個人的には、マドカが好きだ。
名前を忘れたけど、敵の女幹部もわりと好き。(なら何故名前を忘れた……)
あ、女性に乱暴する行為を連想させる表現があります、ご注意を。
エスカレイヤーの活躍によって、地球の平和は守られた。
しかし、平和というものはだれかの犠牲によって成り立つもの。
そう、彼らが感じている平和もまた……。
高円寺博士の拳を受けて、恭介は壁に叩きつけられた。
倒れた恭介を睨みつけてはいるものの、追撃を控えているあたりは大人なのだろう。
「君がエスカレイヤーを……沙由香をどう扱ったかについてはこれ以上は言わない。父親として、思い出したくもないからだ」
淡々とした口調だが、にじみ出る怒気を隠せてない。
「沙由香の、エスカレイヤーであった時の記憶は全て破棄したよ。元の身体には、それ以前のバックアップ……沙由香は君の事など覚えてもいないし、エスカレイヤーだった自覚もない……」
地球の平和を守ったエスカレイヤー。
フラスト怪人に対する、唯一ともいえる戦力は、沙由香の父である高円寺博士の手によるものだ。
むろん、博士は優秀すぎたために怪人どもにその身柄を拘束されていたのだが。
自分の身が危ない事を知って、博士は怪人たちに対抗できるエスカレイヤーのボディに、娘である沙由香の精神をデータ化してコンバートした。
むろん、元の体は生命維持装置に保管し、万が一のためにデータ化した精神のバックアップを取り、元に戻る操作を教えたアンドロイドのマドカに、それを託した。
しかし、怪人に対抗する強い力を生み出すのは、なんといってもエネルギーが必要になってくる。
エスカレイヤーのボディに搭載された、エネルギー回路。
『興奮することによって、ドキドキエナジーを生み出す』というもの。
当初は沙由香も、マドカとソフトレズ行為によってエナジーを補給していたのだが、限界を感じた頃に出会ったのが恭介だ。
かつての幼馴染。
しかし、沙由香は京介のことを忘れていた。
忘れてしまいたい、悲しい事があったから……。
怪人に対抗するためと言いつつ、恭介の行為はエスカレートしていった。
恋人がするような行為から、いわゆる鬼畜といわれる、露出や被虐行為へと……。
地球の平和以前に、父親として、博士は恭介を許せなかったのだ。
「二度と娘には近づかないでもらおう……むろん、沙由香は君の事など覚えてもいないだろうがね」
博士の宣言に、少年は……恭介は笑った。
「ははっ……」
「何がおかしい」
「おじさんのそれって、八つ当たりですよね?」
「なにっ?」
恭介が立ち上がる。
口元の血を拭い、再び笑い出した。
そして、博士を見た。
恨みつらみではなく、どこか哀れむような目で。
「本来の身体とは違うから」
「記憶は全て消したから」
「だから、娘の沙由香には何も問題ない。沙由香には、何もツライことなんてなかった」
恭介は一旦言葉を切り……吐き捨てるように続けた。
「だから、自分は悪くない。博士として、父親として、娘に対しては、許される範囲のことをしただけだってね」
博士が殴りかかるのを、恭介は何でもないように避けた。
「図星ですか?図星ですよね?沙由香を怪人たちと戦わせた。戦わせるためには、エナジーが必要で、そのためにはエッチなことが必要で……」
博士のパンチを避けながら、恭介はエスカレイヤーの生みの親である博士の罪をうたいあげていく。
そして。
「なんで、なんで沙由香じゃなきゃダメだったんだよっ!ふざけんなっ!」
恭介の拳が、壁に叩きつけられた。
二度。
三度。
皮が裂け、血が飛ぶ。
それでもなお、壁を殴るのをやめない。
「ほかにいなかったのかよ!自分じゃダメだったのかよ!なんでだよ!なんで沙由香だったんだよ!」
泣きながら壁を殴り続ける恭介を見て、博士から何かが抜けた。
「……恭介くん、君は……」
壁を殴る恭介の脳裏に浮かぶのは、沙由香の言葉。
『戦いが終わったら……全部忘れたい』
怪人との戦い。
エナジーの回収。
全部。
エスカレイヤーとしての、全て。
だから、そうした。
そうなるように。
すべてを忘れられるように。
沙由香に。
ひどいことをしながら、それに興奮してしまう自分に。
戸惑いながらも、嫌がりながらも、それを受け入れ、悶えるエスカレイヤーの姿に。
欲望を覚えた自分に。
恭介は、壁を殴る。
忘れたいのは。
壊したいのは。
自分自身……。
……夢を見る。
嫌な夢。
いやらしい夢。
だけど。
眠る時間が待ち遠しい。
あれは、誰なんだろう?
見えない顔。
私に、いやらしいことをする誰か。
でも、気持ちよくしてくれる誰か。
少しずつ。
少しずつ。
その、誰かの顔をおおう霧のようなものが晴れていく。
誰なんだろう。
胸が、ドキドキする。
そして。
お腹のあたりが、なんか疼くような、切ないような……。
うん、今日も早く寝ようっと。
肉体は、魂の器という考えがある。
記憶とは別の、魂としての存在。
肉体を通して、魂は影響を受ける。
染められた魂。
その、染められた魂は、『何も知らなかった』はずの、肉体を染めていく。
父親の。
恭介の。
求める彼女は、もう、いない。
「おはよう、マドカ」
「おはようございます……いい夢でも見たのですか?」
沙由香は、笑う。
夢を思い出して、笑う。
その唇が、小さく開き。
無意識につぶやいていた。
「……ご主人様」
というか、あのゲームで博士にツッコんだ人は多いと思うの。
まあ、ああいう突き抜けたガバガバ設定は大好きですが。