に流された。

 どうやら、月に帰る時が来たようです、と。

 

 竹取の(おきな)、そして(おうな)は、これまでの姫の態度に理解を示しましたが……その、目に見えてしまう疑問を口にしました。

 

 かぐやよ、故郷である月に帰るというのに、なぜそんなにも悲しい顔をしているのか?

 

 この問いに、姫は口をつぐみました。

 その様子を見て、翁も、媼もまた、二度とその問いを口にすることはありませんでした。

 しかし、姫が月に帰るとどこから漏れたのか、周囲が騒ぎ始めます。

 月からの使者、何するものぞと、時の帝は家の周囲に軍を配置する始末。

 

 そして、月からの迎えが明日にやってくるという夜、ついに姫の口から問いに対する答えが出たのです。

 

 姫に与えられた罰。

 それは、流されたこの地で、本当に大切なものと出会うこと。

 その大切なものと引き裂かれること、それこそが罰である、と。

 姫は、この地で大切なものと出会った。

 だからこそ、月からの迎えがやってくるのだと。

 

 静かな、静かな夜の静寂の中、翁が口を開きました。

 

 かぐや、私たちと一緒にいたいかね?

 

 その、あまりにも自然な言葉に、つい……姫は、本音をこぼしてしまいます。

 はい、と。

 

 翁と媼は、静かに微笑みました。

 

 

 

 

 

 

 

 屋敷を囲んでいた軍は、攻撃はおろか、身動きすら取れずに地面にうずくまるばかり。

 月からの迎えは、恐ろしい力を持っているようでした。

 姫が悲しげに目を閉じた、その時。

 月の使者の前に、翁が立ったのです。

 

 姫は涙を流しながら、首を振りました。

 姫にとって、翁や媼と別れるのは悲しいことでしたが、二人が傷つくことはもっと悲しいことだったからです。

 駆け出そうとする姫の肩に、そっと媼が手をかけます。

 何も心配はいらないよ、と優しく微笑む媼。

 媼は優しい表情で、優しく語り始めます。

 

 姫に求婚した男たちが、なぜ実力行使に出なかったのか?

 風流だなんだといっても、権力者を一皮剥けば乱暴者の狼藉者。

 金や力にまかせて、姫をさらっていくことも辞さない連中なのに。

 

 首をかしげる姫に、媼はさらに言葉を続けます。

 

 翁が、なぜ竹取の翁と呼ばれているか……。

 もちろん、朝廷ゆかりの竹山を管理し、その竹で小物を作っているからではあるのだけど……。

 そもそも、朝廷ゆかりの竹山の管理を任されるというのは、何らかの身分が保証された人間ということ。

 竹取の翁と呼ばれる以前、タケトリの鬼と呼ばれた男がおったそうな。

 タケトリのタケは、身の(たけ)の、(たけ)

 古今無双の首切り鬼。

 

 風が、鳴る。

 風が、奔る。

 月からの使者の、首が舞う。

 人ならぬ鬼が、月の使者の丈を刈り取ってゆく。

 

 やがて、最後に残った一人が静かに剣を抜く。

 

 この地に、これほどの者がいたとは……。

 

 鬼が笑う。

 笑って首を振る。

 

 我は老いた。

 老いる前であろうと、我より上がいた。

 我、天に届かず。

 なれど、この地においては届かぬこともなし。

 

 風が吹き、二人がすれ違う。

 ひと呼吸。

 月の使者の口がかすかに歪み、首が落ちた。

 

 鬼が、深く息を吸い込んだ。

 鬼が笑った。

 鬼は、翁へと戻った。

 そして、呟いた。

 

 媼よ、あとは任せて良いか?

 

 媼が笑う。

 

 ええ、任されましたよ。

 月の使者の乗物に乗って、媼が空へと上がっていく。

 月に向かって昇っていく。

 

 震える姫の肩に手を置き、翁が笑った。

 

 何も心配はいらない。

 媼は、この翁よりもずっと強い。

 媼にたたきのめされて、この翁は媼と一緒になったのだから。

 

 そう言って翁は微笑んだが、姫は震え続けていた。

 

 

 数日たって、媼が月から帰ってきても、姫は月で何があったか聞くことはなかったという。

 姫は、この地において終の棲家を見つけたのだろう。

  

 




めでたしめでたし。

姫:『そこまでやれとは言ってないです』
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