高任斎の一発ネタ集。    作:高任斎

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時代考証とか、設定とか、チートとか、全部ふわっふわで。(白目)


32:辺境でスローライフ。(原作:三国志7)

 朝もやの林道を歩く。

 通い慣れた道で、迷うような場所はない。

 朝の散歩ついでに、畑の様子を見て回る……いつものこと。

 ふっと、カーテンを開くようにもやが晴れた。

 

 うん。

 ここ、どこだろう。

 

 1分近く呆けていたと思う。

 

 周りの植物に目をやった。

 

 うん。

 ここ、本当にどこだろう。

 植生が違うんだが。

 

 ふと、異世界転移という言葉が浮かんだ。

 田舎生活をしていると、娯楽がほとんどない。

 というか、近所は老人が多くて20代の人間は俺だけだから、趣味も合わないことが多い。

 ネット小説なんかは、いい暇つぶしになる。

 

 周囲に人はいない。

 やっちゃうか。

 

「ステータス!」

 

 ……出たよ。

 

 木野 義徳  在野

 

 武力: 99(+5)

 知力: 58

 政治: 62

 魅力: 24

 

 特技:一騎、無双……(省略)

 

 

 やばい、脳筋……でもないか?

 というか、魅力!

 どうなってんだ、魅力!

 ハゲてるからか?ハゲてるからなのか?

 遺伝だ!

 俺のせいじゃねぇ!

 

 というか、これ、三国志の7のステータスだよな?

 オリジナル武将は、最低値40じゃなかったか?

 

 

 うん、現実逃避はこのぐらいにしとくか。

 

 小説なら、襲われてる貴族とか、モンスターの襲撃とかあるんだろうけど……。

 

 あ、三国志7って……。

 

『グルルルルル……』

 

 阪神ファンに虎を倒せとか、どこの嫌がらせだゴラァ!

 

 

 

 

 

 ……さすがに、虎は強敵だったぜ。

 いや、強敵だよ。

 俺は無傷だけどな。

 

 というか、武力99はチートっぽいな。

 しかも、自分の体に全然違和感ないとか。

 

 しかし、この槍どこから出てきたんだか。

 

『グルルル……』

 

 またかい。

 つーか、鯉とか燕でもいいのよ?

 

 

 

 

 虎、多すぎだろ!(約20頭)

 武力が100になっちまったよ。

 

 苛政は虎よりも……っていうけど、こんなとこに人は住まんだろ。

 あ、フラグか、これ。

 

 フラグでした。(笑)

 

 

 

 

 

 村を捨てて逃げ出した人が集まって、ひっそりと……って感じの集落。

 とりあえず、虎20頭を運んでいったら拝まれた。

 

 うん、拝まれはしたんだけどさぁ。

 魅力24……。

 

 集落から離れた場所に、掘っ立て小屋を……え、ちゃんと使った資材は返せ?

 理解できるが、なんだかなあ……貸してくれただけ有情なのかね。

 

 

 見よう見まねで弓矢を作って……うん、いまいち。

 槍を持って山で狩りの方がまだマシ。

 

 そして、集落の人の畑仕事を手伝いつつ、集落から遠く離れた荒地を開墾。

 農具は……貸してくれるわけないよね。

 農民にとって、農具は宝だもんな。

 

 ははは、武力100の槍さばきってすげえ。

 木の棒の百烈突きで、地面が掘り返せる。

 クワなんて必要ない。

 力こそパワーだ。

 

 うん、これを繰り返していると、集落の人とも打ち解け……が、ダメ……魅力24。

 

 まずは借りを返すことに専念するか。

 確認とってから、山で木をスパーンと両断。

 枝を落としてから、抱えて戻ってくると子供たちに囲まれた。

 そして、子供たちを抱えて集落の大人たちが逃げていく。

 

 うん、田舎の閉鎖性には覚えがあるからなあ。

 

 というか、この集落。

 畑に対して、水が足りてないな……水路で引っ張ってこれるような水源とかないのか?

 

『よそもんが、口出しすんな』

 

 まあ、わからなくもない。

 農民にとって、水の確保は命綱だしな。

 争いのもとだ。

 

 

 というか、魅力を上げよう。

 三国志7だろ?

 お手紙作戦しかないよな。

 

 竹簡?木簡?だっけ?

 いちいち作らなきゃダメなのか。

 伐って、削って……。

 

 誰に手紙を出せばいいんだろうな。(遠い目)

 いや、なぜか言葉はわかるんだけど。

 ああ、でも魅力24だから『どれどれ、ひどい字だな……』とか言われるんだろうな。

 

 手紙を出すためには、相手を探さないとダメで。

 

 ……うん、この集落からはおさらばしよう。

 武力100だし、商人の護衛とか……は、街まででなきゃダメか。

 

 手紙を出すということは、商人と知り合わなきゃダメで、商人が訪れるような場所じゃなきゃダメで……。

 旅人に託すとしても、旅人が立ち寄るか、その地の人間が旅に出る必要が……。

 あれ?

 なんか、難易度高いぞ?

 

 

 まあ、街まで出るか。

 

 集落を離れるときに、子供が二人ほど手を振ってくれた。

 ちょっと泣けた。

 

 

 武力100。

 魅力 24。

 

 ……絶対、盗賊と思われてる。(笑)

 

 護衛に雇ってくれないかなあ。

 いい仕事するよ。

 

 幸いというか、ひとりで生きていく技術は高いのか、旅にはほとんど苦労しなかった。

 まあ、旅の途中でちょっと水を飲んだら、村の人間に追い回されたけどな。

 あと、鳥を矢で落とした時も、追い回された。

 

 村の財産だから、旅人が勝手に獲ったり、飲んだりしたらダメってことね。

 なので許可を。

 

 魅力24……。

 

 こんな世知辛いゲームでしたかねえ、三国志7。

 

 なので、無断で獲物をとり、山草などを採取し、水を確保し……。

 うん、立派な盗賊だわ、俺。

 

『グルルルル』

 

 はいはい。

 最近、虎を倒すことに抵抗を感じなくなってきた自分がちょっと嫌。

 

 虎の皮をきちんとなめせば、そこそこのお値段で売れるんだけど、さすがになめしの技術は持ってない。

 なので、皮革職人に買い叩かれる。

 

 だって、なめさずに放置してたら腐るもん。

 

 皮を剥ぐのは、そこそこ上手くなったけどな。

 これ、三国志7じゃなくて、モ〇ハンなのかなあ……。

 

 

 盗賊の襲撃だ!

 飯の種だ!

 

 おら、ちょっと飛んでみろ。(物理)

 

 うん、拠点に貯めこんでるかなと思ったけど、そんなことはなかった。

 モノがないから、襲撃するんだな。

 勤勉に盗賊行為をするような人間は、そりゃ少ないか。

 

 村から逃げ出すか、街から逃げ出すか。

 真面目に生きていけるなら、そうしたいって人間は少なくない感じ。

 

 

 虎だ!

 盗賊だ!

 盗賊だ!

 虎だ!

 

 この国の治安ェ……。

 

 

 まあ、運良く商人と知り合うことができました。

 めっちゃ警戒されてるっぽいけど。

 商人の草さん。

 

 この国、なんだかんだ言っても徳がモノをいうからなあ。

 商人が金を稼いだら、稼いだ金を使って徳を高めないと、襲撃されるんだと。

 役人に賄賂を渡して、人に施しをして……。

 

 盗賊だ!

 盗賊だ!

 虎だ!

 

 盗賊を役人につき出したら、賄賂を請求されました。

 解せぬ。

 

「盗賊が出るというのは、役人にとってはきちんとその地を治めていないということになるので」

 

 うん……うん?

 

「つまり、賄賂を渡せば、盗賊をあなたが捕まえたと報告してくれて、あなたの評判が上がります」

 

(どうでも)いいです。

 お金ないし。

 

 役人が舌打ちして背を向けた。

 無防備だな、おい。

 

「まあ、どこもこんな感じですよ」

 

 商人の草さんが、諦めたように言う。

 さすがに、『諦めんなよ』とは言えない。

 

 冗談抜きで、役人というか、国の目の届かない場所で自給自足の生活してる方が賢く思えてきた。

 

 というか。

 盗賊連中の、比較的真面目な連中を集めて、どこかで開拓とかできないかな。

 苛政は虎よりも。

 しかし、戦乱は苛政よりも、だ。

 

「……一考の余地はあるかもしれませんな」

 

 

 

 

 ……どうしてこうなった。

 

 5つの村。

 自治というか、自警というか。

 ガン〇ーラじゃねえけど、ここに来れば飯が食えるとでも思ったのか。

 働きたくてやってくるのならいいんだが。

 盗賊ホイホイになってる。(白目)

 

 ダメそうなのは首を飛ばし、真面目そうなのは意識を飛ばす。

 

 三国志のはずなのに、なぜか俺だけ無双になってる気がする。

 特技の無双って、そうじゃないよな?

 

 いや、たった1人で1000人の盗賊を……とか、封印したはずの厨二魂が疼いちゃったんだ。

 村を背負って一人……燃えるわ。

 というか、総勢1000人ぐらいの5つの村に、盗賊1000人を食わせるような蓄えがあるわけ無いじゃん。

 

 山へ、海へ。

 狩りと漁だ。

 

 農業革命?

 

 で き る か!

 

 家畜の存在が重要になってくるけど、虎や狼なんかウロウロしてる場所で、家畜なんてどう飼育しろと。

 というか、虎や野生動物が村によってくるからやめて。

 

 倒すけど。

 殺すけど。

 

 俺の虎魂は死んだ。(白目)

 

 開墾とか、さらりと言うけどな。

 近代農業の、肥料ぶっこみ方式じゃないと、3~5年は、まともな収穫なんてないです。(現代日本人農家の目線での主観です)

 農業の歴史は、土作りの歴史やで。

 

 芋は芋でも、里芋系しかないのか。

 里芋は、保存が難しいんだよな。

 暖かいと腐るし、寒いとダメになる……ああ、今思うと、冬に入る前の芋煮会って、そういう……。

 じゃがいもも、難しいけどな。

 あれは、栽培よりも保存がネックよ。

 アンデスでは、凍った芋を踏んで水を出すんだっけ?

 うろ覚えの知識をもとに、チャレンジは怖くて出来ん。

 というか、農作物は全部、保存がネックなんだけどな。

 

 そういう意味で、穀物は偉大だ。

 保存の難易度がやや低いという意味で。

 

 豊かではない。

 むしろ、貧しい。

 ただ、飢えないですんでいる。

 

 まあ、国に税金を収めてないからだな。

 というか、このあたり、漢の領土じゃなさそう。

 

 俺は、荒地を開墾しつつ、50人ほどの部下を連れて盗賊を倒したり、単独で虎を殺したり。

 

 

「私たちの村を守っていただきたい」

 

 魅力24だけど、いいの?

 

「(強ければ)ええんやで」

 

 そんな感じで、周辺の村や集落が、挨拶に来るようになった。

 

 

 うん、いつの間にか漢(瀕死)の領土を侵食しちゃったらしい。

 

 

 

 戦争の時間だ!

 

 

 まず、俺が単騎(徒歩)で突っ込みます。

 敵陣がまっぷたつに割れます。

 相手の部隊長や、指揮官の首を飛ばします。

 敵が逃げ出します。

 部下たちと一緒に追撃します。

 

 

 戦場に残された武器を、農具へ。

 ああ、戦争が儲かるってこういう……。

 

 ティンときたので、残された糧食は、2割ほどもらって、残りは返してやることにした。

 

 おかわりうまー。

 

 

 

 

 

 

「私たちも守ってください」(震え声)

 

 ええんやで。

 

 

 旗揚げの時間だ!

 

 今更どうしようもないというか、止まったらみんなが死ぬ。

 

 しかし、辺境とは言え、そろそろ聞き覚えのあるビッグネームのひとりやふたり、耳に飛び込んできてもいいと思うんだけど。

 

 漢は漢でも、前漢の時代とか言うなよ?

 

 いや待て。

 五代とか十国とか、ほかの時代に漢とかあったっけ?

 マニアでもなけりゃ、日本人が知る中国の歴史なんて、三国志と水滸伝、キン〇ダム程度だろ。

 

 

 ……なあ、黄巾の乱って知ってる?(震え声)

 

 

 

 来ちゃった。(流民が)

 

 善政じゃなくて、単純に貧しくて税金がまともに取れないだけです。

 いやまあ、疲れきって、泣き声も上げられない子供とかほうっておけないけど。

 

 この時代の農民って、財産なんだよなあ……。

 

 

 来ちゃった。(軍隊が)

 

 略奪じゃなくて、メンツのための戦争かぁ。

 こうやって、人は身動きが取れなくなっていくんだなあ。

 

 まあ、来ちゃったものは仕方ない。

 今日も元気に、スローライフだ。

 

 敵兵を、ちぎっては投げ、ちぎっては、投げ。

 ああ、スローって、そういう……。

 

 逃げるぐらいなら、最初から来るなぁ!

 

 

 

 

 いやいや、戦争さえなければ、それなりにスローライフよ。

 油とか貴重だから、日が沈めば寝るし。

 

 油?

 豆類って、油脂成分が多いよな?

 

 大豆油って……あったよな?

 

 畑のお肉って言うぐらい、タンパク質も。

 油を絞ってから、残りかすを食べてもいける、と。

 

 ただ、鳥害と虫害がひどいんだよな、あれ。

 特に、鳩が若芽が大好きで……ははは、殺してないよ。

 殺してないってば。

 鳥を防ぐネットなんかないし、虫害にいたっては、人海戦術しかないか。

 あと、花が咲く時期に、水が結構必要で……大豆に限らず、マメ科の作物は連作も危険なんだよな。

 うん、気候の問題もあるし、試験的にやるぐらいにしとこう。

 地域に合わせた栽培ができるようになるまで、最低でも10年はかかるか。

 

 

 

 はいはい。

 流民のおかわり。

 

 はいはい。

 軍隊のおかわり。

 

 流民と軍の訪れで、季節の移り変わりを知る。

 ちなみに、流民は税を納める前後で、軍隊は遅れてやってくる。

 軍隊を蹴散らすと、逃亡兵が盗賊になる……いや、罰せられるから家族のもとに帰れないって泣くぐらいなら、ウチに来なさい。

 家族もこっそりと、呼び寄せて。

 

 

 魅力が25になりました。(白目)

 

 お手紙を送る相手ェ……。

 

 しかし、俺ももう、四十路かぁ。

 何やら、辺境の蛮族王とか呼ばれてるらしいです。

 

 養子をもらいました。

 嫁さんはもらえませんでしたから。

 

 い、田舎の農家の後継者不足は深刻だから……。(震え声)

 

 

 

 ああ、今年もまた流民の季節かあ。

 

 じゃあ、頑張って、敵兵をぶん投げてきますかね。

 ただし、部隊長と、指揮官は必ず殺す。

 




なぜ私の書くお話はこうなってしまうのか……。

最初は、田舎で晴耕雨読、知人と書簡のやりとりをする……みたいな予定だったのに。
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