ちょい、下ネタ。
そして、男性の方も痴漢が出てきたら注意。
ヒュン、てするかもしれません。
転生者、
5時には起き出して、軽く散歩と体操。
それから、就寝中の家族を起こさないように、注意しながら食事の用意に取り掛かる。
いや、転生者って早起きに関係ねえだろ。
まあ、転生者ってのはマジなんだけどさ。
といっても、ただ単に、前世の記憶持ちってだけだけどな。
なぜこんな朝早くからというと、俺の両親は共働きなんだ。
昨今じゃ珍しくもないが、しっかりとした温かい食事で一日の始まりを感じてもらいたい。
仕事で夜遅く帰ってきてさあ、朝はコーヒーだけとか、パンとか、ブロックメイトをかじりながら会社に向かう生活とか……マジで勘弁して欲しいのよ。
この世界で縁があって家族になったんだから、せめて出来ることはしてあげたいの、マジで。
そうしないと、俺の前世の記憶に、チクチク刺さるのよ、目に見えない何かが。
というわけで、両親にはゆっくり睡眠を。
俺は朝食の準備を。
それと並行して、弁当作り。
時折両親が、『外で食べるから無理しなくても』と、思い出したように言うが、『いや、これも趣味みたいなものだから』と笑ってかわしている。
まあ、前世から料理は好きだったんだ。
転生したからといって、人生が急激に変わるわけでもなし、前世の人生にそれほど不満があったわけでもない。
ほかにこれといって、やりたいこともないしな。
両親の分、兄貴(高3)の分、姉貴(社会人)の分、そしておとなりの……クソファッキンな幼なじみの分で、全部で5つだな。
ああ、俺のを入れて6つか。
大変といえば大変だが、料理ってのは、経験だし……調理のチャンスがあるなら、逃がしたくはない。
1万時間の法則って聞いたことあるかな?
砕けた説明をすると、ある分野において1万時間の修練を積めば、誰でもそれなりのエキスパートになれるって理論だ。
まあ、俺自身は眉唾だと思ってるけど。
理由として一番耳に優しいのは、『適切な努力』ってやつ。
だらだらと1万時間、間違った努力をしても無意味ってのは、納得しやすいと思う。
理解は出来ても、納得しづらいのが、『素質の有無』ってやつ。
才能がなきゃ、努力しても無駄だと、発明王も言っている。
1日10時間で3年間。
何事も3年間は打ち込めって格言と一致するあたり、完全な間違いとは思わないけどね。
ただ、ある程度は一人前になれても、エキスパートってのはどうかな。
1日5時間なら、6年間か。
意地悪な言い方をすれば、日本の義務教育9年間で、『学生のエキスパート』がどのぐらい誕生してるのか考えてみて……って話になる。
まあ、ちょっと話がそれたか。
素質のあるなしなんてわからないけど、努力というか、経験値は絶対に必要だからね。
これは、料理をする経験値ってだけじゃないんだ。
料理を作ったら食べなきゃいけない。
食べてくれる人が多くなれば、それだけ経験値は積みやすくなる。
たまには、『これが美味しかった』とか『これの味付けはイマイチ』なんてフィードバックも得られる。
自分ひとりで料理をするより、食べてもらえる人間がいるってのは、それだけで恵まれた環境なんだ。
だから、感謝しなきゃ。
そう、感謝しなきゃ。
「ほら、さっさとよこしなさいよ。どうせ、今日もまた美味くもまずくもない、微妙な弁当なんでしょ?感謝してよね、わざわざ私が食べてあげるんだから」
……感謝しなきゃ、ねえ。(ビキッ、ビキィッ)
「お、お姉ちゃん……そんな言い方」
と、クソファッキンな幼なじみをたしなめようとするのは、
え、幼馴染の名前?
クソファッキンはクソファッキンです。
「は?何度もいらないって言ってるのに、わざわざ押し付けてくるんだから、残当の対応でしょ」
「で、でも……
「はぁ?あんた、どんな舌してんのよ?」
待って。
姉妹喧嘩しないで、お願い。
俺の弁当で争わないで。
「はいはい、愛理にはお優しいことで。このロリコン!」
そう言って、俺のおとなりさんというか、クソファッキンな幼なじみは、弁当箱をひったくるようにして行ってしまった。
しばしの静寂をはさんで、愛理ちゃんがぽつりと。
「和さん、お姉ちゃんがいつもごめんなさい……」
ああ、いいの、いいの。
俺は、愛理ちゃんに向けてにっこりと笑う。
俺の3つ下で、中学1年生。
愛理ちゃんの両親も、俺のとこと同じで共働き。
ただ、少々ワーカーホリックの気があって、ここ数年は家を空けがちというか、空けっぱなしに近い状態だ。
世界を飛び回ってるらしく、時々不思議なお土産をもらったりするし。
ついでに言うと、『毎食とは言わないけど、娘たちの食事の世話をお願い』などと頼まれて、毎月俺の口座には、『栄養費』が振り込まれていたりする。
おじさんおばさんとの約束だからと……そう言えば、あの幼なじみも、受け取らざるを得ないわけだ。
そのあたりの事情もあって、小さな頃から面倒を見てきたことと、ここ数年は食事の世話をしてきたせいか……愛理ちゃんは、わりと俺に懐いてくれている。
頼まれたからとか、お金ももらってるからとか、それを承知で感謝してくれる愛理ちゃん。
これが正しい人間関係ってものじゃないですかね、クソファッキンよ。
見ればわかるが、控えめに言っても、愛理ちゃんは美少女だ。
セミロングの黒髪に、愛くるしい顔立ち。
ついこの間まで、手と足がひょろりと長い中性的な体つきだったのが、ちょっと大人になってきたなって印象を受けるようになってきた。
まあ、おじさんとおばさんは、美男美女のカップルだから……ある意味、約束された将来だったかもしれない。
人を外見だけで評価するのはどうかと思うが……あのクソファッキンは、愛理ちゃんやおじさんおばさんをはるかに超えて、文字通り桁外れの美少女だ。
いや、外見だけで言うならもっと大人っぽい。
それなりのファッションに身を包んで化粧をすれば、普通に女子大生程度には思われるだろう。
だから、美少女っていうより、美女手前ってイメージ。
街を歩けばみんなが振り返る……とか、実在するんだよなあ、チクショウ。
そして多分、愛理ちゃんは……ちょっとばかりあの姉にコンプレックスを抱えてる。
そんな必要ないのになあ。
俺もそうだけど、うちの家族見てみなよ。
見事なモブ顔だぜ。
まあ、姉貴はわりと美人顔だが。
「……私も、和さんのお弁当食べたいのに」
嬉しいこと言ってくれるね。
でもまあ、給食だから仕方ないね。
その代わりと言ってはなんだけど、今日の夕飯、なにかリクエストはある?
そんな会話をかわしながら、愛理ちゃんを送り出す。
うん、中学1年生とか、個人の差はあっても、子供としか思えないから。(震え声)
俺、単純に高校1年生ってだけじゃなくて、転生者だからよけいにそう感じるんだ。
しかも、子供の頃から面倒見てきたのよ?
兄というより、お父さんポジだわ。
ぶっちゃけると、これから年頃の愛理ちゃんが、あのクソファッキンみたいになったらどうしようって思う。
精神的に深入りしてたら、立ち直れないかもしれない。
いやまあ、あれは最初からあんなんだったけど。
小学校1年生だったかな。
公園の池に、あいつがお気に入りの帽子を落としてさあ。
どうしようとか言って、涙目にでもなれば可愛げがあるってのに。
あのクソファッキン、俺を見て顎をしゃくりやがった。
ため息ついて、仕方ねえなあと、棒を片手に手を伸ばそうとしたらさ。
『さっさと拾ってきなさいよ』って、池に蹴り落とされました。
俺の記憶では、全身ずぶ濡れになりながら帽子を拾って、さすがにムカついてたから、それをクソファッキンじゃなくておばさんに渡しただけなんだけどね。
俺、本気で怒ると無表情になるらしい。
助けを呼ぶでもなく、冷たいと声を上げるでもなく、淡々と無表情で帽子を拾って戻ってきたらしいのよ。
おばさんに帽子を渡して、無表情のままじーっと20秒ほどあいつを見つめて、結局、何も言わずに、全身ずぶ濡れのまま一人で家まで帰っていたそうな。
周囲の大人はもちろん、おばさんも凍りついて……そのときは声もかけられなかったって、土下座レベルで謝られた。
まあ、細かいことはいいんだ。
そして、当時は小学一年生。
子供のやることとは言っても、やっぱりこう言うしかないよな。
ないわー。
まあ、これは極端な例だけど、一事が万事っていうか、幼なじみとの甘酸っぱい思い出とか、皆無だ。
でも、おじさんおばさんに頼まれてるから、世話をやくわけさ。
いや、学校でもちょくちょく『健気だ』とか『報われない愛情』とか、『逆ギレからの警察沙汰には気をつけろ』とか言われるよ。
たぶん、邪険に扱われながらも、世話(?)をやき続けているから……俺があいつに惚れてるって思われてるんだろうな。
もう、面倒くさいから、そう言われても否定もしないし。
でも、もう一度いう。
ないわー。
あれと、恋愛関係が成り立つとか、想像とか妄想とか、これっぽっちもできない。
中学校に上がった頃、ちょっと妄想しようと思ったけどさ。
たいてい最後は、殺すか殺されるかだったわ。
下品な言い方になるけどさ、俺、あいつじゃ勃たない。
ガワが最高だってのは思うのよ。
でもさ、マジで勃たない。
ピクリともしない。
……不能じゃないのよ?
おばさんなら全然いけるし、クラスメイトでもいける。
だが、あいつはダメだ。
無理矢理とかもないな。
ほら、エロネタでそういうのあるだろ?
ストレス解消になるかなと思って、いろいろ妄想したこともあるけどさ。
無理だった。
ちょっとばかり、男の性欲を過大評価してたみたいだ。
どんなに嫌いな女が相手でも、身体は反応するって思ってたもん。
あれは、性別女じゃなくて、クソファッキンのカテゴリーだな。
そう思うことにしてる。
通学中の電車の中で、痴漢を発見した。
またあの人かよ。
気が付くと痴漢に襲われてないか、あの人。
いかにもって感じの、気の弱そうなOLさん、だろう。
警察とか、裁判とか、そういうのもたぶんダメなんだろう。
正直やりたくはないが、こっちもほとんど身動きが取れないから仕方がない。
手を伸ばして、痴漢のタマをこりっと、ひねってやった。
南無……。
多少、心が痛む。
いや、痴漢を許すとかそうじゃないんだが。
手加減は上手くなったが、こう、心がなれないわ。
「小谷。放課後、私と遊びに行こうよ」
俺は、主夫生活だっての。
買い物やら、洗濯やら、夕飯の支度やら、あるんだってば。
何度言えばわかるのよ?
つーか、毎日毎日同じタイミング、同じセリフ、ポーズまで同じとか。
ネタか?
ツッコミ待ち?
そりゃ最初はあれだったが。
さすがに毎日繰り返されるとうんざりしてくるわ。
クソファッキンほどじゃないけどな。
……ああ、こいつの誘いを断ってるから、余計にクソファッキンに惚れてるとか思われてるのか。
まあ、どうでもいいな。
こいつも、人の話とか説明を聞かないし。
つきあうとか、ないない。
学校が終わり、その足でスーパーに。
夫婦共働きの多い時代だが、この時間帯はやはりおばさまが強い。
まあ、はじき出される弱者はどの世界にもいる。
タイムセールの商品を遠巻きに、しょぼんとしている若奥さん。
この人、いつも目当ての商品を買えてないっぽい。
俺からはただ一言だけ。
強くなれ。
もみくちゃにされながら、スーパーを二店、そして商店街をハシゴ。
いくつもの買い物袋を抱えて帰宅。
おばちゃんが強いわけだ。
この買い物だけでトレーニングになってる気がするぜ。
実際、特に鍛えてもいないのに、俺の身体はわりと筋肉質になった。
夕飯の準備に取り掛かる。
ウチの分と、愛理ちゃんの家の分。
向こうの家で調理したこともあったんだがな、何度かクソファッキンに蹴り出されて諦めた。
まあ、女の子ふたりの家に、男がお邪魔するのもあれだしね。
ただ、愛理ちゃんがウチにやって来ることがある。
もちろん、クソファッキンはそれにいい顔をしない。
時々、お隣からあのクソファッキンと口論する声が聞こえてくると、ちょっといたたまれない。
いやもう、クソファッキンとか関係なく、姉妹というか、家族は仲良くしたほうがいいよ。
「和さん、なにかお手伝いできますか?」
ああ、今日はクソファッキンが家にいなかったのか。
平和平和、圧倒的平和。
結局、愛理ちゃんはウチで食べていった。
そして、クソファッキンの分を、持って帰る。
姉貴が帰ってきた。
飯の支度をする。
仕事の愚痴を聞くのがデフォ。
たまに、ありがとう、とか言われると嬉しくなる。
兄貴が帰ってきた。
飯の支度をする。
というか、相変わらずよく食うわ。
体育会系、マジすげえ。
2時間ほど仮眠をとって、本を読んだりしながら両親の帰りを待つ。
珍しく、ほぼ同じタイミングで両親が帰ってきた。
終電の時間、ともいう。
飯の支度をする。
少し会話をして、家族の団欒。
後片付けと明日の準備。
おやすみなさい。
一日が終わった。
今日も進展が見られない。
これが続けば、また始末書を書かされる。
エロゲ神は、クソでかいため息をついた。
何あいつ?
なんなのあいつ?
部活に入るでもなく、成績でトップを狙うでもなく。
子供の頃から、家政夫生活かよ!
どれだけ枯れてんだよ!
熱くなれよ、もっと熱くなれよ!
ムカついてるなら、押し倒せよ!(下克上ルート)
ちゃんと痴漢から助けてやれよ!(支配ルート)
いきなり痴漢が悶絶して倒れるから、困惑して涙目じゃねえか!
普通にフラグを立ててくれよ!(露出ルート)
買い物ぐらい手伝ってやれよ!(不倫ルート)
お前の姉ちゃん、血が繋がってないからな!(駆け落ちルート)
があああああっ!!
タマついてんのか、あいつ!
登場人物は、全て18歳以上です。(棒)
がんばれ愛理ちゃん。(憧れのお兄さんルート)
君だけが頼りだ!